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亀川豊未「お茶三昧の日(2日目)」

朝方、土砂降りで目覚めた、藤枝市滞在2日目。

今日も中山間地域課のダブル鈴木さんお二人に藤枝市をご案内して頂く。
初日に2日目のスケジュール表が配られ、朝から夕方までみっちり藤枝コース。
ダブル鈴木さんたちの手厚いおもてなしに感謝でしかない。

地域の小学校や中山間地域課のオフィス、陶芸センターなどを周り、いろいろ地域のために取り組んでらっしゃることがわかった。


今日の個人的貴重な体験として、煎茶と玉露の二種類の体験をさせてもらった。

まずはお茶農家山栃園さんの園主である平口さん宅へ。
こちらの農園には樹齢約340年になるお茶の木がある。お茶の木がこんなに大きくなるなんて知らなかったし、見たこともなかった。

樹の幹が見えない、もふもふのお茶の大樹

その次に農園の方、工場へ。色々とお茶製造の工程などご丁寧に教えて頂いた。

水分調整がとても難しいお茶の加工。作業は2、3人でタイミングを合わせながらが大事。一つのリズムがズレると、全ての機械のリズムサイクルが狂う。

ご自宅に招いていただき、貴重な煎茶を入れていただく。

「いつもはカミさんが入れてくれるだやよ〜」と平口さん
非売品の”長寿の香り”(ある年齢にならないともらえないらしい)

癖がなくすっきり甘くて飲みやすかった。


最後に訪れたのは玉露の里奥にある朝比奈玉露茶園、前島東平さんのところへ。

こちらは玉露で総理大臣賞を取ったことのある茶園さんだった。
お茶の販売も茶園名ではなく園主の名前が付けられている。

”玉露-東平”

シンプルにかっこいい。
こちらの農園は民宿も昔やっていて、世界中からお客様が来たそうな。その都度、東平さんはおもてなしの心、お客様を喜ばせたい!という気持ちで色々なアイディアを実行されてきた。

Googleマップでもすぐ分かりそうな玉露の文字も東平さん直筆。見晴らし最高のお茶のテラスも気持ち良い。


最近はSNS映えするお茶の安全信号機を思いついたらしい。

玉露のお茶ではないが、紅茶用の木?にお茶の安全をアピールするために3色のランプの飾りが咲いている。

そんなお茶目な面をもつ東平さんだが、玉露を入れるときは何か神がかったような雰囲気が感じられた。
玉露名人と言われる東平さんが入れてくださった玉露は濃度が濃く、お茶の旨味の凝縮した液体だ。
一雫飲んだだけで鳥肌が立ち、目覚める。
味の説明は難しいが、海藻のような、でもお茶、果実とも言えなくもない。
二煎目、三煎目となるとより飲みやすくなってきた。
最後は玉露の葉を醤油やポン酢を付けて食す。玉露の葉は柔らかく解けている。
最後に白湯を飲むと、口の中でまたお茶が出来た感じになって、後味すっきりと締めくくれた。

テキパキ玉露にお湯(40°)を入れる東平さん


東平さんの玉露を使ったどら焼き、これも美味。


玉露ならではの深緑がとても美しい。
鰹節をかけてポン酢で。

“植物と茶と人” 。
東平さんが毎度言われていた感謝の言葉。
山栃園さんの言われていた信頼関係作り。
二つの農園に行き、どちらも真摯にお茶に向き合う姿勢と周りの人への感謝の気持ちが伝わってきた。


自分の作品制作についても同じことが言えると思う。
作品を通して人と関わり、自然に目を向ける。
どのような状況でも新しい発想で、感謝を忘れず、真摯に取り組んでいければ、必ず新しい道が開けてくるのだ。

当たり前のことがとても貴重なことだったりする。


一日が濃厚な体験になりすぎて上手く言葉にまとめられないが、すでに旅の核心に迫れたような気がした。



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