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宇田奈緒「苦い、渋いは英語で何という?(2日目)」


次郎長英語塾のイメージ(清水港船宿記念館 末廣にて)

国際港である清水にはたくさんの豪華客船がやって来るそうだ。そんな清水のお茶屋さんでは、海外からのお客様も多いという。緑茶の味の変化である甘さ、苦味、渋みを紹介する時に、一煎目はsweet、二煎目はstrong bitter、三煎目はmild bitterだと伝えると、bitterは苦手だと遠慮されてしまうことが多いらしい。苦味、渋みとは、どのように訳すとお茶のおいしさが伝わるのだろう。

清水の次郎長は若い頃から悪童時代、商人時代、渡世人時代などを経て様々な人生経験を積み、明治の初めには次郎長英語塾も開いたのだという。「清水の次郎長物語 次郎長が夢みた清水港」によると、「英学」が盛んだった当時の静岡では、英語を学ぶ若者が増え、お茶を輸出する船に潜伏して密かにハワイ渡航し、富を築いて帰国した「ハワイさん」という人もいたらしい。その後、「ハワイさん」の故郷である三保村からは多くの人がハワイや北米への出稼ぎ移民として海を渡ったのだそうだ。

伊豆出身の私の曽祖父もまた、明治の終わり頃に移民としてカナダに向かった。これまで、なぜ曽祖父は海を渡る決断をしたのだろうと思ってきたが、船で行き来しやすかったという清水からの影響もあったのかもしれない。

人生の間に様々な立場を経験し、変化を続けた次郎長の姿は、なかなか一言では表せないのだという。お茶の苦味、渋みのおいしさが伝わる英単語を探すように、清水を旅する私の目の前に現れる次郎長さんが、この後どのように変化していくのか、いつか適切な言葉で表せたらいいなと思う。

次郎長さんと初めて対面(清水港船宿記念館 末廣にて)


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