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Mari 「日常の交差」(滞在まとめ)


河津町の滞在を終え、あっという間に1週間以上が経った。
滞在中はまだまだ残暑が厳しかったが、この数日でずいぶん秋らしくなってきた。
暑かったけど、河津で今年最後の夏を満喫できてよかったな。

海水が冷たくてきもちよかった

今回河津での滞在が決まった際、あえて行動予定はしっかりと決めず、行きたい候補地や宿周辺の地理を調べるくらいであとは現地を実際に見て歩こうと思っていた。
結果として偶然の出来事にも対応できる余裕を持つことができ、それがとてもよい時間へとつながった。

いずれも楽しい経験だったが、特に座禅とビーチクリーンが印象深かった。
(詳細はそれぞれのnoteに記載)

どちらも滞在直前や現地での出会いから発展した機会だ。もし1人で河津へふらっと訪れたとしても、体験できなかった。
心よく引き受けて対応してくださった、ホストの方々、 栖足寺のご住職、地元の皆様のおかげです。ありがとうございました。


私の滞在の目的は「新しい絵のテーマを見つける(主に海や山)」だった。
河津は両方ともに豊かな土地であり、「毎日この景色を見て暮らしている方々がいるんだなあ」と住宅街暮らしの私は少しうらやましくなった。

自然から感じた感動を平面の絵に描くことはなかなかむずかしく、人間は音やにおい、肌感覚から自然を体感しているのだと改めて実感した。
山の稜線の美しさ、滝の涼しさ、波の音の大きさ、水面のきらめき、夜の海の暗さ、河津で存分に体感させていただいた。
これらの感覚を作品制作に反映し、発表をしていきたい。



今回参加させていただいた「MAW 2023」のプログラムは、1週間(6泊7日)の滞在だった。

「アーティストインレジデンス(以下AIR)としては短め、普通の観光旅行よりは長め」という、絶妙な期間だったと思う。
以前からAIRに興味はあったが何ヶ月も仕事を休むことはむずかしく(おそらく一旦退職しなくてはいけない)、作家業と勤め人のワークライフバランスは多くのアーティストの悩みだ。
また滞在制作&成果発表がセットになっていることも多く、遅筆の画家にとってはこれまたハードルがやや高い。

「MAW 2023」なら有給でなんとか調整できる日数で、作品の成果物は特に求められない。私に格好の機会を与えてくれたプログラムだった。


旅には、新鮮な出会いがたくさんある。
見慣れない景色、初めて乗るバス、聞こえてくる会話、地元のスーパー。
ひとつひとつの体験が目新しく楽しい。

地元の方々の「日常」の中に、旅人は「非日常」としておじゃまする。
お互いの時間が混じり合うことで、我々はもちろん、その土地の人にとってもなにか面白い時間を過ごしてもらえたのならば、それは光栄なことだと思う。
この数年間制限されていたことからようやく解放され、日常を共有しあうことの豊かさを感じた滞在だった。

ビーチクリーンの日の一コマ


最後に、本プログラムに関わってくださったアーツカウンシルしずおかの皆様、河津町の皆様、旅人の皆様には、心からお礼申し上げます。
皆様のおかげで本当に楽しく、今後の制作にも活かせる貴重な経験ができました。
今後だれかに「おすすめの旅行先は?」と聞かれたら「河津町!!」と答えます。おすすめの素敵な場所、おいしい食べ物、魅力ある河津の歴史や伝承・・・いくつでもあげられます。

日本の数ある街の中で河津町にご縁をいただけたこと、感謝です。
今度は河津桜が咲き誇る頃にお伺いします。


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