見出し画像

西松秀祐 「迷わず走る / 南伊豆6日目」

朝起きてコーヒーを一杯飲んですぐ、昨日8時ごろに行くと伝えていたTea Salon Kibiに向かった。昨日千景さんを繋いでくれたことに礼をいい、もう一度ゆっくり展示を見て、ガネッシュの紅茶とバナナのカカオケーキをいただいた。紅茶をゆっくり飲みながらオーナーさんに、小泉三申の別邸を両親が買った経緯やTea Salonのことや、Kibiのロゴのこと、そしてここで使われている家具そして茶室などについて話を聞かせてもらっり、自分の大分での生活や今回の南伊豆の旅について話した。居心地の良い空間でゆっくり話をできて、とても充実した時間だった。

Tea Salon Kibi

朝9時半にゲストハウスDajaの手伝いをしている小野さんと、南伊豆町で聞き書きをしている山本さんに会い行く約束をしていたので、私はKibiを急いで後にした。時間をあまりにすぐ忘れてしまう。階段を走りながら、迷うことなく走れるようになった自分に少し驚いた。

山本さんの家にお邪魔をし、ききがきやを始めた経緯や畑のことなどを聞いた。テーブルにつくと、お茶と栗きんとんが用意された。山本さんは栗きんとんを指さして、こういったことなのかもしれません。と話し始めた。下田の山あたりの農家で育った山本さんは子供の頃、季節になると毎日山に山グリを拾い行っていた。でも最近では山に栗がなかったり、そんな文化はなくなってきていること。そういった生活についての記憶を聞き書きしてきた山本さん。私は初め栗きんとんを指さした時、自分の地元が岐阜なので、中津川を少し思い出したことを伝えた。すると中津川は聞き書きを南伊豆で始めるきっかけだったと話し始めた。

南伊豆の聞き書き 知ってんけぇ(3巻4巻)

山本さんは50歳で仕事をやめたあと、畑を再びやりだした。そして「道の駅」下賀茂温泉 湯の花に野菜を少しづつおろすようになった。その中で道の駅の代表が研修で岐阜県中津川に行った時「山里文化研究所」が地域で聞き書きしてを行い書籍を刊行している活動を知った。そのことを代表が山本さんに話をし、南伊豆でもできないかな?と相談された。

聞いた初めはすぐにはやろうとは思わなかったそうだ。でも数年が経ち、山本さんの父が亡くなったことがきっかけで、話をちゃんと聞き残す、キキガキヤの活動を始めようと思った。そしてキキガキヤのチームを作り、その中でテーマを決め、道の駅に朝野菜を卸にきている人たちの繋がりなどを紹介してもらいながら活動を展開していった。

ききがきの聞き書き。自分の作品制作、リサーチの方法でも、話を聞く要素が大きいと思うので、とても勉強になった。今度岐阜に行くタイミングで、中津川の山里文化研究所も行ってみたい。

あと個人的に興味深かったのは「道の駅」下賀茂温泉 湯の花の人的ネットワークだ。地域の農家さんが朝おろしにくるスーパー、道の駅などは確かに情報交流の場なのか、と改めて考えるきっかけになった。現在住んでいる大分の地域のスーパーにも地域の方の野菜が売っているコーナーはあるが、地域の野菜とネットワークみたいな視点でも今後考えてみたいと思った。。

そのあとはお昼休憩をしてカノー伝説に行った。江戸城のに使われたとか、これが手石のあたりから海で運ばれたとか、前知識もあったが、石切場で1時間ほどぼーっとした。雨がふったりやんだり、石切場で雨宿り。

カノー伝説 / 採石場跡

そのあとまだ日がくれるまで少し時間があったので、知ってんけぇの第三巻で聞き書きをおこなった天神原を訪れた。天神原は昭和二十一年に閉山となった青野鉱山の元従業員や新潟中魚沼からの入植者による天神原開拓によってつくられていく。峠を走っていると、この辺りはスギが他の場所より多く生えている気がしたが、なにか開拓と関係があるのか分からないが、今度誰かに聞けるタイミングがあれば聞いてみたい。と思った。

天神原開拓記念碑

夜は弓ヶ浜のライズヤに宿泊。コロナの前からそうなのか、受付に人はいなく、暗証番号による非接触な方法で宿の鍵を頂戴し、部屋に入った。夜外に出ると、遠くの方で祭りの練習の音が聞こえてきた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?