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新造真人「弱さという余白(5日目)」

8時40分に函南駅で、同じ函南エリアの旅人の西松秀祐さんと待ち合わせ。彼の車でオラッチェでの意見交流会に向かう。丹那に入るためには車が必要である、という考えが日に日に強化される。

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意見交流会は、テーブルの配置や、少人数であったがマイクを使うといったことなどで、何だか少し硬い雰囲気があった。途中、地元で酪農をされている方が、牛のぬいぐるみを着た話をしたり、そういった小さなことが積み重なって、場は緩やかになっていった。自分は何か、確からしいこと、言えたのだろうか。当たり前のことを当たり前にいっただけで、集まった人たちに何か提供できたんだろうか。そんなことをポロッと言うと、佐野さんが「思ったことを口にしてもらうことが有難い」、そんなことを言った。大したことがなかろうと、自分は自分が考えたことしか、口に出せない。毎度毎度クリティカルヒットはだせないんだ。

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意見交流会の後、西松さんの車で、すぐ近くにある南箱根ダイヤランドを回る。別荘地らしく建物の雰囲気が違う。西松さんは「ここを気になってただよね〜」と言って、運転をしている。ドライブをしながら、函南で見たものや、出会った人の話をした。作品の話もポロポロと。函南エリアが車が必要なエリアでなければ、こうして西松さんとも話をすることはなかったかもしれない。自分にできないことがあることで、それを誰かに頼んだり、補ったりしてもらうことで、コミュニケーションが生まれる。普段生活をしている小田原でも、家から街までの距離がそこそこあり、公共交通機関もないので、よくご近所さんの車に乗せてもらっている。自分のそういった弱さや足りなさが、人と時間を過ごすきっかけになっている。

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昼は函南にある蝶鮫料理専門店「Sensa-Banbetsu『千差万別』」に行った。ここはMAWは始まる前に、Google mapで地域探索していた際に見つけたお店だ。蝶鮫は近くの生け簀で育てているらしい。滞在中に一度くらいは贅沢をしたいと思い、ランチのコースを頂いた。どのお皿も地元食材が使われいた。丹那牛乳を使った蕎麦粉のパンケーキや、天城黒豚のローストポークなど。自家製の梅とトマト、蝶鮫の身を使った冷製パスタは特に美味しかった。

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一番最後に出されたジェラートは、蝶鮫の出汁を使ったと言っていて、そういった応用の仕方を知れて面白く思った(が、蝶鮫らしさが特に分からなかった)。情報を言葉に載せることは簡単だが、それを受け取ることは中々に難しい。

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食事の後、西松さんとは解散した。昨日行った修善寺のジオリアが大変素晴らしかったので、そのお勧めをした。すると「新造さんから情報をたくさんいただけて有難い」といったことを言ってくれた。彼には車に載せてもらった恩がある。その他にも彼との会話や共に過ごした時間。彼に対して、自分は何か提供できているんだろうか、と思っていた。ただ堂々と自分はしていればいいのだろう。

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函南から沼津の宿に自転車で向かう。道中、伊豆畑毛温泉の誠山に寄った。30、35、41度の湯がある。先日訪れた近くの富士見館も似たような構成で、どちらもジャグジーがついていて、それがなければもっとゆったり浸かれると思った。よく言えば飾り気のない保養施設だが、湯治であることに胡座を書いていて、どちらも雰囲気はない。冷泉は初めてのことで、体験としてはよかった。見てくればかりに気を取られて、じゃあ、実際の泉質はどうなんだ、とか、そういったことを深く読み取れない。ただ、この性質も何かしらの恩恵がある。例えば、中々褒めれない性格があるから、人にお勧めを聞かれることが多い。吟味することが、昔から好きであるから、それは作ることにも如実に現れている。

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目の前にある情報を楽しむことがなかなか出来ずに、そういった自分を認識して、反省して。どうにか光を探そうとする曇り空のような1日だった。もやもやとした気持ちを抱えながらも、自転車を走らせる。運動は心の味方だ。

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