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高野ゆらこ「9月6日晴れ時々雨2264文字(5日目)」

マイクロアートワーケーションも後半戦。
とはいえ、唯一今日が特に予定を決めていなかった日。
なぜなら、台風が近づくから天気が荒れる予報だったのです。

でも、晴れた。暑い。
晴れ男コロと晴れ女バシが本気だしすぎてる。
5日の分の日記を書き終え、まずは宿の向かいの「中華一番」さんで腹ごしらえ。

実は初日のお昼に来た町中華でもある「一番」。
ここの推しメニューはなんと言っても『肉チャーハン』らしく、初日はラーメンにしたので今日こそ、と思ったんだけど、そして入店したら全員肉チャーハン食べてたけど、わたしが注文したのはこちら。

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昨晩散々食べて飲んで、胃腸はガッツリご飯ものより麺類を欲しがってたもんで…。
わたしの後に入店した方ももれなく『肉チャーと餃子で!』が合言葉のように皆さん食べてらっしゃったので、次回来た時は絶対頼むぞ、と心に決めました。

そして、嵐の湯 湯治の館へ。

嬉しいことに貸切状態。
木の香りのするとっても広いお部屋に温泉の蒸気がモワモワ立ち込めている。石が敷き詰められていて、その上にマットを敷いて寝転ぶ。
数分で身体中から汗がドバドバ吹き出してくる。
天国じゃん…思わず呟いてしまう。

毎日すごく楽しくて、人と話すのも刺激的だし色んな場所に行くのもワクワクだけど、一人で誰にも見られずに誰かのことを気にすることなく、自分だけをご機嫌にするリラックスタイム、必要だったかも。

スチーム部屋を出て休憩室に入ると、目の前はなんと河津川の遊歩道。
作務衣を着てるとはいえ、ビッショビショのゆでだこ状態を散歩してる人に見られたら…と思うとちょっとドキドキ。
何ターンか繰り返して、最後に上がり湯で完璧。
昨日の「毒」は全部出ていったぞ!

その後は、ホストの和田さんがバガテル公園で勤務してると聞いて、旅人チームで和田さんの職場視察。

あ、バガテル公園ていう名前含めて、ちょっと一言では説明できない場所なので、こちらをお読みください。

ローズガーデン、この時期はバラは残念ながらほとんど咲いていないのだけど、丁寧に手入れされた庭園を歩くのは気持ちいい。
映え散らかしスポット多し。

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和田さんはこの公園内にある、コワーキングスペースの管理をされていて。

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ここが職場って…おしゃれすぎんか…。
1階がブックカフェで2階がコワーキングスペースに使っているこの建物は、もともとバガテルのレストランだったそう。
近所にあったら通い倒すのに!とはいえ、近所にあったら人が溢れちゃうんだろうなあ。バガテル公園内も「人がいない」ことでとても贅沢な時間を過ごせるけど、それって裏を返せば経営としてどうなの、ということでもある。

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でもここでWSとかリーディング公演とか、やってみたい〜!て思うことはたくさんあったので、こういうアイデアの芽を今後形にできるように頑張りたい。

町長(誕生日)もマダム静子も町の人も、バガテル公園のことを語るとき、『手はかかるけど大切な子供』について話すような眼差しになるのが印象的だった。愛されてる場所なんだなあきっと。

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バラソフトクリーム(美味!)を食べたあとはみんなと別れて、一人テクテク町の方へ歩いて戻る。
うん、今日は完全に一人のんびりデーがしっくりくる。自転車や車での移動が多かったので徒歩も新鮮。

最短距離じゃつまらないので、地図を見ながら気になった場所に寄り道しつつ。

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川津来宮神社。
河津には「鳥精進酒精進」という風習があります。

河津の人は12月18日から23日まで鳥肉や卵を食べず酒を飲まないそうで、ホストの和田さんもやってらっしゃるとか。
神社で少しお話を聞くと、その時期は河津の子供たちの給食でも出されなくなるし、飲み屋さんがお休みになったり、今でもしっかり風習として根付いているそう。

「練り製品は食べませんし、あと、その時期はみりんも使いません」

そのくらい良くない?て言い出したらなあなあになっていくのが人間てやつだし、それなりに大変な負荷を自分にかける行為も期間が決まってれば、おわったときの達成感もあって気持ちよさそう、とも思う。

にしても、お酒は本当に、危険だな…。鳥、すごいな…。

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せっかくなので記念に、酒難除けお守りを。
どうか、どうか、守ってください!

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河津町立文化の家。
バガテルのブックカフェでパラパラ色んな本をめくった時から、ここ何日かまったく本に触れてないことに気づき。
河津には本屋がない、ということで(この話は結構衝撃だった)図書館に行ってみる。

わ!高瀬隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』がある!
第167回芥川賞のこの作品、読みたかったやつだ!

パラパラと本を捲る音だけがする、木でできた落ち着いた館内。
静謐な時間。引き込まれていくストーリー。

ザアアア、と音がする。
…窓の外、雨だ!
なんていいタイミング。晴れ男と晴れ女は、わたしを雨からも守ってくれるのね。
通り雨が過ぎ、コンクリートが雨の匂い。
本の続きを楽しみに思いながら宿へ戻る。
本屋に行く、それだけのなんてことない行為がこの町にはないこと。
そして今はネットショッピングがあればどうとでも解決できてしまうこと。
本屋好きとしては少し複雑な気持ち。
けど図書館で今、高瀬さんの本をすぐ手に取れる環境もなかなか贅沢だな。

明日は早朝から行動予定。
ついに河津の「83%」に入ります。

だから、今夜はもちろん、酒精進。
この時間に日記も書きおわったし、気持ちのリフレッシュもできたし、最高のコンディションですので、晴れ男と晴れ女様にお願い。

明日一日、予報についてる傘マーク、なんとかしてくれません?