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櫻井麻樹 「暮らしと芸術をつなぐ (まとめ)御殿場」


1日目〜7日目までの旅の流れは日記で書かせてもらいました、もちろん書ききれないこともありますが、その経験から感じた事、この先を見たときに思うことをなどを書きたいと思います。

①マイクロアートワーケーション(MAW)

ここまでの写真は「富士山文化ハウス(ホスト)」
がウェルカムパーティーで用意してくれた資料です


アーツカウンシルしずおかのマイクロアートワーケーションという企画は、参加した身としては素晴らしいと思いました。
これは滞在したアーティストみんながいってましたが、「何かの成果をすぐにみせる必要はない」というのがとても素晴らしい観点で、日常の中で作品を作って発表までとなると発表がゴールになりがちになってしまうので、そこに行くために物事を考えてしまうと、どうしても余裕、余白がその過程の中に持てなかったりしますし、日常の中でリサーチのようなことを同じような事をするにしても、やはり生活をするついでとか、なにか並行して物事やる中で、リサーチもその一つとなることも多いので
今回、リサーチ含めて、色々な人、もの、場所などと純粋に交流が出来る時間を与えてもらえて、その土地の文化、芸術、暮らしを知る時間と場所を提供してもらえてそのことだけに集中できる環境を与えてもらえた事で普段見逃してしまっている事に気付けたり、普段できない事が出来たり、普段やっている事の先を深掘りすることができたりと、この企画だから出来る事、出会える事も多かったのでとても感謝しています。
今後はこの企画も広がっていき、どんどんホストも参加者も増えていけばと願いつつ、この企画のようなものをもっと幅広く、日本、海外問わず増えて広がって行ってもらえたら嬉しいです。
もちろん僕自身もまた参加したい気持ちになりました!

②富士山文化ハウス(ホスト)、マンテンゲストハウス、マウント劇場 について

富士山文化ハウスの方々がホストとして今回僕らはお世話になりましたが、滞在する場所、文化芸術のリサーチなどなど旅人として過ごさせて頂くにはとてもやりやすく、充実した場所であったと思いました。ホストの方々との繋がりのある方にアーティスト関係の方が多かったり、御殿場エリアで暮らす沢山の方を招いてくれたりと、交流するきっかけを沢山作って頂きました。元映画館とということもあり、受け入れる場としても交流がしやすかったというのもあります。そのマンテンゲストハウスを拠点に、御殿場のリサーチ、地域で暮らしている方との交流、滞在しているアーティスト同士の交流、前回ワーケーションに参加したメンバーの方などとの交流、観光地、自然、暮らし、などバランスよく幅広い視点で交流が出来たのが嬉しかったです。必要ならば力になるし、あとは自由でいいよというスタンスが最高でした。すでにこの場所がみんなの集まる場所、戻れる場所になっているなとおもいました😁

フェアウェルパーティーにて(最後の懇親会)

③御殿場エリアについて
行政、市民の方々、文化と芸術その繋がりと暮らしなどについて

今回、御殿場エリアをまわらせて頂いて感じた事は、御殿場という場所は「人の繋がり」、「人間の力が強い」ということです。アークラ大サーカスというフェスにボランティアで参加させて頂いてわかったのですが、かなり大きい規模にも関わらず、行政が関わらず、市民の方だけでこのフェスを回しているというのを聞いて驚きました、それだけみなさんが繋がって力を出し合い、協力しあってやることができる、そのまとまり、チームワークというのは素晴らしく、企画内容などもユーモア、遊び心がある人が多く、受け身でなく、自分達から発信することができる人が多い印象を受けました。小さい子供もボランティアに参加したり、子供達が自分で出店するコーナーがフェスティバルにもあったりと子供の時から関わることが出来るその土台もあるからこそ、そういった文化が育っているような気がしました。

それと、こんな大きい規模だけでなく、僕がまわらせてもらっただけでも、御殿場エリアの中でも、さらに絞ったエリアなど、御殿場南中学校があるあたりのエリアで地域の文化祭などが行われていたり、(南中太鼓 なんちゅうだいこという学校の伝統?上の世代から下の世代へ受け継がれているようでした)

御殿場駅前のおかみさん市など、御殿場エリアの各地でそういった催し物も多く行われている印象も受けました。

それと同時に、昔から御殿場に住んでいる方、御殿場に移住してきた方など、ずっと昔から受け継がれてきた中に新しい変化を求めている側と、変わらずにそのままを求める側、そういった方達と意思の疎通、共有、協働の仕方だったり、方向性の違いも出てくるものなんだな、というのもありました。アークラ大サーカスも10年続いて一区切りついて数年休んでいたそうで、(もちろんコロナの側面もあるみたいてすが)
10年間続いてきた間に、次の担い手にバトンを渡そうとしても、そのバトンの渡し方に苦労したというのもあったみたいで、実行委員の方達も疲弊してしまって少し期間をおいて今の形でまたスタートしたという話を聞いたり、駅前のおかみさん市にしてもずっと続けてきたけど、上手くまわりに広がりきらず、惜しくも今年で終わってしまうなど、人のたくましさ、強さを持つがゆえに、方向性の違いなどが出てくるとそのあたりをどう落とし所をみつけるのか?そういった難しい側面もあるものなのかもしれないなと思いました。
もちろん一週間しか見てない僕が偉そうな事は言えないですし、色々な歴史があって今があると思うので、新しいものを取り入れればいいということでもないとは思いますが、新しことに挑戦する心を持ちつつ、今まで続いてきたものも大切にしつつ、お互いに進んでいく形というものがどんどん広がっていけば、また素晴らしいものが広がっていくという凄い可能性を持っている場所だと思いました。

あと、市役所の方とにもお話をさせて頂きました、

市民の方達だけでやる力を持つというは良い反面、資金や、サポート体制などももう少し上げたいというときに、行政を絡めていく中で、もの事が複雑化してくる分、中々前に進まないために、市民だけでやったほうが話が早いというような形にもなってしまっているなどの意見も聞いたりしました。こういった課題はどこの場所でも出てくるものなのかもしれませんが、企画側が疲弊せずに良いバランスでやっていくためにもこういったお互いの協働というものが、上手くまわって行く形を模索して行けたら良いなと外部から来た人ながら思いましたし、僕自身のテーマでもあるのでとても勉強になりました。御殿場の土地柄に関して聞いたことなのですが、御殿場というのは通過する土地(場所)なのだと、箱根や富士山、または西の方や北の方に向かってなど、立ち寄る場所として定着してしまって、みんなが通過していってしまうので留まらないという悩みもあるというのも聞きました。

芸術に関して
音楽をやる環境としては比較的、まだあるような感じは受けましたし、ダンスもそうだとは話でききましたが、演劇の分野に関してはやや広がりが薄いのかな?という印象を受けました。
あとは、その受け皿となる小屋やスペースが少なかったりなど、市がもつスペース、劇場などはあるとはおもうのですが、細かな部分で、芸術を広げていく基盤、根付いて行くための場所というのを少しずつ広がっていけたら面白いなと思いました。
そういった意味では、富士山文化ハウスのホストのメンバーである、森谷さんがGotemba Apartment Storeといった空間建設していて、そこで何かしらイベントができるようなスペースもありそうで、まこぱさんもその中に図書館をつくったり、そういった文化、芸術が広がっていくための土台となる場所が増えてくれることを願っています。
(Gotemba Apartment Storeオープンの日が決まったそうです。
プレオープン
11/16(水)〜20(日) 12:00〜16:00
グランドオープン
11/24(木) 11:00〜19:00

④自分の今回の目的や感じたこと、そしてこれからに向けて

まずとても有意義な一週間でした。
僕自身、俳優、パフォーマーなどとしてずっとお客さんに対してパフォーマンスするだけの日々を送っていて、コロナの期間で一度立ち止まる時間があったことで、作品を通じて人と関わるだけでなく、今まで活動してきた中でアーティストとしてどのように他者と、暮らしと繋がっていけるかを考えるようになりました。
その中で、日常において色々な形での芸術は溢れているかもしれませんが、日々を暮らしていく中で芸術に縁のない方、関わりたいのに余裕のない方、もちろん興味のない方などもいると思います。
そんな中で僕自身が思うのは、アーティストとして生活していくのが難しい状況の日本の中で、どうしたらアーティストの持っているものと日々それぞれ生活をしている方、行政、企業などともそうですが、お互いに協働して、少しでもお金という意味でも、感性という意味などでも豊かに暮らしていけるか?
そして、何をみなさんが必要としているのか?
ということを僕自身の活動のテーマとしており、
あと僕が今出来る事といえば、
創作活動をしてそれを見てもらうこと。
演技の手法、ドラマセラピー、コーチングなどの手法の一部を使って、子供から大人まで、プロ、アマなど関係なく創作活動やワークショップを一緒にやっていくこと、海外なども含めてそういった交流の場所を作ったりしていくことが僕の今出来る活動であり、そういった活動をしていく中で
一人でやるにも限界がある・・その中でどうやって色々な所と手を繋いでいくべきか?
と、そういう思いもあったり、
最近ではディバイジング(脚本を使わずに、みんなでディスカッションしてその中で皆さんから出てきたものをまとめて作品を作る、ざっくりの説明ではありますが)によって、その人の記憶、思いなどを自己開示劇のような形で作品を作ることが好きなので、人に質問したり、人の話を聞くというのが好きなので、こういった事もリサーチしたいとこのあたりをテーマとして御殿場エリアを旅人としてまわらせて頂きました。

今回の旅人の経験を経て感じたことは、何かを協働していくのはそんなに簡単では無く、こちらの押し付けになってしまってもダメですし、そもそもそういった事をみんながみんな望んでいるわけでもない、そして僕がやりたいと思っているこういった事の内容なども、馴染みのあるものでもない、伝えやすいものでもない・・・
そうなってくると地道にお互いに信頼を掴んでいって、一緒に何かをやる機会、交流を持つ機会を増やしていくしかないというように改めて思いました。
そこで暮らす人達にも色々な思いがあり、歴史があるからこそそこにいて、
そういう人達を蔑ろにせずにお互いにまず知り合っていく所から始めていきたいと思いました。

僕自身の活動拠点は東京ですが、今回この旅で御殿場という場所も一つ繋がったと思っています。
他にもここで知り合ったアーティストや
交流を持った方々から繋がっていく新たな場所も増やす事ができたと思っています、こうやって地道に繋がっていく事を続けて、今の自分のやりたいと思っているその環境を広げて行きたいと思いました。
色々なものが詰まった素敵な一週間でした!