周逸喬「海が持ってきた、人情の味。」(滞在まとめ)
こんにちは。
今回はアーツカウンシルしずおかが実施する「マイクロ・アート・ワーケーション」(MAW)に参加させていただいて、貴重な経験を得ることができた。旅人の周 逸喬です。
今年度はMAWへの参加は初めてです。アーティストの滞在、制作、交流という形に憧れていて、思いきり応募しました。
静岡のゆかりは以前、浜松の西見寺と市内の松坂屋で展示した経歴があり、今回は伊東へ新たな可能性を探りながら、伊豆半島を7日6晩ぐらい滞在し、半島を回りました。伊東を中心に案内してもらい、地域住民と出会うきっかけを作ってもらいました。将来的に新たなプロジェクトが創出され、また自身の表現活動へのインスピレーションをいただきたいです。これは「マイクロ・アート・ワーケーション」を実施している理由と目的だと思いますが、私としては小さい種をこの広い大地に蒔くという行為を感じました。
1日目〜7日目までの旅の流れを日記のように書きましたが、まだまだ書き切れていないことがいっぱいあります。その中で一番印象に残っているのは伊東の人たちです。
留学生として、5年間大学に京都に在学していますので、もうそろそろ日本の生活を慣れたと思っているが、このワーケーションをきっかけに、ドラえもんの「どこでもドア」のように急に半島に立ち入りして、暖かい気温と共に暖かい日本の人情味を体験することができました。
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新たな地域に入り、何をやっても、何に遭っても、テンションが上がり過ぎて、大きい笑い声を出していた私が、時々地元のおばちゃんの笑顔を見つけたりしていました。きっと「元気でいいね」と思っていらっしゃるでしょう。こんなわがままな小娘に対して。それはわがままな観光客の生意気さを許してくれる人情味です。
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ふっと思ったのは、子供たちの性格の違いです。富戸小学校だけで交流していましたので、そこまでのデータを収集していませんでしたが、なんだか伊東の子供はとても明るいと感じていました。前に漆のワークショップに行ったときには、何軒かの小学校の子供たちと交流したことがありました。行列で教室に入り、行列で帰り、大人のように落ち着いていました。でも富戸小学校で久しぶりに陽気な声に囲まれていました。
「これやって、あれやって、また来てね!」とか、海のような広い心を持ち、太陽のような子供ですね。「子供の人情」という言葉はあんまり使わないと思いますが、でも子供からにもおもてなしの人情味を感じました。
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ラッキーと思ったのは、今回は一人旅ではなく、車がないため、他の二人の旅人と一緒に動くことが結構多いことです。このお陰で、長い移動の間に、ゆっくり旅人の石黒さんの作家活動を聞くことができました。私はグイグイ質問をしていて、狭い車の中には逃げる場所がなかったので、素直に答えて、作家の経験を教えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。伊東の旅の途中に、キューバからの交換留学生の友達から電話が来て、私と一緒に日本で二人展を開催したいという誘いでした。3ヶ月しかない短い時間で、作家活動を頑張ってやっている友達を応援しようと考え、同じく関西在住の作家である石黒さんにお願いしたら、ちょうど大阪にアーティストのレジデンスが新しくオープンするので、貸してくれました。
また、自分が入っているアーティスト団体である「山中Suplex」のイベントにも招いてくれて、そして色んなキュレーター、アーティストとの出会いも始まります。年末の展示に向けて、石黒先輩(先輩と読んでもいいかなぁ)が強く叩くと言いました…
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ホストである薄羽さんのかっこいいレトロの中古車に乗り(車について詳しくないので、間違ったらすいません!)、あっちこっちのスポットに移動し、同じ大川海岸を何回通ったでしょう?朝の生き生きとした光景、昼の眩しい太陽、夜の小さい家の光…多分8回以上この海岸線を走り回りました。
「このカーブを超えたら、きっと獅子様の石が見える。」
「このトンネルを通ったら、きっと海のなみが見える。」
変わらない日々の中に生み出している安心感。映画のような景色と雰囲気の中で、薄羽さんとガールズトークをしていました。彼女はなぜ伊東に移住してきたのだろうと。そして、日々雑談の中に出てくる作品への考えに自分の見解を詳しく話してくれて、アドバイスも素直にしてくれました。
ちょっと失礼かもしれないが、短い時間で、薄羽さんが母親みたいな感覚でした。全てのいいものを私たちに教えたい、どんな細かいものでも知って欲しい、いつも完璧な笑顔で迎えてくれます。
他の旅人と架け橋を建ててくれて、特に同じ地域で活動しているプロの作家と仲良しになり、伊東から帰り、すぐ新たな機会が作られました。これはワーケーションの本意では思い付かない展開ではないかと思っています。
まとめ
芸術は無駄なことだなぁと、ある時期に思ったことは確かにあります。地方を賑やかにするには、色々方法があるし、芸術を通してやるのは実に難しいです。芸術祭以外にも人々を喜ばせる方法は、いっぱいありますよね。
ただ、結局、作品を作ることによって、多くの人に感動させることをもちろん願っているが、まず自分が言いたいことが言えたから、自分のことが先に救われると感じた。
「このような感情が伝わらないと、心がいっぱいになって、爆発してしまう。」
他人を助ける前には、自分のことを助けてあげる能力が必要であると思っている。飛行機に乗るとき、よく耳にしているアナウンサーは、何かあった時、天井から降りてきた呼吸マスクを自分の子供につけることを手伝う前に、まず呼吸マスクをつけてくださいって。
しかし、作品制作はひたすら自分のアイデンティティを発信し、自分の声を大きくすることにハマってしまうことがよくないと思います。特に地方の芸術祭は時々、アーティストとコレクターなど芸術関係者が一方的に盛り上げ、地元の住民から離れ、また住民が入れないこともあるそうです。芸術祭はこんな勝手な活動ではないと思います。
県外から移住、または一時的に滞在して、作品制作したり、芸術祭、または別のイベントを開催したりするときには、必ず地元の住民との繋がりを忘れることなく、きちんと結びついてほしいと考えています。
今回お世話になったホストの薄羽さん、アーツカウンシルの立石さんと若菜さん、素晴らしい宿とお食事を提供してくれた方々、地域を紹介してくれた方々、ありがとうございました!同行のアーティストさんたちからもたくさん学びました。(伊豆半島を一周回りたかったんだ、美景が多すぎでしたので、残念です!)
伊東から帰り、石黒さんと熱海芸術祭にも見に行きました。そこで伊東で一番好きな宿と食事を提供してくれた「ととりば」の阿部さんのことを思い出しました。
そっか、熱海には阿部さんがおすすめの干物専門食事処があると皆興奮していました。「普通は新鮮の魚を保存と運輸するために干物にしているが、このお店はわざっと新鮮の魚を干物にしている!」とプロな阿部さんが一押しの干物です。ちなみに、干物の鯖の皮は宝石のように輝いていました。
「芸術なんてどうでもいいから、飯と温泉さえあれば」を名言にしている石黒さんがどうしても行きたいので、お邪魔してきました。
(実はそれ以後伊東でとった全ての食事に対して、なぜか「ととりば」が万物の標準になっていた。(謎)
毎回食事するとき、「ととりばと比べたらどうかい?」と皆ワクワクしています。もちろん毎回「やっはりととりばってすごいよね…」の感想になってしまうけど。)
これは本気で海と魚を愛している漁師の人情味です。
この熱意を常に心にして、またととりばのご夫婦と会えたら嬉しいです。
また来年は伊東に展示をすることを計画していて、もしかしたら、原泉にもご縁があるかもしれません。いつか皆様と再会することを願っております。未来が楽しみです!
最後に火山と海の恵みに感謝 🌋🏖