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高野ゆらこ「9月3日晴れ(2日目)」

今日は飲まない、そう決めた朝。
昨晩のことはなんとなく察してほしい。でもいい夜だった。
右目のものもらいが痛む。

ゆっくり出発。ゲストハウスのご主人に自転車をお借りする。
無料と有料の貸し出し自転車があります、と聞いていたのでこれはおそらく有料の方だろう、と思い「おいくらですか?」と聞くと「いや、いいですよ」と。甘えさせてもらった。人生初ルイガノ。映えるなあ!

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気になっていたカフェ「Cafe &Records Delmonico's」さんへ。
カフェの前で犬と散歩してた(犬を、じゃなくて犬『と』。リードなし、一緒にテクテク歩いてた)おじさんがわたしを見て一言

「お、女かあ!」

確かに、髪の毛サイド刈り上げてて後ろでくくってたから…とはいえ、内心結構な衝撃を受ける。

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コーヒーゼリーパフェと自家製辛口ジンジャーエール。
ジンジャーエールが初めて飲む味で感動、なんのスパイスが入ってるんですか?とマスターに聞くとバックヤードから奥様が出てきて丁寧に答えてくれる。うわーーなるほど!でも、珍しいですよねジンジャーシロップでスパイス入ってるのって、と言うとここ最近スパイス入りに変えたばかりとか。「なんか、ありきたりは嫌だなって。つまんなくなっちゃったから変えて、実は今一番お気に入りなんです」と教えてくださった。

お店を出るとまだいた、おじさん。

「中学生か?」

え待って、嘘でしょ、思わず爆笑。
「いや、41歳です!!」
今度はおじさんが衝撃受ける番。

「うっそだろおおおおお!!!!???」

ごめんなさいね、河津にはいないタイプだったかな。
その後は井原さん柴田さんと合流して、伊豆ならんだの里平安の仏像展示館へ。館長さんがじっくり丁寧に全ての仏像について説明してくださる。

正直わたしは仏像についてはまったくの素人だし、お話のほとんどについていけなかったのだけど、館長さんがまるで『推し』について熱く語るような、その熱意に感動してしまった。
元々はまったく別のお仕事をされていて、そこを退職されたあとから館長さんになるって、サラリと人生の1ページのようにお話しされてたけどものすごい努力と仏像への愛があるんだと感じた。自分にはわからなくても、人が夢中になっているものの話を聞くのはいい。すごくいい。わたしもわかりたいな、と思った。

ホストの和田さんも合流して、午後はみんなで『つるし雛』を作ってらっしゃるマダムのおうちに遊びに行く。展示しているスペースに足を踏み入れた瞬間、語彙力ゼロで「え、やば!!」しか言えなくなった。

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わたしが壊滅的に写真のセンスがないので、井原さんや柴田さんのnoteを見てほしいです。本当にすごいんだって…!!全部手作りで、つるし飾りの種類やつるす順番にも意味があって、可愛いの極地…。

マダムに、つるし雛を作るようになったきっかけから気づけば馴れ初めや若かりし頃の強烈なエピソードも聞いてしまう。
「やりたいと思ったらなんでもやらなくちゃ」マダムから発されたこの言葉は、確実に我々の力になった。それにしても多才すぎるマダム、たくさんお土産も持たせてくれて、わたしはうさぎ飾り作りを教えてもらう約束もした。またマダムに会えると思うと嬉しい。女子会だ女子会。

マダムと別れ、そのまま近くの栖足寺へみんなで。
住職がたまたまいらっしゃったので、色々説明をしていただく。
謎の「きゅうり封じ」、まさかきゅうりにそんな力が宿るとは思ってもみなかった。上のリンク先を読むとよーくわかります。

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住職は元々サックス奏者として活動されたのち、3年間の修行を経て住職になられたとか。
3年かけて垢を落として〜と笑いながらお話しする住職に、垢は全部落ちましたか?と聞くと、そんなに簡単にキレイにはなりませんよ!と。
「人間そこまでキレイにはなれませんから」と穏やかにおっしゃる住職の顔がめちゃくちゃ良かった。

みんなと別れ、わたしは温泉へ。
ホカホカの体でスーパーに行ったら、バッタリ井原さん柴田さんに会う。
「さっき無人販売でピーマン買ったの、あげる!」と二人に無理やり渡す。河津に住むご近所さんたち、みたいなことができて良かった。
そのまま喋ってたら離れがたくなりそうだったので、サクッとバイバイする。

今夜は飲まない。でも下田産の生しらすを買ってしまった。悩ましい。

明日も楽しみ。
おしゃべりが、本当に好きだ。お会いしたどの方の人生も愛おしい。