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1月27日(金)頭の中→研究センター

15時頃に蛸みこし研究センターを訪れると、野口くんはパソコンのデスクトップに散らばったデータ整理をしていた。
野口くんはいわゆるノートパソコンを持っておらず、ハードディスクとキーボードを持ち歩いて行動している。その理由が「画面を折って壊してしまうから」(!!)各地で滞在制作するとき、宿のテレビなどに自分の持ってる機材をつなぎ作業をするのだそう。今回は私の事務所スペースにあったディスプレイを貸した。

「こんな広い場所で、自分の頭のなかを空間に広げるみたいに資料やものを並べて作業できてるおかげでいいアイデアがたくさん出てきます」
そう言いながら、もはや莫大な量のフォルダ/データのアイコンで背景が見えないデスクトップに向かう野口くん。

蛸みこし研究センターはほぼ毎日通っているが、毎日少しずつ資料の場所や積み重なっている順が変わったり、新しいドローイングや各所でもらってきたパンフレット、コピーした資料が増えていく。野口くんの頭の中のようすが、そのまま空間に伸び出してシンクロしてるみたいだ。

【この日の瀧瀬メモ】
・これまでの蛸みこしの他のプロジェクト同士のテーマを繋げ合う
ー 新宿のサウナ壁画
ー 大分の蛸つぼ土器
ー 豊岡演劇祭

・かぐや姫(特に富士に伝わるバージョン)が物語の最後に入っていく穴⇄タコが吸い付く穴(北斎の春画、通称「エロだこ」)⇄竹の穴
etc「穴」でつながり合う事象。

・富士山型ののぼり窯を、富士山が見えるところに設置して土器を作りたい

その後、静岡新聞の取材が入る。担当してくださったのはこれまでもアーツカウンシルしずおかの活動を、前身である「静岡県文化プログラム」の頃から取材されてきた記者さんだった。吉原での活動の様子を以外にも「地域振興と芸術の関係について」など掘り下げた話題になる。最終的には記者の方自身も感銘を受けて帰られた様子だった。

取材中

夜は田村の店でご飯を食べながら、舞踊譜をどう起こすか一緒にドローイングしながら考えた。自分が知ってることをシェアしながら、ああでもないこうでもないと野口くんと一緒に描くことで、野口くんから見えてる物事のちょっとしたニュアンスの特徴を掴んでくような感覚になる。

地域の人が知ってること、これまで体験したり考えてきたことが芸術家の思考回路をとおることで、地域の日常、「そこにあるもの」が異化されて見えてくる。閉まったお店から掘り出された「なんの変哲もないタンス」ですら主役になることができてしまうくらいなんだから。
静岡新聞の取材で記者さんと野口くんが話していた「芸術×地域振興」の詳細は雰囲気と後味でしか覚えていないのだが、舞踊譜作戦会議をしたあとにそれと繋げてこんなことをふんわりと考えた。

(YCCC 瀧瀬記)