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草野冴月「波と職人と龍(3日目)」

旅人▶︎草野冴月
滞在地域▶︎松崎町

マイクロアートワーケーション滞在3日目の草野です。
今日は午前中に伊豆半島ジオパーク、午後に漆喰鏝絵をめぐり、大自然と職人技に圧倒された日でした。

スタートはギャラリー丸平さんの外壁から!
↓の画像上側の、縞模様が入っている石材は松崎町で採掘された、火山灰や土石流が堆積した「凝灰岩」。外壁に伊豆半島形成の歴史が詰まっている……。

下側は別の採掘場から切り出した硬い石。
柔らかい凝灰岩を挟んで強度を出しているそう。
今度はランチ時に来ます!!

次に近くの「豊崎ホテル」さんのロビーにある魚の剥製ギャラリーを見せていただきました!

いや、、、ちょっとすごすぎません?
魚は皮が薄いので、剥製にするのはとても難しいんです……。しかもこれ、すべて1人の職人さんが作ったそうです。なんて美しい剥製。職人の技でした。

定置網にかかった魚たち
150種類くらいあるそうです。

大学生時代、海洋生態学を専攻し魚の研究(ヨウジウオ)をしていた草野、大はしゃぎ。

絵が良すぎる……。

豊崎さんにこちらの本も頂きました。
明日、ゆっくり読みたいと思います。楽しみです。

そして、いざ伊豆半島ジオパーク「室岩洞」へ!
ギャラリー丸平さんの外壁に使われていた伊豆石凝灰岩の採掘場です。ここにも職人の技が

私よりも足腰が強い渡辺さんと土屋先生。

今日は元ジオパークガイドの渡辺さんに案内をしていただきました!なんと、かの有名な浦安にある大きなテーマパークの火山を監修した方なのだそうです。渡辺さんの経歴が凄すぎて、それで一本芝居が書けそうです。

染み出した雨水が地底湖を作っている。
ノミの模様で切り出し方がわかるのがすごい。

凝灰岩は柔らかいとはいえ、手堀で規格に合ったサイズの石材を切り出すのはやはり職人の腕が必要なのだそうです。石材の切り出しから、海路での輸送方法まで、職人技が詰まっていました。
ホモ・サピエンスは、やはり知識の生き物なのだなと思いました。

室岩洞でもう1つ感動したのが、洞窟内にある照明の周りに植物が自生していたことです。
もともとは観光用に整備された人間のための明かりですが、その光は、本来なら植物は生育できないところに進出する手立てとなったのです。
植物(地衣類がメインでしたが)の生命力の高さに驚かされました。

室岩洞を後にして、さらに南へ。
続いては岩地海水浴場へ。

波の侵食で崖が削られる。いつか消えてしまう場所。
波の反響音が聞こえる。

海の!!透明度!!
思わず飛び込んでしまいたくなるほど美しい海でした。凝灰岩が波に削られることでできる景観があまりにも雄大で言葉を失ってしまいました。
地学をもっときちんと勉強しておけばよかったな……

岩地海水浴場の最後に、桜葉漬けの樽の中に入らせてもらいました!!
塩漬けの桜葉の良い匂いがしました……。
ここで瞑想に耽れば、面白いお話が降ってくるかも?

土屋先生と中を覗き込み
せっかくならと入り込み
瞑想に耽る
大きさ比較(笑)

帰りがけに道部の梅養院でパワーをもらって午前中は終了です。

ここにも凝灰岩と溶岩の境目が見える。

午後は、長八美術館と記念館、そして岩科学校へ行ってきました。
漆喰鏝絵は存在は知っていたものの、じっくり見るのは初めてでした。その細工の細かさといったら!これも圧倒的職人技。

長八美術館。外観、残念ながら工事中。
ランプ掛けの龍。顔がいい。
記念館の天井の龍。
岩科学校。緑、青、白が美しい。
入口上のバルコニーに龍がいる。

午後はたくさん龍に会いました。大学時代に研究していたのがヨウジウオとタツノオトシゴということもあり(?)龍のモチーフは昔から大好きなのです。龍図は火事よけのお守りだそうですが、滞在中はできるだけ雨を降らせないでくださいね……

大自然あるところ職人ありと感じた日でした。
というか、職人がいて初めて自然と渡り合えるというか。
さらにそれを芸術に昇華できる唯一の生き物なのだな……
と、そんなことを思いながら、3日目を終えました。
では、最後に今日のセリフをひとつ。


「潮騒が聞こえる。ここも、もうすぐ波に呑まれるだろう。海触洞に反響した低周波が体を通じて脳に届く感覚が心地いい。私の音楽は、海から生まれる。そして海に還っていく。セイレーンかよ、と自嘲った音も泡に溶けた。」