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折田千秋「マイクロな視点での静岡」【静岡市中部滞在まとめ】

8/31-9/6までアーツカウンシルしずおかが主催するマイクロアートワーケーションに参加しました。

静岡市周辺を散策しまちの魅力をリサーチするという主題のもと、空き家買取専科さんにご案内いただき充実した数日間を過ごすことができました。

静岡といえば富士山、お茶、みかんなど代表的な名詞はたくさん挙げられますが、よりローカルな目線でまちを見た時に何が見えるかは予想出来ませんでした。

今回のワーケーションで実際にまち歩きをしたり地元の人の話から見えてきた情報は街全体で見ると断片的なものかもしれませんが、とても濃く面白いものばかりでした。

今回は特に興味深いと思ったものを2つ紹介します。いろいろと紹介したいものはありますが、気になる方は滞在中のnoteをご覧ください!

1.商店街ごとの雰囲気の違い
2.ローカルなお店たち


まずは1.商店街ごとの表情の違いについて。

ワーケーションの数日間でいくつかの商店街を見に行きました。静岡市は駅から5分ほど歩いたところに官庁が集まるメインエリアがあり、そこからいくつかの商店街が点在しています。それぞれの特徴をまとめてみました。

・七間町名店通り
東海道でもあるこのエリアは昔から商業が盛んで、演劇や映画、娯楽の街だったとのこと。優しい白のアーケードを含め大理石や間接照明を生かした北欧風レトロな印象を受けます。詳しくはこちら。
http://www.7town.jp/about/index.html



歩道は3mありゆったりと空間を行き来できるほか、歩道+αの空間を作ることで人々が待ち合わせなど滞在しやすくなっています。そのαののりしろ的空間は様々な使い方をされていました。
まちづくりガイドラインが制定されているそうで、こちらに資料がありました。
https://www.city.shizuoka.lg.jp/000122671.pdf



・駒形通り
全体としてはシンプルな構造の錆びたアーケードで、地元の人のためのお店が並びます。
まちの中心部から駒形通りへ向かうと、ますはシンプルな構造の錆びたアーケード街に行き着きます。だいたい180mくらいの長さで、アーケードの間隔は途切れ途切れ。比較的新しい建物の前にはアーケードはありません。

もう少し進むと、赤青白のトリコロールカラーの通称「駒形通四丁目商店街」に行き着きます。240mくらいの長さです。その下にさらに緑のストライプのビニール暖簾があり、2重アーケードになっています。飲食のお店が並ぶこのエリアは西日が当たるので、太陽光を避けるための設計なのかもしれません。




以下、この街の成り立ちについて。
『駒形通は、平安中期ごろ「安倍の市」と呼ばれ、安倍川の流れに沿う川野辺として当時の人々が街を作ったのが始まりと言われている。その後、江戸末期より遊郭街となり、東海道を通る旅人、駿府の城下町の休まる場所となっていた。そうして人が集うことで様々な商店街が立ち並ぶようになった。以後、明治時代の遊郭街への取り締まり強化によって、遊郭としての顔が消え、今のような商店の立ち並ぶ「駒形通商店街」となった。そんな昔から、人々の生活に欠かせない街なのである。』(https://www.ne.jp/asahi/koma/4/about.htmlより)

2016-2021年まで静岡大学地域創造学科アート&マネジメントコースの学生さんがフィールドワークを行っていたようで、地域の人々の様子がわかるくらい詳細な描写がされています。
https://www.ne.jp/asahi/koma/4/about.html

・駿府町あおい通り商店街(北街道)
駅から5分ほど、駿府城公園の東側に位置するこの商店街は長さ420mと中々の長さのある商店街です。統一されたアーケードデザインかと思いきや、一部の古い店先などは錆びつつもシンプルな構造のアーケードとなっています。
まちづくりの一環として、店舗前1mの空間に椅子やテーブルを置き、私的な場と公的な場をつなぐ場が設けられたそうです。2021年10月1日-11月30日までと割と直近の政策ですね。その影響か、店先にお店を延長している店舗が多かったと思います。


まち歩きをしていて商店街に興味を持ったのは、その場所が醸し出す生活感が見えるからかもしれません。
おしゃれなブティックが集う場所もあれば、ちょっと古さのあるスーパーだったり、リノベして昨今の若者好みのカフェになっていたり。そんな多様な形態の店や家が凝縮された空間に魅力を感じます。
今回商店街たちを撮りためた写真たちでZINEを作れれば良いな、と考えています。

2.ローカルなお店
街歩きをしていて楽しみなことの一つは、面白い佇まいの店や家を見つけること。今回も面白い、そして気になる店を幾つか見つけました。

・ひばりブックス

静岡環状線沿いにある小さな個人本屋。

お洒落な外観の見た目通り、デザイン関連やアート関連の個人出版などコアな本やZINEも販売しております。新書や文庫本、雑誌や漫画も取り扱っています。選書が面白く、本に対する知識や愛を感じます。

奥にはギャラリースペースとカフェが併設してるので、本を読むのもよし、展示を見るのもよし、お茶をいただくのもよし。


・静岡市歴史博物館

本日プレオープン中の歴史博物館を見学。1F部分しか開いてはいないものの、スロープを使って史跡の周りを全方位多様な高さから鑑賞できる体験は新しいものでした。
近くに公園や学校、官庁施設も多くあるため今後は人々が集う場所にもなりそうです。

・ボタニカ

マンションの1室ごとに多様な活動が見られる場所。なんとなく大阪の中崎町の雰囲気を感じました。

閉館時間に寄ったため開店しているお店は少なかったですが、各部屋ごとの個性が扉や看板からも伝わり、それが一つのボタニカとしたの個性となっていました。




・しずおかのひみつ交換所

駿府城公園にてシズオカオーケストラさんによるひみつを取り扱う交換所が開かれていました。

こっそり自分が知っている静岡の秘密を、誰かの秘密と交換するものというもの。

私がいただいた秘密はとあるミッションを遂行するものだったので、いつか実行できれば良いなと思います。
決まった場所で活動するのではなく流動的に場所を変えて活動しているそうで、今回はたまたまタイミングよく参加できました。




・学生服のやまだ

北街道の通りにある黄色のとても目立つ建物です。町歩き中に気になって調べてみました。
最終日の意見公開の日に、参加していただいた地元の方に話を聞いたところ静岡では超有名なビックネームで、誰でも知っているとのこと。学生服はやまだしかないのでは?ここでしか買ったことがない!CMソングが有名。などなど大いに会話が盛り上がりました。




学生時代は浜松の静岡文化芸術大学に在籍していたので西側のエリアには色々と足を伸ばしておりましたが、中部エリアは駅を利用するのみだったのでまちのイメージがありませんでした。
今回は地元の人と直接的にまちの情報を聞きコミュニケーションが取れたので、短期間ながら静岡の街への解像度が上がりました。

今回はホストの空き家買取専科の黒田さんと三輪さんをはじめ、インターンの木村くんと志賀くん、シズオカオーケストラの井上さん、ADDresの八木さん、Otonoの青木さん、多くの方々にまちのことを知る機会を与えていただきました。一人では得られない情報も多く、本当に貴重な出会いでした。
また、今回旅人としてご一緒した音楽家の仁科さん、アートマネジメントの米原さんとも出会えた良い機会となりました。
互いに全く異なる活動をしているためこのような場がなければ全く関わる機会がなかったかと思いますが、今回のワーケーションを機に互いの活動や関心ごとなどを掘り下げて対話できる機会に恵まれました。
お二方ともどこかでご一緒に活動できる機会があればと思います。

旅立つ前はこの数日でまちを調べ切れるのかという不安もありましたが、ふたを開けてみれば人に恵まれたワーケーションとなりました。まだまだ静岡市の魅力はお伝えできていない箇所も多くありますが、また訪れた際にでもお伝えできれば思います。
今後の活動としても、静岡で「Collective Image」という印象の集合知の作品を制作したいと考えています。今まで茨城、神戸などの地域で行ってきたこの活動ですが、静岡という魅力的な地に縁ができたということでこの場所でも制作予定です。過去の作品の様子はこちら
多くの地元の人に関わっていただければと思っています。そこで新たな静岡の見え方が発見されるのではないかと今から楽しみです!