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長谷部勇人「50年(4日目)」

好きでギター雑誌を眺めていると、50年以上前に作られたギターがビンテージとして高額で掲載されている場合があります。その希少性は理解できますし、化石や印象派の絵のように写真越しにもオーラが伝わります。半世紀近くもの間、僕は何かを大切に所有したことはまだありませんが、この長い時間感覚に触れた気が今日しました。

今日は朝から半日使って、実際に林業の現場で木を切られている方にレクチャーを受け、間伐する杉をチェンソーで切る機会をいただきました。チェンソーの使い方をはじめ切る工程までも教えていただいたので、時間はかかりましたが、初めての僕でも杉の木を倒すことができました。この経験は生涯自慢できることでしょう。

この間伐した杉の年輪を数えてみるとざっと50年、それでもまだ細く若い木だそうです。今のおじいさんたちが若いころに植えた木を僕らの世代が切らせていただいたことになります。これは林業の世界では当たり前のようで、それこそ自分の植えた木を自分で切ることはないと仰ります。とりわけ龍山町の林業は昔から真面目で、間伐や枝を切り落とす手入れ等を怠らず、日本の中でもしっかりとした木材を生産しているそうです。こうして広大な敷地の山そのものを健康に維持していることを思うと、自分ひとりの人生の長さだけでは測れない自然世界の時間を体感することができました。


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