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奥野晃士「小学校訪問〜中郷小(特別支援学級2-5年生)からの長伏小(教員)」(2日目)

朝、富士山を望む滞在しているホテルの風呂に入ると、
朝日に照らされた神々しい姿。

晴れてよし 曇りてもよし 富士の山 

        元の姿は 変わらざりけり
                 by 山岡鉄舟

が思い浮かぶ。

東京で侍従をしている間も三島の龍澤寺に参禅し続けた鉄舟も、冬場の富士を見て心安らいだことだろう。


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朝、教育委員会の渡辺さんの車に揺られて
中郷小学校にゆく。

渡辺さんはもともと小学校の教員で、
子供達との交流にやりがいを感じていただけに
教育委員会に在籍している今、しきりに現場を恋しがっておられた。
しかも中郷小には2年前まで勤務していただけに
当時担任していた子達は今6年生になっているとのこと。

じゃ、渡辺先生が登場したらさぞ6年生が喜ぶのではと思って私もカメラを構えて校庭に入ると
グランドではその6年生たちが体育の授業で短距離走をしていたのだが、
授業中ということもあって、小さく手を振りあうくらいで終わり、いささか拍子抜けした。

まずは校長先生にご挨拶して

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特別支援学級への心構えをそれとなく聞く。
校長先生はとても穏やかな人物。

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教頭先生も何くれとなくお気遣いいただき、かゆいところに手が届く方。

しかし特別支援学級という未知の領域に立ち入る前の不安と

何が起こるかわからないワクワク感が交錯して沸き起こって来る。

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政治家だか評論家だかが言ってたが
日本の学校の先生の9割はとても優秀で熱心だが
現場は激務でストレスも溜まりやすいと。
以前スイスで生活する娘を数週間受け入れてもらった
私の母校、淡路島の大町小学校の校長先生は
私の同級生のお兄さんだったが、

節分の時の鬼には喜んでくれたので、鬼の格好で登場することに。


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案の定逃げ出す子供も一人いたが概ね好意的に受け入れられた。

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2年生から5年生まで総勢11名の子供達は
とてもにこやかで、コミュニケーションもさほど問題ではないように思え
特別支援学級である必要がどこにあるのか最初はわからなかった。

先生もつきっきりで授業に付き合ってくださり
校長先生や教頭先生も見守る中
「私あなた」から始めた。
確かに、一つの行動をとるまえに必要以上に考えたりするので
スピード感をもって行えるようになるには、時間がかかった。
だから倍の時間がかかる。



しかし、芸術とはそもそも画一的に物事を捉えるものではない。
まして演劇は生身の身体が舞台上に存在する生きた芸術である。
素材の特性を活かす寛容さは、時に忍耐を必要とするが、
その忍耐はすぐに報われるのである、

初めは覚束なかった子供達も、時間が経つにつれて笑顔が溢れ、
身体には活力がみなぎり、新しい試みや遊び心を取り入れつつ
集中力を高めて活力が増していった。


自分が指名されて注目を集めると笑わずにはいられない子もいた。
ゲームを重視するとより早くを要求してしまいがちだが
「Rくんは、まず笑って………からの〜」などと、
彼のリアクションも「パート・オブ・ザ・ゲーム」と思って尊重してあげると
やがて笑いがなくてもゲームを続けることができるようになった。

ワークショップは50分で終わったが、
最後彼らが見せてくれた笑顔は、渡辺さんが現場を恋しがる理由がわかった気がした。


ワークショップ最後の数分を使って、二人一組で鏡映しのワークを行うミラーをすることに。
一際小柄で内気そうな子が一人余ったので相手をしたのだが
私の動きを彼は正確に模写することはできなかった。
正直不安がよぎったが、私は彼にリードを委ねることにした。

すると彼は指先を鷹の爪のように立てる動きを始めた。
すかさず私も真似る。
すると反対の手で握り拳を作って爪と組み合わせる。
私は従う。
そうしたら次第に体位を低くしはじめ、最終的には床に寝そべる形になった。
周囲の教員から歓声が上がったのは言うまでもない。


校長室で先生から彼はとても内向的で、保守的で、
何をやるにも手のかかるタイプなのだそうだ。

とても誰かを導くなんてできないと思ったそうだが、
驚くほど豊な動きを見せたのに演劇の力の凄さを感じたと言ってくれた。

まさに我が意を得たりというところだ。

お昼前には本町に帰って来れたので、「三島クロケットに今日は一日中いいます」と連絡をくれた山森さんに渡辺さんをご紹介し、

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11/30にリーディング・カフェを開催させていただく、みしまプラザホテルに石川さんを紹介させて頂いた。


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そのあとは、長伏小学校に教員のワークショップに出向く。

こちらの校長はボスタイプ、というか

大企業でも御出世されてたんじゃないかと思えるタイプ。

教頭先生も庶民的な感じ。

なんと同じ申年でした。

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先生方15名は年齢も性別もバラバラ、

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まずニックネームをつけてもらうといわく
「マスオさん」「カツオくん」「焼きそばちゃん」「ティアラ」などなどバラエティーに富んだニックネームが飛び出した。

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ぐーたっち自己紹介から始め私あなたを三段階はかなり盛り上がる。
そのあと名前鬼ごっことか割と定番の種目も熱心に取り組んでくださった。

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老若男女個性が際立つ先生ばかりで職場の雰囲気も良い感じがする。

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子供の頃にやった遊びがベースのワークだけに
真面目な風貌の先生も童心が頭をもたげてくるのがわかる。
彫刻ネーミングでは

二人で作ったポーズに名前をつけるため
ポーズをつくる方も名前をつける方も創造性が求められる。

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身体を作品として構成することの難しさと楽しさの一端を味わっていただけたのではないかと思う。


ちなみにワークショップの様子は

12/2の静岡新聞に掲載して頂いた。

記者さんありがとうございました😊


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この先生方にこの短い時間で何を伝えれたわけではないとは思う。
しかし私がワークショップの根幹に考えてることは、
いざというとき文明脳から野生脳へのシフトチェンジができるかどうか。
これに尽きる。

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夜はEight ♾のリハ。

久しぶりにリスダンサー達勢揃い🐿

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