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市川まや(龍山町1日目3/9)「第一村人発見」

ダンス経験があるという「山いき隊」の千陽さんが、西鹿島駅にピックアップしてくれた。

車が無いと行けないような場所であると知ったのは、「旅人」に決定してからだった。聞けば、夜になると獣の声でにぎやかだとか、ネットがと届かない場所があるだとか。どんな場所かと多少不安になった。

出発前に、調味料や、共有食材のリストアップが送られてくる。運転してくださるし、食材はあるし、スケジュールは丁寧に考えてくださるし、何だかおもてなしされ過ぎて申し訳ない気持ちになる。

道中の車で、山いき隊の活動のこと、それがほとんど中止になったこと、前の「旅人」の話を聞く。どうでもいい話もする。

一旦荷物を滞在先へ。そこでホストの、のぞみさんと出会う。よく笑い、穏やかな口調で歓迎してくださる。

そのあと、丸い眼鏡をかけたもう一人の「山いき隊」の長谷山さんと落ち合う。名刺交換に動揺をしてしまった。

「旅」はもう始まっていて、「どこに行きます?」の問いに戸惑ってしまう。いわゆる「一人旅」の場合、自力で行きたい場所にたどり着くのが当たり前だが、運転してもらっている立場でどこに行きたいか指示を出すなんてと、「図々しい旅人になる」と決めたくせに、後ろめたい気持ちが前に出る。

それに、さっきから横に見えている川だけでもうすでに、日常では見れない風景が広がっている。

その間にも二人は山の上の方へ、天竜川というこの地区のメインの川が見下ろせる場所へ向かってくれていた。

「車があるからいるんじゃないの?」という言葉で、いったん車から降り、とある家に向かう。すると素足にサンダルをはいたおばあちゃんがいる。

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この地区にずっと住むそのおばあちゃんはちずこさんと言い、今年の9月で80歳になるそう。大代に乗るとご自身で仰るが、ラインでどら焼きの絵文字を使ったり、クラフトテープでかごを編んだりと、まだまだ元気。

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(恥ずかしそうに「家がかたずいてない」と言いつつも招き入れてくれた。)

とはいえ、茶畑に20キロの肥料を担ぐのは数年前から難しいらしく(数年前まで担げているのがすごいのだけど)息子に頼っているとのこと。

聞けば小学校の頃は木馬(きうま/きんま)という山から材木を運ぶためのそりを引く道で遠い遠い学校まで通っていたとのこと。よくテレビで外国の子どもが川や崖を越えて学校に通っているシーンを見たが、それに似たような光景が日本にも、きっと各地であったんだな、なんて思う。

この辺りには「ぶか凧」という大きな凧がある。茶摘みの繁忙期が終わった6月にあげるそうだ。(本当は子どもの日にあげたい?のだそう)それを置いてある部屋があり見せていただく。

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ちずこさんのお家の上に住む、ひろこさんのお宅にもっとたくさんあることを知り、見せていただくことになる。

ひろこさんの話によると、茶摘みが忙しいという理由もあるが、6月にだけしか吹かない、特別な吹き上げるような風が吹くからという理由もあるそう。風が吹かない年もあり、そういうときは「だめだねぇ」と、あきらめるそうだ。

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この凧がかざってあるお部屋はひろこさんの旦那さんのむねお(通称ねえぼ)さんの道楽部屋で、カラオケや腰をぶるぶるする健康器具がある。

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「ここは景色だけはいいのよ」とひろこさん。続けて「町に行く道ができて便利になったけど、この道を引っ越し道路と呼んでいる。」

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(ひろこさんお気に入りの木と天竜川)

そのあと、不動の滝や撮影できそうな場所を下見したり、壮大な光景が見える場所に案内してもらう。まだ、自分が、どこにいるのかがよくわからず、たまにインターネットの接続が切れて、ああ、山の中にきたのだなぁと、実感する。

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