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中村るつ「松崎町を振り替える」(まとめ)

自宅の浜松から。松崎町に滞在した一週間を思い出しながら記事を書く。外は土砂降りの雨、激しい雨音を聞きながらパソコンに向かう。

帰りは渋滞にはまることもなく昼過ぎ家に到着した。松崎町と浜松は同じ静岡県にあり、距離にして200㎞ほど離れている。静岡県に住んでいながら、私は今まで伊豆半島を訪れたことがなかった。そういえば観光協会の佐藤さんも、県内からではなく関東から伊豆を訪れる人の方が多いと言っていた。マイクロ・アート・ワーケーションがあると知った時、ぜひとも伊豆半島に訪れたいと思った。そして伊豆半島を調べていく中、県内で一番人口が少なかったことと(総人口約6,500人)、町のホームページに掲載されていたFacebookの内容が楽しそうだったので松崎町へ行く事にした。


松崎町は伊豆半島の西海岸南部に位置し、この辺りは風が非常に強く吹き荒れている。私たちが滞在した1週間は幸いにも快晴が続き、気候もずっと穏やかだった。ひどいときには強風で立っていられないほど荒れる日もあるそうだ。松崎町は寄港地として栄えた場所でもある。昔、船で江戸まで移動する際、松崎で風が止むのをまってから荷物を運んで行ったそうだ。そんな話を元役場職員の森さんが話してくれた。

「商人が立ち寄って人の行き来が多かったから、この辺りの人はもてなす事に昔から慣れているんだよ」

この話を聞いたとき、花壇にお花を植えていた年配の女性を思い出す。おもてなしのこころを垣間見た気がする。こういったこころが、松崎町の"いい気分"をつくりだしているのだと思う。土地が人をつくり、人が土地をつくる。この松崎町にはどのような人々が住んでいるのか気になり、私は滞在中町の人に声をかけていた。

特に印象に残っていたのは海岸でさくら貝を拾っていた女性だ。地元を離れた人々のために貝を拾っていた彼女。コロナでなかなか帰省できない人をおもい、地元の自然を見せてあげる。相手を思う気持ちに感激した。
松崎に住む人々には人を思う気持ちだけでなく、自分たちが楽しむ事も忘れてはいない。これはとても重要な事だと思う。町中を歩いているとお花をよく目にした。庭で手入れされているお花も多いのだが、町の取り組みとして「松崎まちかど花飾り」というイベントも開催されたり、春には田んぼ一面をお花畑にするイベントも行われている。そこでは住民がつくったリアルなかかし(以下、リアルかかし)も登場する。

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使われなくなった農具に花を生けている
街でみられる光景の一つ

リアルかかしの制作者にお話しを聞くと、みなさん楽しそうに、元気に、そして真剣に制作されているのが伝わってきた。そんなお話しを聞くと私も元気になった。

松崎町の人々はとてもパワーがある。だからこそ、この松崎町という土地も元気なのだと気づかされる。元気になった土地は、より人々にパワーを与える、そんな循環をここ一週間で感じた。一緒に何かしたらすごいものができる、そう確信する町だと思った。
別に何かつくらなくても、この町に行くだけでもパワーをもらう事ができる。惹き付けられてしまう町、そんな場所だった。

沢山の出会いと体験を
ありがとうございました。

中村るつ




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