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細淵太麻紀 「下田はじめまして物語」 (1日目)

初めて「踊り子号」に乗った。横浜からわずか2時間半、お弁当を食べてうとうとしているうちに伊豆急下田駅に着いてしまう。
本日の宿は「LivingAnywhere Commons 伊豆下田」という元造船会社の社員寮を活用したレジデンススペースで、今回同行している友人の紹介でこちらに宿をとることにした。事前に送られてきている情報をもとに無人チェックイン。自室に荷物を置いて早速まちに繰り出そうとしていると、1Fのコミュニティスペースにいた若者から声をかけられた。聞けば彼はスタッフではなく、私と同じ埼玉の生まれで1年前からここに逗留しているのだという。そして来月からは正式にここのスタッフになるのだそう。旅人が住み着いてしまうほどの魅力が、ここ下田にはあるのだろう。

水辺に立つ4階建ての建物が 「LivingAnywhere Commons 伊豆下田」

最近は陽が長くなったこともあり、自分の時間の感覚が少しずれている。とりあえずお茶でも飲もうとペリーロード沿いの「草画房」にはいり、ケーキとカフェオレをたのむ。どうやら閉店間際だったようで、ぎりぎり入店できてよかった。美味しいチーズケーキを堪能しおわる頃には、もう閉店準備を始めていらしたのでお会計を済ませて靴を履いていると、後ろから店主さんに「素敵なリュック!」と呼び止められた。そして奥にいたスタッフの方まで呼んでこられたのでリュックの話をしていると、着ているコートやスマホケースなど次々に褒められる。それらがどんなものか、どこで買ったものかなどをお教えしたら、お礼にと販売されているポストカードをくださり、おすすめの下田のお店を教えてくださったので急いでマップにメモした。こんなに自然にお互いに必要な情報を交換できるのはなんだか嬉しい。
聞けば店内の現代書画的な作品は全て彼女の手によるものだという。そして近く息子さんが横浜で個展を開催されるとのこと。なんという奇遇。

草画房の竹沢さん

宿で自転車を借りて黒船ホテルの日帰り温泉にはいり、先程「草画房」の竹沢さんに教えてもらったワインの美味しいスペイン料理の店に行くも、残念ながらご予約で満席。とほほ。それでは、と、前回下田に来た時に気になったお店「テーブルトマト」に向かうことにした。女性店主がてきぱきと提供してくださるお料理は全て美味しくワインも進む。店主の山田さんのご両親が吉佐美で作っているお野菜を使っているとのことで、野菜がとにかく美味しい。今回の旅で吉佐美方面に行く予定なので、吉佐美周辺のおすすめスポットなどを伺う。またこちらのお店の2Fは「Books 半島」というグッドセレクトなブックストアになっている。同行の友人は出版関係の会社に勤めており、実はライターでもある店主の山田さんと、本の趣味、食の趣味ともばっちり合った様子。山田さんは横浜にもよくいらっしゃるようで、ここでも奇遇な出会い。そして実は彼女の本拠地は大磯で、このお店を開けるのは月の1/3程なのだという。というわけでタイミングよく開いててくれてよかったです。

Books 半島
2Fの本を思わず買い込みご満悦の友人N女史と店主の山田さん

ノープランでなりゆき旅をしているにもかかわらず、そしてまん防期間中につき人との出会いなど諦め気味でいたにもかかわらず、快調な滑り出しの下田滞在初日となった。


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