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長谷部勇人「伐採(1日目)」

浜松の市街地から川沿いを車で北上していくと、徐々に目線より高い山々に左右が囲まれ、中央を走る川は周囲の景色が映り込んでエメラルド色に輝いています。ここは天竜区龍山町、天竜川の景色と迎えていただいたホストのメンバーの人柄がとても魅力的です。

この度、僕は木材についてのリサーチを希望してこの場所を尋ねました。それは僕が自作楽器を制作している中で、木材ができるまでのプロセスに関心を持つようになったからです。

今日は龍山森林組合さんにお邪魔をして、実際にヒノキを伐採する様子を見せていただきました。伐採を見学する際には高い位置から行います。倒れてくる樹木に巻き込まれないようにするため、または重機のキャタピラが弾いた丸太の破片や大きな石などを避けるためです。30m以上はありそうなヒノキは、素早くチェンソーで切り込みを入れられると、聞いたことのないようなボキッという鈍い音を立てて根元から倒れていきました。大型の重機はその切り倒されたヒノキを箸でつかむかのように拾い上げ、枝を切り落とした後、短冊にカットしていました。圧倒的なスケール感です。

ヒノキの加工についてもお話を伺えました。ヒノキは長い乾燥時間と成形を経て、反りを強制する必要があること。まな板のような分厚い木材に整形しても、水に触れると再び反ってしまうこと。そのようにヒノキは加工性に優れていますが、故に柔らかいために市販品としての楽器の素材には向いてないことを教わりました。薄々とギター制作には伝統的に使われているメイプルやマホガニーなどの硬い木材が適していることに気づいていましたが、もし龍山町のヒノキを使ってギターができたら、地元にある他の木工細工とは異なる魅力につながると思い、俄然やる気はキープしています。

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