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内田涼「あたためる方法」(5日目)

少し早起きをして、港の朝市へ。かなりいい雰囲気だ。いい感じにアジアの情緒が漂っていて、台湾やジョグジャカルタの小さな朝市を思い出した。

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念願の金目鯛の釜飯を食べる。美味しい。なんかこういうところで食べるのって本当においしい。味噌汁はなんとおかわり自由だ。蓮の茎や葉が入っている。アジの開きとみかんジュースも購入した。朝市、毎日開催してくれたらいいのに。

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糀屋旅館に戻ってチェックアウトの手続きをする。この旅館は戦争当時からやっていて、昔は船乗りの宿泊場だったのよ。そこの前の細い道がメインの通りで、わたしが小さい頃は商店街だった。この下の道は埋立地なの。昔そこのところは浜辺で、撮った魚なんかを乾かしたりした。そういう感じだった。と女将さんが教えてくれた。
温泉が熱くてしょっぱくてとても良かったですと言ったら、塩分が体を温かくしますからね、今日は寒いから、気をつけて行ってらしゃいと言って、優しく送りだしてくれた。

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次の宿は「まえだ苑」という旅館。女将さんの計らいで早めにチェックインさせてもらうことができた。荷物もあるし寒かったのでとても助かった。

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海が一望できる素敵なお部屋でパソコンを開き、昨日の日誌を書くという非常にワーケーションっぽい時間を過ごしてから、お昼ご飯に出かける。今日は奮発をして金目鯛の漬け丼定食2800円。贅沢である。

雨の中1時間くらい散歩してから宿に戻り、露天風呂へ。昼からお風呂に入れるなんてとても気分がいい。菊名から旅行で来ているというご婦人と湯船に浸かりながら20分くらいおしゃべりをした。お風呂でこんなに喋ったのは生まれて初めてかもしれない。


稲取へ来てから毎日のように

・自分が何者なのか

・なぜここにいるのか

・ここでなにをしているのか 

・どこから来たのか

・どこに泊まっているのか

・いつまでいるのか

を説明している。特に上の3つは複雑で、端的に説明することができない。言葉にすればするほど何かがこぼれ落ちるような気がしてほんとうに難しい。考えれば考えるほどうまく言い切れないのだけれど、でも余計なことを考えるのが自分の仕事であり性分なので、めんどくさいが、仕方がない。これからも言い淀んでいこうと思う。 


夜は陶芸家の深澤さん宅で小さな交流会が行われた。提案、セッティング、連絡、買い出し、準備、片付け等々ぜんぶ皆さんにやっていただいて、本当に感謝である。すごくたのしかったし、一生懸命用意してくれた手作りのお料理は、あたたかくて美味しかった。
朝と昼にたべた金目鯛の味は遥か遠く彼方へと追いやられていった。

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