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マイクロアドの主力事業「UNIVERSE」とは?(ビジネスモデル編)

みなさま、こんにちは。
株式会社マイクロアドのIR担当のてつおです。

今回は、自社製品であるデータプロダクトのうち、注力事業である「UNVERSE」について、成長可能性資料やIR動画に使用した過去の資料をベースにビジネスモデルのおさらいをしていきます。

・この記事を読むとわかること・


データプロダクト「UNIVERSE」とは?

提携しているデータ保有企業・メディアから収集した、消費行動データを独自のAI技術で分析し、自動車、飲料・食品など19業種に特化したマーケティングプロダクトです。当社と提携しているインターネット上の広告枠で広告を配信することで、広告主企業から広告費をいただいています。

「UNIVERSE」ができるまで

アドテク企業だったマイクロアド

まずは、「UNIVERSE」ができるまでの背景についてです。
マイクロアドは、2007年の創業当初はアドテク(インターネット広告技術)が主力事業の会社でした。

アドテクとは、当時欧米でインターネット広告配信をテクノロジーの力で最適化するRTB(Real-Time Bidding)という技術が誕生し、「アドテクノロジー(アドテク)」という新しいマーケットが誕生しました。

RTBとは、ユーザーが広告枠の設置されているページを訪問してから、ページがすべて表示されるまでのわずかな時間で、リアルタイムで広告枠のオークションが行われ、最も高い入札単価を提示した広告が表示される仕組みです。マイクロアドは、国内でいち早くRTBに対応したため、当時アドテク市場を牽引していました。

RTBの代表的な活用例が「リターゲティング広告」というものです。
一番わかりやすいものでいうと、インターネットの通販サイトで商品を見た後に、「さっきまで見ていた商品や類似商品の広告がしばらく出てくるなぁ…」といったことがあると思いますが、すでにユーザーが興味関心を持っている可能性が高い商品・サービスの広告を、ユーザーに表示させることで、効果的にアプローチすることができる手法です。マイクロアドは、「リターゲティング広告」の商標を保有していた時期もありました。

しかし、RTBの技術が広く普及してきたため、 同業他社の市場参入が一気に増加し、サービスの付加価値や差別化を発揮しづらいマーケティング手法となっていきました。

アドテクビジネスの課題

RTBやその技術をベースとした、「リターゲティング広告」のマーケット規模が大きくなるにつれ、同業他社との同じ方向性での競争は長い目で見たときの広がりがないことや、購買直前の非常に狭い範囲のデータだけを活用しているにすぎず、果たして「顧客である広告主のマーケティング課題に向き合えているか」ひいては「広告主の先の消費者のためになっているのか」という課題が出てきました。

そこで、インターネット広告市場での差別化や広告主の課題解決のため、まだ商品認知のない潜在的な消費者ニーズに対する新しいマーケティング手法の開発を目指すべきだと考えました。

また、スマートフォンやタブレットなどの本格的な普及と共に、この頃からソーシャルメディアの利用者が増え、発信や共有など、インターネット上でのユーザー行動の多様化も進んでいき、流通する情報量が拡大していきました。
インターネット上で流通するデータが増えていく中で、それらのデータをより有効に活用するビジネス、ソリューションを中心とした事業に舵を切っていくことが今後の事業成長にとって重要であると考えました。

アドテクからデータを軸とした会社へ

アドテクからデータを軸とする事業へ転換していったのが、2016年頃です。Tポイントを運営するCCCマーケティングや、携帯キャリアデータを保有するソフトバンクとの提携などを皮切りに、オンライン・オフラインの膨大なデータを一元的に管理し、マーケティングに活用できる分析を行うプラットフォーム「UNIVERSE」の構築が進んでいき、現在のデータを軸としたマーケティングが事業の中核となりました。

「データは21世紀の石油」と言われていますが、20世紀では原油を精製して石油から様々な商品ができ、経済成長に大きく寄与しました。21世紀では原油・石油がデータであり、テクノロジー、AIを使うことでさらに新しい産業が今後も創出されていくと考えています。

足元では広告・マーケティング事業が中心ですが、その先にはデータを使った新しい産業を創出していくことも見据えています。

「UNIVERSE」のビジネスモデル

決算説明資料のビジネスモデルの図を元にIRnote用に編集。

現在の注力事業である「UNIVERSE」のビジネスモデルを簡単にまとめると、6つのステップに表すことができます。

  1. 仕入れ:提携している215(23年9月末時点)のデータ保有パートナーから様々な消費行動データを収集・累積。

  2. 分析:収集したデータを独自のAI技術で分析。

  3. 加工:データの分析結果を元に業種ごとに特化したマーケティングプロダクトを開発。

  4. 提供:広告主企業から依頼された広告案件に対して、マーケティングプロダクトを活用し最適な形で広告掲載メディアへ配信。

  5. 仕入れ:広告配信先(広告掲載メディア)へ広告掲載費を支払う(広告枠の買付)。

  6. フィードバック:データを使用することにより、次回以降の広告出稿を検討していただくために広告配信の効果分析レポートを提供。

データの分析・加工などで独自の付加価値を提供することにより、データプロダクトの売上総利益率は約40%と比較的高い製品性となっております。

データ分析について

当社独自の付加価値の部分となるデータ分析の部分についてです。
具体的に自動車業界向けの「IGNITION(イグニッション)」というプロダクトを例にしてご説明します。

「IGNITION」では、新車のレビュー記事などを掲載している自動車専門のWebメディアからアクセスログのデータを提供していただいております。
アクセスログのデータとは、「何時何分」に、「どのユーザー(ブラウザ)」が「どのURL」にアクセスしたというデータです。
これだけでは使えるデータではないため、1つ1つのURLを言語解析することで、「このページ・記事」が、「〇〇という車種のレビュー記事」であると分類をすることで、車の興味関心データベースを作ることができます。

このように、アクセスログのデータから自動車の興味関心データベースを作ることが出来て初めて、SUVのプロモーションをする際に、似たような車種で検討している人を類推することが可能となります。

つまり、そのままでは使えないデータを、当社独自のテクノロジーで使えるように加工して、顧客の課題解決をすることがコアな強みとなっており、様々な業種に合わせた形で展開しています。

提供している業種特化プロダクト

現在「UNIVERSE」で提供している業種別プロダクトは、全部で19業種あります。そのうち、B to B(法人向け)の「シラレル」、人材・採用向けの「マーブル」、直近では、ECサイト向けのプロダクトを中心に拡大しています。

業種別にプロダクトを提供している理由として、消費者の消費行動は様々であり、顧客である広告主の抱えるマーケティング課題も業種ごとに全く異なるからです。

UNIVERSEでは大量のデータを保有し分析することで、様々な業種に合わせ、最適なマーケティング施策に落とし込むことが可能です。
プロダクトごとの顧客の課題とソリューション例につきましては、こちらのスライドをご参照ください。

「UNIVERSE」の強み・参入障壁

最後に、UNIVERSEの強み・参入障壁をまとめます。
データやシステムは目に見えない、わかりにくいものなので、より簡単に捉えていただくために、レストランに例えてみます。

厨房=データプラットフォーム・広告配信システム

まず、料理を作るには、厨房が必要です。
この「厨房」にあたるのが、データを処理する「データプラットフォーム」と「広告配信システム」です。
「広告配信システム」がどれぐらいの規模なのか、想像がつきにくいかと思いますが、月間に何百億回といった広告配信を自動でできるような大規模なシステムです。時間と多額の開発コストをかけて作り上げており、現在も日々機能改善を重ねています。

シェフ=データ分析官・分析AIモデル

料理を行うシェフにあたるのが、「データ分析官」や「分析AIモデル」になります。
特に、データ分析官の採用はなかなか大変ですが、マイクロアドではデータアナリストを新卒で採用し、独自のノウハウで育成をしています。
そしてこれまで蓄積してきた、消費行動を分析する独自のAIモデルや言語解析技術を持っていることも強みです。

食材=膨大な消費行動データ

最後に、食材にあたるのが、UNIVERSEが保有するデータそのものです。23年9月末時点で、215のデータ保有企業・メディアさんと契約をしておりますが、多くの企業と提携するのは非常に時間がかかります。

データ保有企業との契約(データ費用の支払い)は、レベニューシェアとなっており、ご提供いただいたデータを広告配信に使った場合、広告費のうち何パーセントかをデータ利用料としてお支払いする仕組みになっています。
提供いただいたデータをしっかりと意味のあるものへ加工し、販売し、広告主企業様より広告費をいただかないとデータ利用料もお支払いすることができません。そのため、これまでのマネタイズの実績に基づき、多くの企業・メディアとの提携することが可能となりました。

レシピ・料理=業種ごとのデータプロダクト

これらすべての要素を掛け合わせることで、追加の投資が必要なく、様々な業界業種に向けた新しいプロダクトを作り出すことが可能となります。
さらに、これら複数の資産を一定の規模まで拡大することで、初めて価値提供が可能となるため、ゼロからすべてを組み上げるには、膨大な時間とコストが必要となります。これらが参入障壁の高さに繋がり、「UNIVERSE」の独自性を形作っています。

編集後記

長くなってしまいましたが、今回は、注力事業であるデータプロダクト「UNIVERSE」のビジネスモデルについてのおさらいをしました。

初めての投資家様とお話する中でも、一番時間をかけてお話しするコア事業です。なかなか聞きなれないような単語も出てくると、難しく感じると思うので噛み砕いて説明してみましたが、いかがでしたでしょうか。
今後「UNIVERSE」の業績推移や他の事業についても書いていく予定ですので、長い目で見ていただけると幸いです。

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本記事は、当社事業や業績などIRに関する情報提供を目的として作成しており、投資勧誘を目的にしたものではありません。
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