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愛のしるし

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たくさんの「スキ」をもらった文章。下のほうにも良いやつがたくさんあります。
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#短歌

エモ短歌 読んでるうちに 心越え

涙出てくる、ぼやけてくるの  即席ではそんな歌しか読めっこのないわたしである。  これを書いてからほんの数十分後くらいに「うたらば」という場所を見つけた。短歌×写真の作品たちを掲載しているフリーペーパー。毎月単語ひとつのお題をさだめて歌を募集しているそうだった。  サイトにはWEB版で読めるバックナンバーが何冊かある。今も公開されているのは「祝う」「駅」「青春」などなど。佳作の中にも思わず天を仰いでしまう31字がひそんでいたりで、冒頭の通りなぜだか次第に泣けてきた。

「縦書きの国」に梅雨が降る

「少しも雨に 濡れたくない」 贅沢を言う 女子高生。 空の機嫌が かたむいて 天気が坂を 転がり落ちて いきそうな朝、 わたしは母に 運賃をもらい 家を出る。 自転車の カギの代わりに 傘を持ち、 皆が過ぎゆく バス停で 右の遠くを 眺め待つ。 だけどあの日は 家を出るのが 遅くなり、 曇天の下 ペダルを漕いだ。 下校の頃は 雨降りで 仕方がなしに 打たれて帰る。 冷えゆく肌が シャツと抱きあい 透かしあう。 はねるクセ毛は 風に舞う。 あれほど 濡れたくなかっ