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読書つづり

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読んだ本について書いてます。
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記事一覧

(読書)乙嫁語り 森薫

漫画、乙嫁物語を読んでいます。 先日、姫路市にある博物館に行く途中、美術館で【大乙嫁語り展】の看板を見かけました。 絵柄からゴールデンカムイを彷彿し、 いったい、乙嫁語りとはどんな漫画なのか気になってしまいました。 手に取るとわかりますが、絵がとっても綺麗で。。すべて手描きだそうです。 原画展もきっと見応えがあるだろうとおもいます。 現在も姫路市で開催されていますが、すでに全国各地で開催され、姫路が最終の開催地だそうです。 ストーリーのテンポもよく、ユーモアも混ぜてい

(読書)図書館のお夜食

原田ひ香さんの作品は、サンドの女以降も数冊読んだのですが、noteに綴ることはしませんでした。 財布は踊る、三人屋、彼女の家計簿、どれも良作でした。 * 舞台は図書館、それも夜だけ開館する会員制の図書館です。 そこで働くひとたちそれぞれが語り部となり一章ごとにものがたりは進みます。 また図書館を利用するお客様も、ものがたりにいろどりを与えてくれます。 なぜ夜だけ開館するのか、 なぜ有料なのか、 働くひとはどんなひとたちなのか、 どんなひとが集うのか。 ぜひお手にとっ

(読書)水車小屋のネネ

津村作品で最長のものだと、後書きにありましたが、確かに分厚い。 わたしはデビュー作からほぼ追っかけているのですが、これまでで一番読みやすいのではないかとおもいました。 この作品は40年間にわたる、ある姉妹のものがたりです。 18才の姉が8才の妹と家を出て生計を立てる、 ファンタジーと言ってしまえば、身も蓋もないのですが、 心のどこかで『もしかしたらこの姉妹は実在しているのでは』とおもわせる力があります。 また津村さんの子どもの描写のうまさが存分に発揮されています。 *

(読書)ひとまず上出来 ジェーン・スー

ジェーン・スーさんの「ひとまず上出来」を読みました。 前に読んだ「おつかれ、今日の私」とは全く違う趣。 パワーに満ちた歯切れよい言葉たちです。 わたしが気になったのは「心理テスト」 ジェーン・スーさんは友達に教わったそうで、やって「うーん」と考え込んでしまったそうです。 うろ覚えで書いてみますね。 あなたは家にいて、赤ちゃんが泣き始めました。 すると電話が鳴り始め、ドアチャイムのピンポンが聞こえます。 さらにお風呂の水が出しっぱなしになっています。 間の悪い時に急にトイ

(読書)ようこそ、ヒュナム洞書店へ ファン・ボルム著

ファン・ボルム著 「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」という作品を読みました。 「あなたの書く文章は、あなたにどれくらい似ていますか?」 ものがたりの中盤、ヒュナム洞書店企画の「トークイベント」で店主・ヨンジュが作家へインタビューする〈質問〉として考えた項目。 興味深い質問です。 ひとの書いたものを読む時、わたしは無意識に「そのひと」をイメージしながら読んでしまいます。 作家の作品でもnoteでも たいていは、相手をよく知らないので、文章からイメージを膨らませてしまいます

(読書)かぐや様は告らせたい 赤坂アカ

かぐや様は告らせたい。 あらすじを説明することが無粋に思うほど有名な作品です。 高校生活あるあるを中心軸にギャグと恋愛をまぶして、かわいい包装紙とリボンで飾ったようなお話し、ですよね?(これでわかる?) 登場人物には、おのおの背負うものがあるのです。が、微塵も感じさせず。 『この子はこういう子なのねー』と、脳内である程度固まったころに、不意打ちでそっと差し出されるエピソードに、毎度『この子にこんな過去が!!』となりました。 気になる最終巻は、シリアスな雰囲気からスタート

(読書)わたしたちに翼はいらない 寺地はるな 

寺地さんの本を読むのは、これが初めて、新聞の書評で知りました。 登場人物は元同級生のリコ、アカネ、ソノダと他数名。 彼らは30代前半でトカイナカに住んでいる。 偶然の再会。 関係にかつての「学校」カーストが残っていた、卒業してから10数年経つというのに。 リコの仲間は、カースト上位に君臨していたため、「あのころ」に思いを馳せ、自分たちは「輝いていた」「最強だった」と酔いしれる。 それはまるでいつまでも大人にならない、なれない人たちのあり方。 アカネとソノダは、カースト

(読書・映画)ヲタクに恋は難しい・ふじた

「ヲタクに恋は難しい」 この作品をわたしに教えてくれたのは、松坂桃李さんです。 ずいぶん前のインタビューで、松坂桃李さんがおすすめ漫画として「ヲタクに恋は難しい」をあげられており、 実写化したらぜひ「蒲倉先輩」を演りたい、とおっしゃっていました。 漫画は、どこから読んでもやめても大丈夫な内容なので、読みやすくおすすめです。 ヲタクのはなしではありますが、多くを知らなくても全然ついていけますのでご安。 映画は、タイトル通り「ヲタクに恋は難しい」に焦点を絞った内容になっていま

(読書&ドラマ)初恋、ざらり

初恋、ざらりとは テーマは、「軽度知的障がいの女性の恋」 見どころと魅力 漫画、ドラマともに見どころは、障がいのある当事者とまわりのひとの様子をリアル伝えていることです。 また、主人公が『成人』であることもポイントです。 またわたし自身に境界知能&自閉症の子どもがいることにも関係するとおもいます。 漫画とドラマ 原作のあるものは、その世界観と乖離してしまいがちですが、ドラマ「初恋、ざらり」は完成度がとても高く、乖離度は少なめです。 原作漫画の「アリサちゃん」も

(読書)月夜の散歩 角田光代

角田光代さん。 デビュー当初からずっと、遠くから応援している作家さんのひとり。 昨年、角田さん訳の源氏物語を読んで、とても読みやすくてよかった。 角田版源氏物語は、「平成」の匂いを感じた。 * 少し古い作品、「月夜の散歩」。 雑誌オレンジページの連載だそうで、10年も続いていて、単行本はシリーズでこれが3冊目だそう。 飼い猫のトトさんがとてもかわいらしく、作中にもたびたび登場していて目尻が下がる。 わたしの知る角田光代さんは、20-30代 偏食のためにお肉しか召し

(読書)サンドの女 原田ひ香

原田ひ香さん。 「一橋桐子(76)の犯罪日記」のドラマで知った作家さんです。 新聞広告で知った「三千円の使いかた」 こちらもドラマ化されましたね。 どちらも含蓄のあるものがたりでした。 原田ひ香さんの著書を読むのは、これがはじめて。 「サンドの女」という作品は、「三人屋」という作品の続編にあたるものでした。 (当然ながら未読) しかしながらどちらを先に読んでも楽しめる作品に仕上がってるので、心配ありません。 原田ひ香さんの「サンドの女」の魅力は、登場人物にあると思います

(読書)おつかれ、今日の私。 ジェーン・スー

ジェーン・スーさん。 友人は、彼女を「時のひと」と呼ぶ。 わたしは、時のひと、というブームでは終わらないひとのようにおもうがどうだろう。 * スーさんのエッセイを読むのは、今回が初めてかも。 以前、「生きるとか、死ぬとか、父親とか」を読んだけれどあれはエッセイというよりものがたりだとおもう。 今作品は、時はコロナ前からコロナ禍。 だからか、前半と後半の語り口調や内容がずいぶん違う。 あとがきによる『後半』は、労りの気持ちを込め、読み手の隣に座っているような、背中をさすっ

(読書)アオのハコ 三浦糀

アオのハコ。 ジャンプに連載している漫画です。 連載開始当初、わが家では毎週ジャンプを楽しみにしており、定期購読していたのです。 三浦糀さんの、その存在の眩しさを覚えています。 現在はコミックをレンタルで読んでいて、今回少しまとめて読みました。 正直、6巻にて、ものがたりが広がらず、ネタに欠けた感じが漂い、 追っかけで読むのも、もうこのへんでいいかな。と思うところだったのです。 が、6、7巻あたりで登場人物が増えて(複数人!!) ものがたりに厚みと広がりが出てきたように

(読書)未来 湊かなえ

湊かなえさん、「告白」でデビューされイヤミスの女王と呼ばれていますが、「未来」は、文字通りのイヤミスではありません。 はじまりのエピローグは、ただならぬ雰囲気。 第一章となる『章子』は、30歳になっている自分からの手紙。 <未来の手紙>から物語はスタートします。その手紙は、<今>を懸命にもがいている11歳の章子を救います。 章子は、それからというもの、ことあるごとに未来の自分へ向けて手紙を書きます。 約4年間、子ども時間では、ながい時間なのです。 今思い出してみると子