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かんしょうの後。

泣けるほど浸った映画を観たあとに、セーターに付いた猫の毛を見つけて、不甲斐ない現実に戻った。

重い扉を開けて外に出る瞬間が好きだ。
自分が異世界から戻った気がして。
1日のうちのほんの数時間だけど、自分を重ね、別の人生を生きた。
滅多に使わない筋肉を動かした時のように、眠っている感情を引き摺り出す。

午後3時。平日。
忙しそうに行き交う人々の気配を感じながら、運転席で静かに吐き出す涙。

健康のために、1日に1回は、心拍数を上げた方がいいそうだ。縄跳びなどして。
感情も同じように、激しく動かすといいかもしれない。

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