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未来からの案内人

「正しい建築の教えの中に、建物が徳を積むように造りなさいというのがあるんだよ」

お向かいの氷屋さんで
Norisがつぶやいた。

建物が徳を積む
どういうことなんだろう。

「建築によってその地の波動をととのえるんだ」

建物は何十年ともすると100年そこに存在することになるから、そこに汚れたもの邪のものを造ってはいけません。美しい未来が細かく見えるまで創ってはいけませんと教わったという。

「そうして造ったものは、
するべき事が向こうから
起こり始めるんだよ」

「だから建築家に一番必要な資質は
考察力なんだ」

過去→未来→現在
繋がって巡るんだ。

そう言えば、
「地の声を聞いて天に従ってつくる」とも言ってたなぁ。

「地鎮祭どうするの?」

「あー、僕が祝詞あげるから
大丈夫だよ」

「あなた、神主なの?」

「まぁね、勉強したんだ。資格もあるんだよ」

「へー、何でもやるんだね」

曰く、数年前に勉強して
神主の資格を取ったらしい。

地鎮祭は、Norisと現場監督、私の3 人で静かに行われた。

「本当に大丈夫かなー」

Norisはニヤッと笑って

「大丈夫」と大きく頷いた。

まぁ、あなたがそう言うなら信じよう。


この場が何を教えてくれるんだろう。
どんな事が起こってくるんだろう。

あとは、
耳をすませて声を聴き、
天に任せて
やるべき事をやるだけだ。


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