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書評:ジェフ・ベゾス 果てなき野望

期待したこと、読む前に予想していたこと

1) ベゾス自身はどの程度Amazonの仕組みや技術面に関わり、意思決定をしていたのか?

・イーロン・マスク同様に、ある程度は技術的にできることを理解しつつ、どちらかというと顧客が求める機能や方法をエンジニアに伝える立場であった
・仕組みの原型は設立メンバーの古参エンジニアが作ったが、更なる技術的な改良などは思想に感銘を受けて入社した若い技術者が作った

2) Amazonがこれほどまでに成功した理由はなにか?

・適切な技術者を抱えるとともに、それに甘んじることなく、ユーザーの利便性を追求することを経営が優先することで、技術をツールとして上手く利用できた

3) 儲けたお金を何に使おうとしているのか?

事業の初期から、新たな事業領域(今の動画サービスなど)への展開のための研究開発、業務の効率化のためのシステム投資などに積極的

読んだ結果学んだこと

1) 以下のようなAmazonの本質的な提供価値を検討する場合には、価値と機能をセットで検討した。これらの方針を意思決定するために、ベゾスと幹部が数日に渡って議論していた。

・Amazonのコンセプトを単なる通販サイト(小売事業者)ではなく、中小企業のマーケットプライスとすることを目指した。そのために、Amazonで商品検索をするとAmazon自身が販売する商品と中小が販売する中古が並列して表示されるように改変した。
・Amazonが単なるショッピングモールだけに留まらず、顧客の配送ニーズに応えられることを目指した(これにより、eBayとの差別化を図れる)。そのために、配送システムと配達料をダイナミックに連動させるシステムを独自開発した。

2) 顧客が集まる良循環を徹底的に目指した。

・小売店は2種類に分けられ、どうしたら値段を高くできるのかを考えるお店と、どうしたら値段を下げられるのかと考えるお店がある。Amazonが目指したのは後者。
・価格を引き下げると来客数が増える。来客数が増えると売上が膨らむとともに手数料を払ってくれるサードパーティの売り手が集まる。そうなれば、ウェブサイトの運営に必要なサーバーやフルフィルメントセンター(物流センター)などの固定費を有効活用できる。効率が上がれば、価格をさらに引き下げられる。どの部分でもいいからこの弾み車を押すことができれば、良循環のスピードを上げられるわけだ。

2)' 一度捕まえたお客に価値を提供し続けるための、適切な観察と対応。

・エスカレーションとも呼ばれる疑問符付き電子メールは、問題の芽を確実に摘むとともに、顧客の声にアマゾンがきちんと対応するようにするベゾス一流の方策なのである。
・どの機能を導入し、どの機能を廃止するのかなど、重要な決定はさまざまな測定データを基に判断している。だが同時に、冷酷な定量データとは反対の極にある顧客の体験がアマゾンでは大きな意味を持ち、方針さえも変えることがある。ひとりの顧客がいやな思いをした場合、その背景にもっと大きな問題が隠れているとベゾスは考え、疑問符のエスカレーションで社内に警鐘を鳴らすのだ。

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