ブロードウェイ周りの「人種とキャスティング」に関する走り書きメモ

BLM運動の高まりに呼応して、人種とキャスティング(カラーブラインドキャスティング)関連のトピックがちょっとざわついていたので、自分用のメモとしてブロードウェイミュージカル周りでのマイルストーンイベントをひとまず思いつく限りでざっと列挙してみた。(いろいろ不足はあると思います)

1935年「ポーギーとベス」
ガーシュウィン作曲による、黒人コミュニティを舞台にしたオペラ。作曲家が「黒人の役は黒人が演じること」と指定。(この件の前フリとして、ガーシュウィンの初のオペラ「ブルーマンデイ」では黒塗りの白人歌手が黒人を演じた)
1944年「オンザタウン」
当時のニューヨークが舞台のラブコメディ。人種の制限言及がないヒロインを日系人女優が演じた。
1951年「王様と私」
イギリス人女性がタイの王室の家庭教師に赴任。タイ王室も含めほぼ白人キャスト。主要でないキャストはプエルトリコ系が主(出典:2019年来日版パンフ)
1957年「フラワードラムソング」
サンフランシスコの中国移民コミュニティが舞台。映画化も含めほぼオールアジア人キャスト。
1967年「ノーストリングス」
パリのモデルとアメリカから来た作家の恋愛ドラマ。人種の制限言及のないヒロインを黒人女優が演じた。
1964年「ハロードーリー!」
NYに住む陽気な仲人おばさんの話。ロングラン中の1967年にオール黒人キャストに切り替わった。
1968年「ファニーガール」(映画)
スターを目指すユダヤ人女性のサクセスストーリー。ユダヤ人が想定されるヒロインの恋人役を映画版ではアラブ系エジプト人俳優が演じた。
1975年「太平洋序曲」
ペリーによる日本開国騒動を日本からの視点で描く。カリカチュア的に描かれる欧米列強大使役も含めすべてアジア人キャスト。
1975年「ウィズ」1981年「ドリームガールズ」
モータウンサウンドを取り入れたいわゆるブラックミュージカル。
1989年「ミスサイゴン」(ロンドン初演)
ベトナム戦争中の現地女性とアメリカ人男性の恋。ヒロインはフィリピン出身のレア・サロンガ。ユーラシアンの重要な役を白人がメイク付きで演じたため論争に。
1992年「回転木馬」(1945年作品のリバイバル)
メイン州の漁村が舞台。人種の制限言及のないヒロインを黒人女優オードラ・マクドナルドが演じた。
1992年「レミゼラブル」
19世紀フランスの文芸作品原作。レア・サロンガが主要な役(エポニーヌ)を演じる。
1997年TVミュージカル「シンデレラ」
1957年放映のロジャーズ&ハマースタイン作品のリメイク。多人種キャストで話題に。
2014「オペラ座の怪人」2015「レミゼラブル」
いずれも有名ロングラン作品。初めて黒人俳優がブロードウェイで主役を演じた。
2015年「アニー」(映画)
従来白人メインで演じられていた作品を黒人キャストメインで翻案再映画化
2015年「ハミルトン」
アメリカ建国史を描くラップミュージカル。白人の歴史的人物を主に有色人種キャストが演じる。



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