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モダンチェンバロとヒストリカルチェンバロで悩む

チェンバロには大雑把に言って2つの種類があります。バロック時代に活躍し復元されたヒストリカルチェンバロと約100年ほど前に新しく作られたモダンチェンバロです。私は両方の楽器を弾くのですが、コンサートをする時はどちらで弾くか、いつも迷います。

16や8が書いてあるのはレジスターの指示です。これはまさにモダンチェンバロ用に書かれた作品です。


現代の作品では楽器の指定がある作品は迷わないんですが、バロック時代の曲を弾く時、悩むんですよね。もちろんヒストリカルチェンバロで弾くのが一番なのですが、私の興味は。
かつて、ワンダ・ランドフスカに始まる復興&第二の黄金時代ではバロック時代の作品をモダンチェンバロで弾いていたわけです(当時、すでにヒストリカルチェンバロでの演奏も同時にありましたが)。
その頃の演奏が今になってはとても魅力的でもあります。
私は縁あってモダンをずっと弾き続けています。それはこの楽器にとても魅力を感じているからで、まだまだ出来ることがあるのではないかと思っているからです。
こんなに面白い楽器、あるでしょうか?
ヒストリカルとはまた違った、楽器としての魅力がたっぷりです。
東京都のアートにエールを!でモダンチェンバロをご紹介できると思い、あえてバロック時代の音楽を弾いてみました。


この楽器の特性はペダルを使って、弾いている手を止めることなく音を合成し、音色の違いやニュアンスを作ることが出来ることです。また、ヒストリカルチェンバロにないものといえば、16フィートです。フィートとは弦の長さをいうのですが、太い弦を用い、迫力のある音を出すことが出来ます。この音こそランドフスカが愛した音なのですが。ペダルはそれぞれの弦と連動していて、足で音の合成を即座に出来ます。因みに通常ヒストリカルチェンバロは8フィート2本、4フィート1本、バフ及びリュートストップという構成で出来ています。

スペースと楽器の関係でモダンでばかりコンサートをしていましたが、それで何がわかったかと言うと、100年前の演奏家の工夫したレジスターが勉強出来た事です。
レジスターもいろいろ試しているのですが、どのようにお感じになりましたでしょうか?






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