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スラムダンクが教えてくれたこと


東京・蔵前にあるNui. HOSTEL & BAR LOUNGE のkazuと
Something for you. #06 で話したテーマ。


大事なことは漫画が教えてくれた


いつもは仕事やライフスタイルの話をすることが多いですが、念願の今回のテーマは、我らがバイブル『スラムダンク』

学生の頃は、チームプレーや成り上がって行くキャラクターたちのスポ根+恋愛的な目線から見てたスラムダンクも、大人になって見返すと、仕事へのモチベーションや生活の中で為になることが多いです。

“漫画から教わる”が詰まりまくったスラムダンクについて、今の自分たち目線の感想も交えて話しました。


スラムダンクのグッとくるところ

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kazu(以下k)
僕の場合、セリフや言葉が響くというよりは、ちょっとした描写の仕方や映し出す空気感に、仕事の最中にも通じるものがあると思います。

好きなシーンで浮かぶのは2つ。
1つは、試合の最後、仙道がドリブルをしてたところに、もっと後ろにいた牧をわざと追いつかせて、2点+フリースローの1点を取りに行くシーンかな。
なぜ俺は追いつけたんだ、こいつはもしかしたらわざとファウル、かつシュートを入れる自信がある俺のところまで上がってきた…みたいな心情の移動!あの5、6秒を争うドラマが1位ですね。

michiya(以下m)
サって手を引く感じが最高だよね。普通あんな風に考えられる?高校生のレベルじゃない。
めちゃくちゃギリギリの状態でも、そういう思考回路を持てる余裕が脳内にあるんだろうね。

k)その余裕がある仙道に対して、追いかけている牧が気づくのもすごいじゃないですか?
本来あのシーンなら、とにかくシュートをはばめさえすれば勝てるわけで。止めに行ってもいいところをわざと追いつかされて、ファウルしちゃいけないっていうのを考えて走りながら手を引けるっていうのがすごいですよ。

m)1年前、牧もレベル的には仙道みたいだったはずなのに。やっぱり先輩ですね。

k)あの一瞬で、自分の方ががすごいだろっていうプライドじゃなくて、敵チームの後輩を認める心の広さ、懐の深さは、チームで何かをするにあたって大事だよね。
相手の能力や成長を認めるって、なかなかできない人もいるんじゃないかな。

もう1つ好きなシーンは、花道が坊主にしてくるところ。
ああいう気合いの入れ方、心の表し方って好きです。わかりやすく、自分ができることですぐ行動に表してる。花道の人間性ですね。


学んだこと


m)最近、よく耳にする「エフィカシー」「セルフエフィカシー」って言葉。
「自分を評価する」「自分を再建する、見直す」って意味で、自分に自信を持って、自分自身を信じてあげられる能力のこと。
自分の性格や技術を理解して、前に進める人のことを「エフィカシーが高い」と言うようです。

花道はまさにそれで、「天才ですから」って自分で言うよね。
それも追い込み方の一つで、あれだけ練習したんだからシュートが入るっていうエフィカシーの高さが随所に出てます。
花道個人もチーム全体としても勝つ自信に溢れていて、チームとしてのエフィカシーも高い。

イキってるのではなく、根拠に基づいた自信を感じるし、スポーツにはそれが大事。強敵にもメンタルで勝てます。
エフィカシーの高い会社になりたいって、花道らを見て思いました。

k)事実に裏付けられた自信って、仕事においても安心感をもたらしてくれるよね。

m)自分に置き換えたときにも、割と自分はエフィカシーが高い方なんじゃないかと。
信じる気持ちや前に進もうと思うモチベーションはある。
知らず知らずに“湘北魂”が宿ってるのかも(笑)

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k)他では、花道が試合に行く途中に絡まれちゃって、でも暴力振るえば出場停止になる…そこで花道軍団、水戸たちが参上するシーン。
それも何か計算されたわけでなく、感情にまかせてたり、男気だけで守ってるんだけど、そこにはちゃんと役割分担があって、いい助け合いやチームビルディングがされてるんじゃないかなと。

m)やっぱり右腕的存在って大事。
桜木軍団の中で言うと、社長は花道で、気にせず突っ込んでいく軍団のトップ。それには、冷静な判断ができてIQ高めな右腕が必要なのよ。

k)そう思うと、みんながそれぞれいろんな人の“右腕”になってる漫画だよね。花道はゴリの右腕にもなってるし、流川の右腕にもなってるのに、その逆もある。
お互いのために果たせるという関係性が素晴らしい。

m)バスケットってチームだもんね。協力したり分かり合えたり、信頼したり、最高の競技。
だけどこの間、FOLK FOLKに来たアメリカ人の子とスポーツの話になったときに、「最高のスポーツはアメフトだよ」って言われたんです。
僕もバスケ愛を語ったんだけど、論破されて納得しちゃったんだよね(笑)
彼が言ったのは、「バスケは5人中、1人か2人スーパーマンがいたら優勝できるけど、ポジショニングが完璧なアメフトは1人サボったら勝てない。本当の“チーム競技”は、誰もサボれないアメフトだ」って。
アメフトもいいなって思っちゃった。


仕事に置き換えるとどうなるか

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m)ベタだけど、宮城がヘコんでたときに「No.1ガード」って手に書いてあげたシーンも好き。
みんなの前じゃなくて2人だけのシーンでやられるのが、特別感があってモチベーション上がるな〜!
元気がない子や伸び悩んでいる子に対して、みんなの前で励ますのもいいけど、マンツーマンで誰にもわからない形で励ますっていうが、よりパーソナル感が強いよね。

k)「圧倒的」とか「世界一」とか、ちょっと誇張した表現で、その言葉の使い方もまたいい。
例えばカフェでいえば「今日も頑張ろう」じゃなくて「No.1パティシエ」って書いてあげるってことだよね。
広告的ノウハウがあると、短くてもパンチのある言葉が浮かぶだろうな。

m)手のひらに書くっていうのがまたヤバい。
そこにはちょっと恋愛感情も入ってて、マネージャーとしての応援+宮城に好かれてるのをわかっててやってるあの感じ、ずるい(笑)
好きな人だからこそ、あそこまで鼓舞されたんだろうな。

k)この人はこの人にこう言われたら嬉しいっていうのを、チーム内のできるだけ多くの人がわかっていて、適宜その人が対応できる環境が組めるとなおいいよね。
他の人ではダメだったりするし、いろんなことに対してマッチングさせていくのってすごく大事。

例えば采配的なところでいうと、試合中ではないけど、安西先生が花道のシュート練習にズブズブに付き合ったときとか。
組織の一番トップとされている人がイチ個人に対してあそこまで時間を費やしてることに対しても、他のチームメイトから「なんであいつだけ」っていう不満も出なければ、そういう空気感でもない。

あのチームは自主性が強いから、監督は楽だなとは思いますね。監督としてのマネジメント的なのがあまりない気がする。
本には表現されてないけど、あれだけのメンバー入学・入部して集まってくる土壌を作り続けてるのはすごいかな。

m)それぞれがいろんなきっかけで入ることになったけど、結果あのメンバーが奇跡的に集まった感じなのかな。

そういう奇跡って、現実でもたまに起こったりしますよね。
FOLK FOLKのメンバーも、引き寄せた!って思う瞬間がある。
スタッフ募集をして、何十人集まったところから1人を選ぶようなやり方はしたことがなくて。
1、2人の問い合わせがあった中に、たまたま「めっちゃいいやん!」っていう奇跡。湘北魂があるんですよ(笑)

k)ショウホークホークですね(笑)他に好きなシーンは?

m)スラムダンクは覚えやすいフレーズが多いのがいいなと思っていて。「俺たちは強い」も「天才ですから」も「諦めたらそこで〜」も、思わずパッと思い出してしまうような言葉が節々にある。
日々生活してて、スラムダンクの名言使っちゃうときあるんだよね。出てきちゃうもん。
水戸がヤンキーたちと喧嘩して、花道がボコボコにして去っていくシーンで、水戸が相手に放った一言が「赤は止まれだ」…これ天才。そんなこと言える?かっこよすぎでしょ。

k)そのパワーワードにプラスして、表情や情景の当て方がうまいですよね。それで記憶に残してるというか。

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バスケって、24秒で1回シュート打たなきゃいけないとか、コートの真ん中まで8秒で進まなきゃいけないとか、細かくケツが決まってるのがよくないですか?
普段の仕事の中でもみんな、スタート時間は決めるけど終了時間決めないからなぁ…

m)ケツが決まってる、世界で一番のスポーツたる所以はそこかもしれない。
だからこそのハラハラドキドキ感があって、ラスト5秒でも勝敗がひっくり返ることだってある。

サッカーとかはあまりにも点差が開いちゃってると、ラストの大逆転はないかもしれないかもだけど、その辺、バスケは最後まで楽しめる可能性がある。

k)サッカーや野球に比べて点がたくさん入るし頻度も高いから、成果が目に見えやすいよね。


湘北っぽいお店

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m)ひとつ、自分には絶対に出てこないフレーズ見つけた!
陵南と湘北の練習試合で、湘北がどんどん追い上げて4点差まで詰め寄った時に仙道が言った「あわてるこたーない、おちついて攻めよう」の一言!
リーダーの一言で一気に流れが変わって、追いつけんくなります(笑)
全員の意志が変わる。

で、さらに魚住に火がついて離されてく瞬間にゴリが戻ってくるの。
火のつけ合いがたまんないね。

教育や技術じゃなくて、言葉でこれだけモチベーションが上がるってすごいよね。
一言でこんなに人って変わるんだよって、スラムダンクから学びましたよ。

カズは、誰かに火をつけてあげたなって瞬間ある?

k)誰かのよかったことに対して、よかったよって言うときかな。
Nui.で、いくつかのグループに分かれてテーマについて話して発表する半年に1回くらいの大きなミーティングがあるんです。
僕と別のグループで、入社したばかりの子が発表することになったんだけど、いきなりのプレゼンで緊張してて。
その後の質問や意見の時間に、僕は、内容どうあれ、入社してすぐの子がこんな大きなミーティングでみんなの前でプレゼンできるその精神力や姿勢がすごいって意見しました。
そしたらその子はその一言ですごく報われたし、心が楽になったって後で話してくれた。

そういういい行動を誰かが認めてあげるっていうのって大事だと思ってて。スイッチ入れてあげられた感じはあるかな。


m)うちの場合は、俺がみんなのメンター的存在でもないけど、評価やアドバイスをしたり、モチベーションを上げてあげる立場として、自分の役割は大きいと思う。
Nui.は、それぞれに個性や能力があって、どこか湘北っぽいよね。
それぞれが自立しているからこそ、お互いにそこまで頼らず、能力を理解しあって盛り上げて行くみたいなイメージがある。
誰かを育てるというよりは、それぞれが一定のモチベーションと技術を持って働いている“能力者”が集まってるイメージ。

k)業務の内容がそれほど複雑ではなく、ある程度誰でも対応できる形になっているのもあると思う。
ただパッと見はそんな風に見えても、実は奥の奥では悩みがあって、そこを刺激してあげればより能力を発揮できるスタッフもいるんじゃないかな。

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m)FOLK FOLKにはホステルとカフェバーがあって、それぞれしっかり役割が二分しているんだけど、Nui.はどう?

k)うちも部署として分かれていますね。
僕はバーおよびサービスのスタッフだけど、同じフロアにチェックインのカウンターがあるから、受付がいないときの簡単なサポートはできます。
僕たちは夜の営業の場合、宿泊チェックインのカウンターのあるラウンジにキッチンとバーもあって、同じ空間を共有してる。
お酒を作るのはバーテンダーがやればいいけど、それぞれのカウンターから一歩出たラウンジでは、どのセクションの人間も同じくらいこなせた方がいいと思いますね。

m)それ、憧れるね。今、カフェバーとホステルの入り口が良くも悪くも別だから、一体感がなくて。
もちろんプライバシーの保護や落ち着けるって点ではいいんだけど、チェックインのカウンターとカフェバーが同じフロアにあってスペースを共有してると、そこで飲食して楽しんでもらえることにもつながるのにな。

k)お客さんにとって視覚的に全てが見えてることで、情報が伝わるのが楽だし大きいよね。

m)そういう意味で、もっといろんなところを旅して見てみたいと思いますね。
うちも、ウエディング的動線は完璧で使いやすいんだけど、旅人の動線が後付けになってしまったから…それはもう一回考えたいところです。

k)僕もFOLK FOLK行かないとな。年明けにでも一緒に何かできたらいいね。
カクテル作るのは、僕右利きなんで左手は常に添えるだけですよ(笑)

m)今日、うまいこというね!
左手は添えるだけって僕も今度使おうかな(笑)

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