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私が恐れるもの

渡航をする前、恐怖はたくさんあった。しかもかなり大きい。犯罪、衛生環境、食事、政変、テロ…中でも1番大きな恐怖は、日本出国後、経由地から当国へ向かうフライト中、ほとんど読まずに出国してしまった地球の歩き方に気づかされたマラリア。

なに、蚊に刺されて死ぬ危険があるのか。どうしてマラリア対策・蚊対策をしてこなかったのか自分を責めた。それまでどんな国が待っているのだろうかと期待をしていたのに、この飛行機は絶望へ向かっていると感じた。マラリアとは、寄生虫を持った蚊に刺されることによって生じる感染症。蚊に刺されてから10日〜2週間前後で症状が表われ、初期段階で処置できれば良いが、最悪の場合死に至るという。日本では、マラリア感染数が少ない為対応に遅れが生じてしまう可能性があるが、当国では慣れっこなので感染しても比較的簡単に治るという。(大人の場合)

今では蚊に刺されたら、帰国のフライト以降に発症したらやばいな〜程度にしか考えていないが、当時は「死ぬかもしれない!!!!」と発狂寸前だった。外にいるほど蚊の恐怖に曝されるのに、到着初日の晩御飯は屋外だった。蚊に刺されないか、気が気でなく殆ど食事が喉を通らなかった。

マラリア対策(虫除け対策)を全くしてこなかった私が頼ることができたのは、リフレッシュに持ってきた薄荷オイルだけだった。水で薄めたオイルを自分に噴霧したり、ホテルに到着した後は部屋中をスプレーしたりした。想定外で滞在することになったホテルで初めて蚊帳を見た時は、衝撃が走った。蚊帳がある=蚊がいる=死ぬ!!!蚊帳があるってことは安心でしょ、とある人に言われたことがあるが、決してそんなことはない。蚊帳の外では蚊に刺される危険がある。それに蚊帳と蚊帳の隙間から蚊が入ってくるのでは…、蚊帳に穴が空いていたら…色々考えてしまうのだ。翌朝、蚊に刺されてないことを1番に確認した。その日は寝れた気がしなかった。

初回渡航以降、蚊対策を試行錯誤し、今はベープマットと、虫除けスプレー(液体ガスを使用しない)に落ち着いていた。これまでに合計90日以上滞在し、数回蚊に刺された。今では、「あ、刺されたな。(もし日本で発症した時に、正しく専門医に掛かれるように)覚えおこう」ぐらいにしか思っていない。慣れとはこういうものなのか。自分で言うのもなんだが、確実に逞しくなっている。まだまだ逞しくなれるのか。そんな気は一切しない。

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