【フィリピン2】指ピストルでカツアゲ
朝、ホテルを出ると昨晩の狂人野郎が待っていた。
ホテルの場所がバレていたようだ。目が合うとニコニコしながら、挨拶してきた。無視して歩き出すと、ついてくる。
なお無視して歩き続けると、腕を出して行く手を遮ってきた。
「おい」
ポケットに手を入れたまま凄んできた。
ポケットには、ピストルのような形が浮き出ていた。
え、おい、おい、おい、まさか、そんなわけないだろう。
何したってんだとも思ったが、カツアゲに理屈なんて通じない。
奴の背丈は160センチもない。痩せこけた中年のオヤジだ。その気になれば、、、とも一瞬考えたが、もし本物だったら、、、という万に一つの方がはるかに怖い。
昨日の別れ際での発狂ぶりが思い出され、ピストルは嘘でも、刃物くらいは用意しているかもしれないし。
もうホトホト嫌になった。
「どうすればいい?」
「金だ。100ドルよこせ」
「明日帰るんだ。そんなに持ってない」
奴は無言で、指ピストルをこちらに向けたまま。
「これで、どっか行ってくれ」と100ペソ紙幣(300円弱)を渡した。
「もっとだせ」
「わかったよ」と、もう1枚100ペソ紙幣を差し出した。
「これでいいだろ。ガイドをしたわけでもないし。俺は何もしてもらってないんだ」
まだ不満そうだったが、一瞬、奴の気が緩んだ。
その隙に、全速力で走って逃げた。
くそ、なんて国だ。潰れちまえ。
その後は、海沿いを散歩。裕福そうな家族連れが自転車に乗ったり、ピクニックしたり、休日を楽しんでいる。
しかし暑い。ジーパンがビシャビシャになり、ショッピンセンターに逃げ込んだ。
そのショッピングセンターは、きれいだし、店もめちゃめちゃ充実。映画も観られる。レストランも30店くらいある。今の日本でいう『ららぽーと』みたいなスケールで驚いた。
その後、恒例の動物園に行った。入場料はツーリスト料金が設定されていて、通常の倍の40ペソ(100円程度)。値段相応で、動物たちも暑さのせいかぐったりしていた。
夕方になると風も出てきて、だいぶ過ごしやすくなった。
世界三大夕日と言われる”マニラ湾の夕日”を眺める。
地元の人たちもたくさんきていて、大賑わいだった。
肝心の夕日は、きれいはきれいだった。ただ水平線に沈むとばかり思っていたから、船や堤防が視界に入り、ちょっと拍子抜けだった。見るポイントが悪かったか。
インドのカニャークマリやバラナシで見た夕日の方が感動的だった。カツアゲの影響だろう。
しかし、この街やることないな。
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