【東南アジア26】カオサンで、また一人。
昨晩も遅くまでパッポンをうろついていたので、昼近くまで寝ていた。
ラオス国境のムクダハンから一緒だった二人とは今日でお別れだ。
またサイヤムに行き、Rくんがプレステの海賊版ソフトを11枚購入。ロレックスといい、Rくんの購買欲はすごい。
そろそろRくんのバスの時間が迫ってきたので、カオサンに帰ろうとしたら、Hくんがスニーカーを物色しはじめた。
気に入ったものの、なかなか決断しない。どうせ偽物だし、安いんだから買っちまえよと二人で煽って、ようやく購入した。
そんなことをやっていたおかげで、カオサンに戻ってきたのは、夕方6時15分。
バスは6時集合なのだ。もう過ぎていた。
旅人でごった返すカオサンロードを、3人で全速力で走った。
親切にもミニバスというかバンはRくんを待っていてくれた。それもそのはずで、これからRくんは36時間かけてマレー半島を南下し、マレーシアまでいくのだ。
15分くらいの遅刻で乗り過ごしては泣くに泣けない。
Rくんと、お別れ。
3ヶ月近くもインドを旅し、この東南アジアも2ヶ月近く旅してきたRくんからは、パッポンはじめいろいろと教えてもらった。日本での再会を約束して、ガッチリと握手した。
Hくんのバスまではあと2時間。
僕の今夜の宿探しに付き合ってもらった。
噂によるとカオサンから少し離れた寺の近くがホテルの建設ラッシュらしく、できたての宿に安く泊まれるらしい。
その情報を頼りに行ってみると、人通りは少ないが、真新しいホテルが確かにいくつも建っていた。フエのビンジュオンほどではないが、最後の2泊は幸運にも清潔な部屋で安く過ごせることになった。
Hくんと、お別れ。
彼がいなければ、Rくんとも会えなかった。そう思うとホーチミンのファングーラオの宿の前で「ここ安いいですか?」と話しかけられた幸運を思った。さらに彼とは半年後、インドのバラナシで再会することになるのだ。
二人とは会って数日だが、古くからの友人のような気分だった。本当に楽しかった。
彼らとは約束通り帰国後、東京で再会した。その後もちょくちょく呑んだりして、僕がはじめて本を出版した時には二人がお祝いをしてくれた。それぞれ家族を持った後も関係は続いている。Rくんは持ち前の強気で人生を切り開き広告業界で大活躍しているし、ニヒルな愛嬌が素敵なHくんは羨ましいくらい温かい家族を築いている。
20年前のこの旅のおかげで、大切な友人を持つことができた。
何かがかけ違っていれば、僕らは出会わなかった。あらためて人生とは偶然と選択の産物だ。
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