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叶えるのは自分の願い事。小松未歩さんの『願い事ひとつだけ』

 小松未歩さん好きはもちろん、あまり小松さんの曲を知らなくてもこの『願い事ひとつだけ』が好きという人は結構いらっしゃると思います。
 今回はそんな人気曲に関して「願い事」を中心に考えます。

 願い事ひとつだけ 叶えくれるなら
 傷つけあった愛が 始まらないように

曲の冒頭の歌詞です。
 願い事が書かれてます。

 傷つけあった愛が 始まらないように

大袈裟ですが、この日本語をどう解すべきか。
 始まる、始まらない、というのはなかなか厄介な言葉で、現在形でありながら、意思、予定といった未来的要素のある言葉です。
 しかしこの「始まる」の主語は

 傷つけあった愛

という過去時制を含んでいるわけです。
 過去に起こったものが、これから起こらないように、と願う。なんとも不思議です。

 なので、ちょっと脳内での妄想、補足が必要になります。そうすると願い事の背景、内容がよりクリアになるはずです。

 まずは「二人の愛が始まる前の過去に戻って、二人が出会わないようにすれば…、傷つけあった愛が始まらない」説。
 もしも構文としては自然です。
 その後の「どうして二人は出会ったの」という歌詞からしても自然です。
 しかし今回その説は採りません。私は、以下の説で行きます。

 現世で傷つけあった二人の愛が
 来世でまた 始まらないように…

来世です。
 唐突ですが、今回の私の解釈において「あなた」は亡くなっています。
 なので歌詞の理解も重くなります。

 離れた心をつなぐ言葉なくて
 
→ あなたはもうこの世から離れてしまっている。来世へ旅立ったあなたの心とはもうつながらない。

 あなたの噂を聞くことさえ無理ね 
 
→ 亡くなってしまっているので、あなたは自由に夢も追えないし、そういう噂が出ることもない…。

 ahh 神様 どうか惑わさないで
 
→ 私も命を断てば「あなた」のところにいけるのかな?それならいっそ…。

こういう感じになります。
 命を断てば…、に関してですがここは妄想を入れます。「あなた」は亡くなる前に主人公に対して

 生まれ変わっても また一緒になろう!

そう言ったわけです。
 約束というかあなたが生前に口にした願い事。私が死んだら神様は叶えくれるのではないか。それならばすぐにでもあなたに会えるように…。命を絶つことも頭をよぎります。
 しかし、主人公は決意します。

 ゆっくり進もう ゆっくり風を受けて 

と。
 風を受ける。物理的な肉体がなければできないわけで、すなわちこれ、自分の人生を生きてく決意です。そしてさらにこう強調します。

 次の旅立ちまでは 地球と回りたい

次の旅立ち、とは来世への旅立ち。
 地球と回りたいとは「あなた」のいないこの地球で生きていきたい、という決意を示しているのではないかと思われます。
 そして最後。

 記憶の中で今も あなたと生きてたい

私はこの世を生きます。
 あなたを追って来世で一緒になる(前世からの傷つけあった愛が始まりますように)というあなたの願い事は叶えられません!
 でも、そのかわり私の中であなたが生き続きます。一生あなたと生き続けます!
 そう力強く決意して終わる。そう解釈しています。

 傷つけあった愛が始まらないように

その願い事は主人公が自身の弱さを振り払って自ら叶えたとも言えます。

 最後に。この曲とは真逆、生まれ変わって一緒になろう系の曲があります。
 『おとぎ話』です。最後の最後

 傷つき傷つけ トコトン行こう
 この次死んでも same story

死ん(来世)でも同じストーリー(傷つけあった愛)が待ってます。それも悪くないわね的な感じです。
 かなり雰囲気が違いますね…。

 次回は2ndアルバムの最終曲『Deep Emotion』です。よろしくお願いします。


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