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女性参政権行使75周年記念 オンライン・トークフェス 増やそう、女性議員! つなげよう、女性のチカラ!

2021年4月10日、女性参政権行使75周年を記念したオンライントークフェスが、開催された。動画も公開されているので、ジェンダー問題に興味がある方には是非見て欲しい。上野千鶴子さんや、安藤優子さん、稲田朋美さん、その他多くの議員、大学教授、活動家の方々が参加されているので、皆さんの学びのヒントになるに違いない。
このトークフェスから私が何を感じたのか、何を考えたのか、まとめ。

1.日本の縮図

上野千鶴子さんの開会の言葉で始まり、セッション1は政党からの祝賀メッセージ、セッション2は、安藤優子キャスターとともに女性議員たちが「どうやって女性議員を増やすか?」という討論を行った。あまり、女性議員の政治における立場のことを知らなかったのだが、私が率直に思ったことは、国会で起こっていることは、日本の世の中の縮図だということ。女性議員が少ないのは、日本企業に女性管理職・役員が少ないという結果と背景は類似している。
これは、よく言う「実力主義における結果」なのだろうか?果たして本当にそうなのか?「実力主義の結果」だという見方こそ、根本的に考え直さないと行けないのではないか?
医大の入試時点で男女の格差がある、クオータ制も進まない、夫婦別姓もしかり。
なぜ、世の中は変わらないのか?
トークの中では、しばしば「ガラスの下駄」について語られた。要は女性蔑視、男性優位な社会構造、人々の思考のことである。加えて、いかにパリテを実現していったらいいのかについて、意見がかわされた。
パリテとは、何かというと、

社会学におけるパリテ(parité )とは、議会・委員会、社会的団体での双方以上の代表者を均等にすることを指す。
ある社会的カテゴリの者がその母数と選ばれた代表者の間に大きな格差を受けている、という主張があるとき、パリテの原則は法や他の手段を通じて、当事者にとって不当と見なされるそれを是正しようとする。
女性の権利擁護の枠組みとしてのパリテの概念は、事実上差別的に見える(公的または私的な)機関でその男女が占める席数や役職数の制度的均等を守るために、提唱された。
ノルウェーでは1986年には、労働党のグロ・ハーレム・ブルントラント首相の内閣に、男性とほぼ同数の女性がいた[1]。
国連女性機関と列国議会同盟による、少なくとも50%の女性閣僚がいる国の数の増加は次のとおりである。
2014年1月は、ニカラグア、スウェーデン、フィンランドの3カ国、
2015年は、フィンランド、カーボベルデ、スウェーデン、フランス、リヒテンシュタインの5カ国、
2017年は、ブルガリア、フランス、ニカラグア、スウェーデン、カナダ、スロベニアの6カ国[2]。
2019年1月は、スペイン(64,7 % - 第1次サンチェス内閣)、ニカラグア(55,6 %)、スウェーデン(54,5 % - ロヴェーン内閣)、アルバニア(53,3 %)、コロンビア(52,9 %)、コスタリカ(51,9 %)、ルワンダ(51,9 %)、カナダ(50,0 %)、フランス(50,0 % - 第2次フィリップ内閣)の9カ国。南アフリカ・エチオピア・セーシェル・スイス・リヒテンシュタインの内閣は、閣僚のポストが奇数で、女性はその半数に及ばない[3]。ルワンダとニカラグアは、その権威主義において際立った国である[4]。
2007年に組閣されたフィンランドの第2次ヴァンハネン内閣は、20名の閣僚のうち12人(60 %)が女性であり、スウェーデンによるそれ(52 %)を上回る記録である[5]。この記録は2018年にスペインの第1次サンチェス内閣によって破られ、17名中11人、大臣の三分の二近く(64,7 %)が女性である[6] · [7]。2019年に組閣されたフィンランドのマリーン内閣は、19名中12人(63,2 %)が女性である[8]。
2017年1月の数値による、閣僚ポストを占める女性の世界平均は 18,3 % である[2]。

日本から外の世界を見てみると、パリテを達成している国がある。
トークフェスでは、『時限立法でもいいから、まず、クオーター制を実現してみる。これが大事なのではないか?』という声もあった。
そして、クオーター制の議論の際に挙がるのが、逆に女性議員に下駄を履かせることになるのでは?という議論なのだと言う。

2.芸術祭でのパリテ実現

話は、トークフェスから脱線するが、男女比に差があるのは、芸術界も同じ。驚くべきことに、過去の芸術祭での男女比は、圧倒的に男性作家が多く、実行委員も男性が多いことが多かったのだ。
なぜか?
皆さんは、その理由を実力主義の結果だと思うだろうか?
津田大介さんはその反省から、2019年ジェンダー平等に取り組んだ。
2019年あいちトリエンナーレ開催にあたり津田大介さんが、参加作家の男女比を平等を実現した。
この時津田さんは、別に女性作家に下駄を履かせたと言うことではないと言っている。テーマに沿った作品という視点で選考したと。
詳しい記事はこちら

3.ガラスの天井、ガラスの下駄

何故、国会議員に女性が少ないのか?
何故、会社管理職・役員に女性が少ないのか?
出生比でいっても、日本国民の半数は女性。
なのに、何故、各分野で男女比格差が生まれているのか?
皆さんは、このことをどう理解しますか?

実力主義の結果?
男性が優秀だから?
女性がやる気がないから?

セミナーの中で三浦まりさんは、

男はガラスの下駄を履いている。女性は、世の中ではよく、ガラスの天井と言うけれど、ガラスの天井ではなく、見える天井である。

と言っていた。

明らかに不平等なのだ。

4.文章に残すこと=抵抗の一つ

セッション6の中で、福田和歌子さんが、ZINE(ジン…個人で作った小冊子のこと)を作る理由として、

文章に残すのは、そうしないと言わなかったことにされてしまう。そうじゃくて、語られなかったことを私は忘れないようにしたい。紙に言葉を残すことは、抵抗のひとつなのではないか。

と語っていた。その言葉がとても印象的だった。

上野千鶴子さんのお話を何度か聞いていても、女性史の研究とは、過去の女性達の声の記録であり、戦ってきた記録であり、それは未来の女性達への応援になると感じている。
文章に残すというのは、本当に大事な作業だと、改めて感じた。

5.どんな世界を目指すのか?

共産党の吉良よし子さんが、

女性であることで、白羽の矢が立つことがあるけれども、もっと女性議員が多かったら、女性の中でも個々人の特性によって、経験によって、適任者が活躍できる女性にも多様性があって、個々人が何をやってきたかで、活躍の場が広がる。そういうふうになって欲しい。

と語っていた。

そうなんだ。ジェンダー関係なく、個々人の特性・経験などから、適任者が国政に就くことができる、それってスゴイ良い世界だな。

日本のパリテ実現は、いつになるのだろう。
近い将来に実現することを願う。

6.開催概要

オンライントークフェス内容が公開されています。
動画はこちらから。

女性参政権行使75周年記念 オンライン・トークフェス 増やそう、女性議員! つなげよう、女性のチカラ!

総合司会 元橋利恵(パリテ・キャンペーン実行委員会)
13:30-14:00
開会の挨拶 上野千鶴子(ウィメンズアクション・ネットワーク理事長)
趣旨説明 三浦まり(パリテ・キャンペーン実行委員会代表)
セッション1 政党からの祝賀メッセージ
各党党首・幹事長と女性議員からの祝賀ビデオ・メッセージを放映します
14:00-15:00 セッション2
土曜討論 女性議員と語る「どうやって女性を増やすか?」
司会:安藤優子(キャスター) 
伊藤孝恵(国民民主党)、尾辻かな子(立憲民主党)、木村弥生(自民党)、佐々木さやか(公明党)、吉良よし子(共産党)、永野裕子(豊島区議)ほか
15:00-15:30 セッション3
「各党幹事長への署名キャンペーン:どこの政党が本気だった?」
司会:町田彩夏(パリテ・アカデミー中級トレーナー)
天野妙(みらい子育て全国ネットワーク代表)、井田奈穂(選択的夫婦別姓・全国陳情アクション代表)、大橋ゆうり(パリテ・キャンペーン実行委員会)、蛭田ヤマダ理紗(Voice Up Japan)、増田薫(全国フェミニスト議員連盟)、山崎まや(クオータ制を推進する会)
15:30-16:00 セッション4
クオータはなぜ必要か?候補者男女均等法の改正を目指して
司会:三浦まり(上智大学)
稲田朋美(衆議院議員、女性議員飛躍の会)、中川正春(衆議院議員、政治分野における女性の参画と活躍推進議連・会長)、土屋品子(衆議院議員、同議連・幹事長)、矢田わか子(参議院議員、同議連・事務局長)、中野洋昌(参議院議員、同議連役員)、只松美智子(デロイトトーマツコンサルティング Gender Strategy Leader, 30%クラブ・ジャパン創立者)
16:00-16:30 セッション5
女性関連政策ロビー団体「やはり女性議員が必要!」
司会:西川有理子(パリテ・アカデミー事務局長)
ゲスト:打越さく良(第一次夫婦別姓訴訟弁護団事務局長、参議院議員)、北仲千里(全国女性シェルターネット代表理事)、周藤由美子(性暴力禁止法をつくろうネットワーク代表)、山本潤(Spring代表理事)、柚木康子(女性差別撤廃条約実現アクション共同代表)
16:30-17:00 セッション6
女性の声をつなぐ
司会:岡野八代(同志社大学、WAN理事)
北原みのり(Love Piece Club代表)、福田和香子(学生アクティビスト)、松尾亜紀子(エトセトラブックス代表)、リボアルなみの(ミモザプロジェクト)、柳原恵(WANミニコミ図書館)、河野和代(徳島フェミニストカウンシル)・東條恭子(徳島県議)

参考:2021年都議選候補者アンケート

#ジェンダー #女性国会議員 #上野千鶴子 #パリテ

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