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ラポールとグリーンディールと静脈産業の今後について

以前、《ラポール》について書きました。

こんな世知辛い世界の中だからこそ、他者との関係性の深さが、“生きやすさ”に多大な影響を与えます。

反対に、関係性が希薄なまま、オンラインでも、ズーム越しでもなんでもいいんですが、無理くり、「わたしたち、画面越しだけど、きちんと話もできて、合意形成もできているから、直接会わなくても、大丈夫だよね!」みたいなノリで物事を進めてしまうと、思いの外、「あれ?こんなはずじゃ…」といった事態に陥りがちです。

それでもうまくいっている、“ワーク・フロム・ホーム案件”は、往々にして、必要なスペックが明確に決まっている条件下で、「それに当てはまっているか、許容できるか」といった、いわゆる定量的な価値判断ができる場合においてのみだと考えています。

(今更ですが、このハナシは、漠然としたビジネスの場面を思い浮かべながら、読んでいただけると幸いです。こっからは、ややぶっ飛んだ路線に進みます。)

WTF is WFH?

ぶっちゃけ、定量的にスペック、価格が決まっているものの取引において、実際のところ、品質が担保されている状態であれば、そもそも、「会う必要など」、これまでもこれからも、「無い」わけです。

卑近な例で言うと、先物のコモディティ・マーケットです。なぜ、将来の未知数な成果物に対して、値が付くのかといえば、「規格化・平準化されたアウトプットに対して、値が付く」からだと思います。それは、「品質がほぼ同等であるとみなすことができる」からです。

例えば、アウトカムとして、人間の下半身のようなダイコンやらニンジンができても、「希少性が高いから、市価の2倍で買います」と、農協は卸さないわけです。むしろ、「規格外だから、値が付かない」なんてこともあり得る。

つまり、定性的な価値判断のもとで繰り広げられる、「これヤベエ案件」は、「フロム・ホーム」では、絶対的に価値判断ができないということです。言い換えると、収益拡張性の高い案件、投資価値のある商材・人材の発掘は、「おうちからクリック」で済ませるべきではないと考える次第です。

(ここから、もっと“ふわっと”したハナシに成増。)

オーラとセンス

皆さんは、人・モノが放つオーラのようなものを信じますか。というか、見えていますか?私には、見えません。見える方に言わせると、デジタル・デバイスを使うと、本当の色が見えてこないそうです。

お恥ずかしい限りですが、筆者は特に、人に対しての審美眼がありません。「この人は、すごいオーラを持っている!」などと、筆者のお眼鏡にかなった人物が、次の日には、「わけのわからない根拠で詰める」、「このアイデアは、“俺のもん”だからなと暴挙に出る」人物に変貌していたりします。

要は、単に「圧が強いだけ」だったんですね。

ヒトって生き物は、ホント面白いですよね。

その点、モノを見極める審美眼というのは、いわゆる“センス”があれば、なんとかなります。モノは、嘘をつかないですから、もし、本当にオーラというものが存在するのであれば、それは常に一定の大きさと、色形をしているのでしょう。“才覚”を磨き、心を落ち着かせれば、きっと、そのモノが持っている真価は、自ずと目の前に表れるはずです。

なんのハナシをしていたのでしょうか。(?)

そうです。そもそも、ラポールのハナシをしていました。そして、コモディティのハナシになり。オーラのハナシになりました。

そうなんです。

プリミティブな世界にやってきた秩序

筆者のいる、金属スクラップの業界っていうのは、ものすごく「業者間の関係性・序列」とか、「流通させるための最低限の品質」だとか、「パッと見で推し量れない真価」を見極める能力が必要とされる世界なんです。

言うなれば、非常にプリミティブな世界です。参入障壁が異常に低く、不毛な戦いが、世界の各地いたるところで繰り広げられています。

そういった現況に対し、一石を投じたのが、2010年代の中国です。

中国国内では、「お前たち、なんか、つまんないことで、ちまちまちまちま、ガチャガチャがちゃがちゃ揉めやがって。ゴミを集めて、やれ、環境だの、なんだのと言う前に、“クリーンなカネ”をつくって、税金を額面通り、納めろよ。全部機械化して、平準化しろ!そうすれば、金回りもよくなるし、投資利回りも明確だろう」といった、政府からの叱咤激励があったとか、なかったとか。

要は、「海外から“ゴミのようなもの”を集めることを禁止した」わけです。その代わり、国内で発生したゴミを処理するための大型処理施設の拡充・集積や、欧州のリサイクラーの買収を筆頭とした、破砕・分離・回収技術の研究開発に莫大な投資を行ったのです。

最終的な仕上げとして、これまでの米国主導で行われてきた、「再生原料としての金属くずのあり方(ISRI規格)」にくさびを打ち込みました。独自基準を制定し、左記のそれを否定したのです。高らかに、「中国に、金属くずを輸出したかったら、中国の基準に則ったものを」と宣言したのです。

蛇足になりますが、件の米国基準は、資本家のバックアップを受けた、一部の米国側の“金属くず貿易屋”が、大陸側のバイヤーの意向を汲みとりながら、ちまちまと作り上げたものです。簡単に言うと、「貿易利権のための取り決め」です。「くずを、コモディティとして潤滑に流通させるため」の免罪符です。

今般の中国による、“独自基準”のゴリ押しによって、米国のリサイクル業界は、慌てふためいています。その証左として、香港の超大手リサイクラー CHIHO グループは、この金属相場が高騰し続ける中で、北米事業のみ売り上げを落としています。また、ISRI規格の制定に多大な影響力を持っているとされる、非鉄金属・くず貿易の“マエストロ(巨匠)”が、役員職にあった会社を解任されています。

ふたつの事象のみで、大きな潮流を語ることが無意味かもしれませんが、少なくとも、「北米から中国への“グレーな金属くず”の流入は減っている」のだろうし、「これまで免罪符を発行してきた“教皇”の影響力が弱体化している」ということは、ほぼ間違いないと思います。

利権そのものの存在が消える

この流れを、個人的には、「利権の収奪」と「商流の一元化」だと捉えています。これまで、大小問わず、様々なバックグラウンドを持ったプレイヤーが世界のあちこちで蠢く中で、それぞれの場所に利権が散在していました。

バチカンが“免罪符”をちらつかせ、各国の司祭が“上納金”を納めることで影響力を確保し、各地域の教会が、その後光にすがるといった“旧来のやり方”が通用しなくなるのです。(たとえ話です。)

一言でいってしまえば、「中抜き現象」ですね。商流を重んじる側にとって、最も恐ろしいこと。旧来の言い方をもってすると、「仁義を汚す」と言います。商流を軽んじる側にとっては、「いやあ、だってさ、あんたのお客さんが、『安い(高い)方がいい』って言うから」といった言い分を持ちます。

金属くずのリサイクル業界における、今般の「中抜き現象」の恐ろしい部分は、業界のいわゆる“大”が、“小(中小零細)”を呑み込むという自然発生的な淘汰だけでなく、“親”が“子”を喰ってしまうような要素を孕んでいる部分にあります。

真っ白な共産思想か否か

つまり、「寡占化を超えた先に、その寡占されたマーケット自体が、無くなってしまうのではないか」ということです。万とある業者が、千とか百になるとか、そういう生半可な世界ではなく、万が一とか二の世界です。

言い換えると、「もはや競争する必要のない世界」です。仕事量自体は、オートメーションや人工知能化の影響で少し減るでしょうが、無くなるわけではありません。

こうなると、未来の世界では、殺伐とした戦国の乱世ではなく、牧歌的な小高い丘の上に、いくつか公社のようなリサイクラーが存在しているのみで、すべて機械で解体から選別、精錬から製品加工までやっていることになってしまいます。

これは、オカルトチックなSF思想でしょうか。

実際に、欧州のリサイクラーは、筆者が数年前に訪れた際に、既に四大巨頭なるグループ企業群が市場を牛耳っていました。(そのうちの一社は、左記で言及した CHIHO グループの参加に入っています。)当時、噂として、「どこそこの会社は、財政的に厳しくて…」といった噂話もありましたので、今は三大巨頭でしょうか。

中小零細は、彼ら巨頭に飲み込まれる運命しか持ち合わせていなかったわけです。あるドイツのリサイクラーを訪れた際に、事務所だと思ってインターホンを鳴らしたら、パンツ一丁のおじいちゃん(買収された元スクラップヤード主人)が出てきて、「あっちが、事務所だよ!ダハハハ」といったやり取りをしたことも、良い思い出です。

鉱山会社「もう、このゲーム飽きちゃったよ」

目下、世界中の鉱山会社が、莫大な収益を得ています。

彼らが、見据えているのは、現在の属人的な要素の排除なり、効率的な高利回り経営です。末端の山師が、「うぇーい」と雄たけびを上げている瞬間に、彼らは、引き際を模索しています。次のヤマ場に向けて、種まきをします。

これは、筆者の推測の域を出ませんが、今般の高収益を元手に、相当な鉱山開発に関わる技術が、新しいモノに置き換わっていくのではないでしょうか。世界中の“識者”が、「鉱物資源は枯渇するよ」とポジション・トークを盛んに行っていますが、それが事実となり、史実となる方向性しかないわけです。

何十年も前から、「 #銅 の埋蔵量は40年で枯渇するよ」と言われているそうです。“中国四千年の歴史”が、4,000から微動だにしない姿とリンクするものがあります。もしかしたら、地球の真ん中はスカスカかもしれないし、地底人が住んでいるかもしれません。

誰も、真ん中まで行ったことがないから、本当のことは、誰にもわからないのです。

2025年には、宇宙空間での鉱山開発が計画されています。

https://www.michiru-resources.com/2020/04/psyche.html

#NASA による #PSYCHE プロジェクトです。#SpaceX のイーロン・マスクも参画している事業ですね。

(ニッケルを基調とした、白金族を含んだ大きな彗星が目の前にあったら、多少のリスクを背負ってでも、宇宙空間へ“出張”に行きたくなりますよね。)

現状では、こういったSFチックなよもやま話は、一部の好事家にしかウケませんが、筆者は、大真面目にこの業界の未来の一部として見据えています。

だって、考えてみてくださいよ。

先般の #COP26 の結果をみれば、誰しもが「“環境のため”とか、偉い人はぬかしてるけど、お前ら、所詮、金儲けのことしか考えてねえだろ」と思うはずです。会期を一日延ばして、定量的な具体策が出てきましたか。

COP26に参加した奴ら、やる気ないよ

世界が一枚岩で、「この危機を共に打開しよう」なんて気持ちは、一切ないわけです。どの国も、足並みを揃えて偽善者ぶる余裕さえないぐらい、内政の舵取りでいっぱいいっぱいなわけです。

そんな状況下であっても、「脱炭素はやるぞ!」と環境マフィアは言います。なにか、秘策があるはずなんです。そうでなければ、ここまで強気を固持する理由がありません。

今となれば、イーロン・マスクが登場したときに、誰が「こんなにも早く、電気自動車の時代が来る」と予想できたでしょうか。誰が「こんな簡単に、WFHで仕事が成立する時代がやってくる」ことを予想できたでしょうか。そういうことなんだと思います。変化のスピードが、確実に早まっている。

(あと少しで、5,000文字到達なので、このまま突き抜けます。)

もう一回言いますが、COP26が「会期を延ばしながらも、なんとか無事に終わった」からといって、明日の生活が劇的に変わるわけではありません。どうせ、オリンピックもそうですが、各国のお偉方と、その取り巻き企業が、正々堂々と次の利権についての配分を話し合うぐらいの機能しか持ち合わせていないことでしょう。

ゴールドマンサックスも言ってました。

今後、グリーン・ディール関連の投資案件に、カネが潤沢に投入されるゾ」と。

https://www.goldmansachs.com/insights/pages/carbonomics-5-themes-of-progress-for-COP26.html


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