療養費支給申請書の提出はお早めに(時効は2年です)

まず冒頭に書いておくが、療養費支給申請書(レセプト、厳密にはレセプトとは呼ばないが一般的に呼ばれているので)の提出は速やかに行わなければならない。これは療養費の支給基準に書かれているので、具体的な期限の記載がないからといってためこんではならない。

療養費の請求権の消滅時効は2年

レセプトの提出は速やかに、ということを前提に療養費の請求における消滅時効、つまりいつまでレセプトを提出できるのかということを書いておきたい。

療養費の請求権の消滅時効は2年である。患者さんを施術して請求金額が確定してから2年以内にレセプトを提出しなければ、時効を迎えて請求できなくなる。返戻されたレセプトを再請求する場合も保険者から返戻されてから2年ではないため、保険者への提出がギリギリ間に合っても返戻されて再請求できない、ということも起こりうる。とにかく速やかに提出しなければ、働き損になってしまうのだ。

「そんなはずはない。5年だろう」「3年ではないか」と思われた方がいるかもしれない。医科の診療報酬請求権の消滅時効は令和2年3月診療分までは3年、令和2年4月診療分以降は5年となった。おそらくこれと混同されているのではないだろうか。

医科は医師のお金、柔整・あはきは患者のお金

あはきはともかく、柔整の場合は受領委任制度での保険請求をしている方がほとんどだろう。見かけは保険医療機関である病院や診療所と同じように見えるかもしれない。だが柔整やあはきの保険分、つまり療養費は本来「償還払い」である。施術管理者が患者の代わりに窓口負担金以外の7割分(あるいは8割分・9割分)を保険者に請求しているのだ。だからこそレセプト用紙に患者からサインをもらう。つまり、受領委任払いの場合は保険者から施術管理者の口座に振り込まれるまでは患者のお金だ。患者のお金を代わりに請求しているので、健康保険法193条1項が適用され消滅時効は2年なのだ。

一方で保険医療機関の診療報酬は保険者に請求する時点ですでに医師のお金である。医師が自分の報酬分を保険者に請求するので、民法166条1項1号が適用され消滅時効は5年。

実はこのことが、いま議論されているオンライン請求の進退に大きく関係している。

・健康保険法193条1項
保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によって消滅する。

・民法166条1項1号
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

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