接骨院・整骨院、あはきの施術所のBGMには著作権使用料がかかります(例外あり)

JASRAC(日本音楽著作権協会)が定期的に施術所に電話やお手紙で、BGMを流しているか調査することがあります。接骨院・整骨院(柔道整復の施術所)、鍼灸院・あん摩マッサージ院(あはきの施術所)でJASRACが管理している楽曲をBGMとして流すと、著作権使用料を支払わなければなりません。

JASRACが免除しているのは医療施設

JASRACは、当面の間使用料免除となる利用の例の中で医療施設を挙げています。この医療施設は医療法・介護保険法に基づく施設(以下を参照)としており、柔道整復やあはきの施術所はJASRACのいう医療施設には含まれていません。免除の対象にはならないのです。

  • 医療法…病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤薬局、助産院、訪問看護ステーション

  • 介護保険法…特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設

新型コロナ禍で、柔道整復・あはきの施術所が医療機関と並んで休業要請の対象になりませんでした。そこで、医療機関と同様の扱いにならないか確認してみましたが、JASRACの回答はあくまでも「医療法・介護保険法に基づく施設」とのことでした。

調査に答えたからすぐに支払いとはならない

「JASRACから調査の電話があって、BGMを流していると答えてしまった」とお困りの方はおられませんか。JASRACによると、著作権使用料の支払いを求めるのは契約した施設から、とのことです。
ですので、BGMを流しているからといっていきなり請求書が届き、支払わなかったら裁判!といったことは起こりません。まずは契約書が送られてくるはずです。

著作権使用料を支払わなくていい場合もある

院内でBGMをかけたい、もしくはかけていたからといって、すぐさまJASRACと契約して著作権使用料を支払わなくてもよい場合があります。有線放送を契約している場合や、テレビ・ラジオをそのまま流している場合などです。

  1. テレビ・ラジオをそのまま流している。

  2. 自作曲を流している。

  3. 著作権フリーの曲を流している。

  4. 著作権がすでにない曲を流している。

  5. JASRACが著作権管理していない曲を流している。

  6. 有線放送と契約している

1.テレビ・ラジオの場合、録画・録音したものは私的使用にのみ認められるため、院内のBGMとしては使えません。使用料がかかります。
2.著作権は作者(自分)にありますので、使用料を払う必要はありません。
3.インターネット上などにある著作権フリーの曲は使用料がかかりません。ただし注意書きなどをよく読んでからにしましょう。著作権を放棄していない場合は何らかの手続が必要なこともあります。
4.作者である著作者が亡くなって70年経過した楽曲は、著作権がなくなります。また作者が著作権を放棄して誰でも自由に使えるようになっている楽曲もあります。
5.JASRACが著作権管理していない楽曲をBGMとして使用する場合、JASRACに使用料を支払う必要はありません。ただし、他に著作権管理をしている団体もありますので、その場合はあくまでJASRACに支払わなくていいだけです。ご注意ください。
6.有線放送と契約している場合は、有線放送側がすでに使用料を支払っているため、JASRACには支払う必要はありません。ただしスポーツジムを併設していて、BGMではない用途で楽曲を使用する場合は別途手続きが必要となります。

個人向け音楽ストリーミングサービスは商用利用不可

市販のCDや配信サイトで購入した楽曲がダメなら、Apple Musicなどの個人向け音楽ストリーミングサービス(個人向け定額制音楽サービス)を院内で流したくなるかもしれません。しかし個人向け音楽ストリーミングサービスはJASRACや著作権とは関係なく、そもそも利用規約で商用利用が認められていません。YouTubeの動画も商用利用はできません。あくまで「個人向け」ですので、ご注意ください。
なお、店舗BGM用のストリーミングサービスでもスマホで利用できるものもありますので、個人向けではなく店舗用を利用しましょう。

JASRACは潜入調査する?

過去に音楽教室を相手にした著作権使用料に関する裁判で、JASRACの職員が音楽教室に潜入して調査していたことがわかりました。施術所にも患者として潜入して調査していることがあるかもしれません。
ですので、アンケートの電話やお手紙にはきちんと対応した方が良いでしょう。少なくとも購入した楽曲をBGMを使用しているのに、使っていないとウソをついて使い続けるのはやめてください。

著作権侵害は違法です

日本は著作権侵害に対して厳しく、刑事事件として告訴されると原則10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金。民事では損害賠償請求や不当利得の返還請求などを請求されます。
法人の場合は両罰規定があり、従業員だけでなく法人に対しても3億円以下の罰金が科せられることもあります。

楽曲が著作権で保護されているのはアーティスト活動を保護するためです。好きなアーティストにずっと活躍してほしい、応援したいと思うのであれば、楽曲の違法な利用はやめましょう。

もっと詳しくはJASRAC・日本音楽著作権協会のサイトもご確認ください。


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