君はロックを聴かない

僕はこんな歌で、あんな歌で、
恋を乗り越えてきた。


それはまさにわたしの恋愛の描写そのものである。
前に書いたけれど、わたしは恋愛に歌を投影させて思い出にするので、歌に勇気をもらったり支えてもらったりも当然するし、それは大概ロック(もしくはジャニーズ)である。

突然惚気るけども、わたしの彼氏はすごく優しい。
気はきかないし、肝心なことは何も言葉にしないし、自分勝手だし、人の気持ちを分かろうとする心はこれっぽっちもない。だけど、すごく優しい人だし、優しさがかわいい人だ。

わたしは素直じゃないので、「わたしは別に好きじゃないし〜」とか「向こうがわたしのこと好きだから付き合ってるんだよ〜」とか言ってヘラヘラしていたけれど、本当はすごく好きで、好きで、たまらない時がある。


ちなみにわたしはエレカシでいろんなものを乗り越えている。

彼氏と遠距離になるその日、お見送りに行って、駅で別れて、1人で西武線に乗ってイヤホンをさして聴いた曲が、「風に吹かれて」だった。

まずイントロが心の奥の方を揺すった。
重厚感のあるイントロがあけると宮本浩次のあまりに実直な歌声は、それはキレイに心に沁みた。
「さよならさ 今日の日よ」で、とうとう泣いた。電車の中だとか、帰宅ラッシュで結構混んでたとか、泣いてても可愛げのないくらいいい歳したババアだとか、そんなことはどうでもよかった。とにかく宮本浩次の声は私の涙腺をくすぐって仕方なかった。


絶対そんなつもりで作られた曲ではないと分かってるけれど、遠距離恋愛という障害を抱えたばかりの私に対して、すごく優しくしてくれる曲だと思った。

「悲しみは優しいふりしてこの町を包むだろう。お前に会いにゆくまで」

という歌詞に、何を想像するの?私でしかなくない?という気持ちだ。
次に会える時まで、彼との思い出が詰まったこの大都会を1人で生き耐えている。各所にたくさん思い出が詰まっているというのは、少し切なくて寂しいけれど、思い出という優しさに甘えさせてもらっている感じもある。思い出を温めながら、あなたに会えるまで、私は頑張って生きていこう、と、思っている。


ちなみにタイトルの通り、私の彼氏はロックを聴かない。
平成生まれのくせに趣味が昭和なので、ZARDとかTRFとか聴いてる。それもそれですごく素敵だけど。

私はいわゆるロックがすごく好きだし、私はこうしてロックを聴いて、その歌詞やメロディに元気をもらったり優しくしてもらったりしているので、私の好きなロックを彼にも好きになってほしいと思っている。

私はあなたとの遠距離恋愛を、ロックで乗り越えています。
そんな私の気持ちを、分かってくれるといいなあ、と思いながら、私は今日も生きている。

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