インパクト投資の考察
インパクト投資という手法が最近注目を集めている。GIINによれば、インパクト投資とは、「インパクト投資とは、金銭的リターンに加えて、ポジティブで測定可能な社会面・環境面のインパクトを生じさせるという意図を持って行われる投資である」とされる。欧米を中心に盛んになっている。
インパクト投資とは、金融資本主義で揶揄されるように株主至上主義で格差が極端に拡大したことへの投資家の反省や「市場の失敗」とネガティブに捉えれてきた事業活動の負の外部性への反省を踏まえての一種のパラダイムシフトで、市場メカニズム自体で自己治癒するようなポジティヴで再帰的な現象のように私は理解している。環境犠牲にし労働者の搾取を繰り返して短期志向で利益を考える事業者ではなく、環境や社会に配慮しポジティヴなインパクトを創出するような社会的なミッションを掲げた事業者に対する投資を通じて、事業のインパクトを可視化し、社会的事業者の資本コストを減少させ、さらなる事業拡大につなげていく仕組みともいえる。
ただ一方で、直感的に限界もあるように感じている。インパクト投資が「リターンとの両立」を目指す以上、どうしても苦手な分野(収益化が見込めない事業・分野・領域)が存在するのではと思ってしまう。インパクト投資先の事業者が広告収入等でなく事業収入で収益を得る一般的な事業モデルの場合、どうしてもサービスの受益者は購買能力が一定ある者に限定され、ただビジネスがより個々人や社会が抱える課題にも領域を拡大しているだけのようで、真にサポートを必要をしている社会的弱者が抱えている課題にはリーチできないのではないかとも思ってしまう。
課題解決の万能薬はない以上、インパクト投資も用いながら、手段を目的化せず、他のアプローチも模索するのが必要な気がする。
インパクト投資に関心がある方は、以下のサイトのレポートをお勧めします。
GSG国内諮問委員会:http://impactinvestment.jp/
GIIN:https://thegiin.org/
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