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『エブリ・ブリリアント・シング』~この"体験"は、芝居ではない

とにかく私のFacebookでもTwitterでも、賛辞が溢れる本作。とりあえず観ねばと当日券に並ぶ。しかし噂に違わぬ傑作、この"体験"は、芝居ではない。観客参加型の演劇。イマーシブ・シアターとも言われるそうだが、セラピーに参加したかのような、会場の空気に心を掴んで持っていかれるような、不思議な感覚。
観客にカードが配られて、それを主演の佐藤隆太さんのセリフに合わせ読み上げていく。2度と同じショーはつくれない。演者も、観客も、背負う緊張感が会場に満ちる。自殺と鬱。テーマは重いがユーモアに富んで、何とも幸せな感じで終わる。
終わってみると、カードを誰に配るかの所からがショーの始まりだったのだろう、なんとも言えないキャスティング感。この回は、恋人役のサムに当たったお客さんが素晴らしかった。愛らしくはにかんで、素晴らしい滑舌。
英国では、演劇が情操教育にも取り入れられているとか。本場でも観てみたい。あと二回、機会あれば是非。