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やつはひたすら、自分の境遇に夢中だった。

「境遇」というのは、結構難しくて。
どうしようもないことも沢山ある。
人それぞれ、ある。

今年はなんだか、うまくいかないことも多くて、壊れたり、失ったり、欠けたり。


今じゃ笑い話なんだけど。

軽い例をあげると…

蜂がスカートの中に迷い込んでくるという思いがけない状況に気付かず、なんか羽音がするな〜と思いつつ車に乗り込み運転。

何かの弾みで蜂が暴れ出し初めて気付いてびっくり。その反動で事故になりかけ、結局蜂に刺される。笑


その数日後

大事な打ち合わせの為3時間程の道中。車が突然破損。山道。車体下側のパーツが根こそぎ落ちて来るというトラブル。走行不可。かなりなんやかんやあったのだけど割愛。どうにか頑張って這いつくばるかのごとく現地に辿り着く。

が、お相手が突然の体調不良で会えなくなる。笑
ちなみに車は買い替えました。


これらは、誰が悪いわけでもなく、運というか、そーゆー境遇な訳で。
世界には比べ物にならない程もっと不運な人もいれば、恐ろしい程の強運を持った人もいる。
タイミング、というのもある。

そして直近でも初めての体験となるような事件?が起き、予定もめちゃくちゃ。出来てたこともできなくなり、思うように動けない。

そんな心身ともに疲れ切ったところ、ふいに、すべてを吹き飛ばすようなすこぶるイカしたやつに鉢合わせる。


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葉っぱのない、オオバコ。

生も性も溢れる魅惑的なオオバコ。

不思議なことに、弱った時こそ素晴らしく魅力的なオオバコに出会うのが私の人生なようで。
全国行脚の時も、そうだった。

もう嫌、やめてしまおう、なにやってんだこれ…
って弱った時にこそ、
うわっやめられないぞ、これ…
ってくらいのオオバコに鉢合わせてしまう。

そーゆーときは、必ずオオバコ。

私の最も愛する草。

こいつは何かを失くしても、自分の中の何かが欠けても、壊れても、花をつけ遺伝子を残すということを求め続けて生きている。

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雑草の世界では、思い通りにいかないのが当たり前で、「まさか」をうまく乗りこなすことこそ、雑草が雑草として生きる上での最大の武器になるわけで。


もちろん、人間には人間の社会というものがあって、その中で生まれてしまう不条理な境遇というのもあるのだけど。複雑なところも多いのだけど。

でも、雑草の世界だって、人間よりも残酷な生き残りの世界であって、綺麗事は言ってられない。

まぁそれをそのまま人間に当てはめるのも難しいのはわかった上で。


どうも、人は「全体のなかでの自分」を見てしまいがちで。
でも、こいつは全体として自分がどうか、ではなくて、今この境遇で生きる自分そのものに夢中。

すぐ隣で葉っぱを青々と茂らせる同じオオバコやクローバーのことなんて、視界に入ってない(のだと思う。笑)


ここで、この境遇で生きる自分は、何を生きる糧として見出すのか。


そこに集中した結果どうにかこうにか咲いたのが、この花のような気がして。

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(オオバコの花はこの小さな白いほこりみたいなやつ。目立たせる必要がないので、まるで目立たない。)


求めても手に入らないことも沢山あるけど、どうしても手放したくないことはなんなの?


ダメでも、ダメでも、求めたいものは求め続けてしまえばいい。急に運がまわってきて、スッと手に入っちゃう時だってある。


自分自身のことだけに夢中になったとき、何が生きる糧になる?いま、この境遇で、何を見出す?


こいつに出迎えられた瞬間、そんなこんながじんじんと身体と頭を巡っては、血液に流れ込んだんじゃないかってくらいに、自然と全身に行き渡った。ような気持ちになった。

やつらはいつも、生き様でそれを証明してくれる。だから、綺麗事ではない。泥にまみれ、ぐちゃぐちゃになりながら、本当の美しさを教えてくれる。


自分の境遇に夢中になったら、全体として自分がどうか、なんてことは関係なくて。
自分自身のなかで、ひたすら生きる糧を見出すのみ。
幸福感や、快楽や、興奮や。


同じ種類の雑草でも、境遇によって生き様はかなり違う。

その違いに出会う度、興奮してきた。

そしてそれは、未だに、とめどなく。

一歩先でさえ、生き様はガラリと変わる。数センチでさえ。

こいつの場合も、一歩先のオオバコには当たり前のように葉っぱがある。もさもさと。

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たったひとつのこの生き様で、この存在で、やっぱりがつんと胸打つものがある。
度量の違うやつらの生き様に、翻弄されながらも、結局救われている。
毎度毎度、喝を入れられている。


今回も、弱ってたところで、これだ。

自分の中のものが欠けてしまった時に、こんなオオバコに出会ってしまうんだから、もう恐れ入ってしまう。

恐れ入ります。

この言葉を心から使うのは、私は人間よりも雑草に対してのほうが多い気がしてる笑


私にとっては、

雑草という存在と、それに首ったけの私を最大限受け止めてくれる貴重な存在は、手放したくないし、求め続けていくんだろうなと思う。


あくまでも

今の、この境遇に夢中の私は。

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