#8. 隣の芝生は青くみえる
まだ寒かった日の、朝の出来事。
最寄りの駅で、
「落とされましたよ！」
と、私がうっかり落とした手袋の片方を
若い女性がにっこり微笑みながら手渡して
くれたことがあり、
一日のうちで、特にせわしない朝の
時間帯、通りすがりの私に、こんなに
ゆったりと優しい笑顔を添えてくれる
なんてまるで女神様のようだわ、、と
うっとりしながら手袋を受け取りました。
その若い女性のおかげで、朝から清々しい
気分で過ごすことができたわけですが、
見ず知らずの人に、天使のような笑顔で
人をいい気分にさせるなんてなかなか
できないことだし、素晴らしいなぁ、、と
若い方に大切なことを教えて頂いた気が
しました。
良きにつけ悪しきにつけ、とっさの所作や
行動って、その人の品性が出るものなんだなと
しみじみ感じた出来事でした。
手荷物検査場での大失態
『落としもの』といえば、今でも
思い出して恥ずかしくなることが
あるのですが、
昼過ぎのフライト前、同乗メンバーで
打ち合わせを済ませたあとの手荷物
検査場での出来事。
空港関係者は、職員専用の検査場を
使用するため、そこには一般のお客様は
おらず、事務所で受け取ったお弁当を
片手に（後でフライトの合間に食べる用）
検査場を通過して少ししたところで、
私がお弁当を持つほうの手元のバランスを
少し崩したはずみで、お弁当がくしゃっと
ゆがみ、その隙間からデザートの
いちごが１粒、コロコロと検査場の床を
伝っていきおいよく転がったのです、地獄！笑
その状況がなんとも恥ずかしく、お客さんの
目線がないのをいいことに、照れ隠しの
ためもあって、少しふざけて
「ギャーいちごーーーーー！！
活きがいい！！」
と、おおげさに面白がり、同乗の先輩からも
「あはは、ダッサーー！！」
とか笑われて、ちょっとウケたのを
いいことに、ヘラヘラしながらしゃがんで
イチゴをつまんだ瞬間、
「どうぞこれ、使って下さい！」
と、キリっとしたな声とともに、
使い捨てのオシボリがすっと目の前に
現れたのです。
その聞き慣れない声に、「しまった、
どこか別の課の先輩かな、ヤバい、
なんか怒られるかも！」と身の危険を
感じておそるおそる顔を上げると、
いや違う、なんと他社クルーが、私に
オシボリを差し出してくれていたので
おもわずひっくり返りそうになりました。
（お客様にささっと手渡すため、オシボリを
常備している人が多いです）
「えぇーーっ！一体いつの間に！？
しかも、制服かっこいい！！」（←心の声）
瞬間的にミーハー心が出て目がハートに
なってしまったことも事実ですが、わざわざ
他社クルーの私なんぞにオシボリを使わせて
しまったことは、本当に恥ずかしいことなの
ですが、その忍者の如く迅速な対応と
スマートすぎる立ち居振る舞いに、
思わずその場に「ははーーーーーっ！」と
ひれ伏したかどうかは憶えてないけれど
そのくらい恐縮しながら、何度も何度も
何度もお礼を伝えました。
乗務便に向かう途中、「・・ったくヘラヘラ
しながらいちご拾ってる場合じゃないぜ
自分！」と猛省しました。クルーたるもの、
お客様がいてもいなくても、きちんと品性ある
立ち居振る舞いをすべきなのです、少なくとも
制服を着ている間は。
それにしても他社クルーの制服って、
国内・外資系問わずめちゃめちゃ
かっこよく見えるんです。
元関係者の友人と、つい先月まで放送
されていたドラマ「NICE FLIGHT！」を
LINE実況しながら楽しませて頂きました。
チーフパーサー役の、黒川智花さん、
制服姿もお似合いで素敵でした！
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