不妊治療 ③KLC(加藤レディスクリニック)初診まで

 2021年8月、ご近所クリニックでの検査を一通り終え、タイミング法を3周期(自己流を含めると6周期)試したところで、なんとなくもうタイミング法では妊娠できないんだろうな、と感じていました。7月に卵管造影検査を受け、やはり左右ともしっかり通っていて、その思いはさらに強くなりました。

 日本での一般的な不妊の定義は1年間ではありますが、

 ① 夫婦とも検査に異常がなく、卵管もしっかり通っていたこと
 ② 少なくとも過去3周期は排卵ががエコーで確認できていること
 (※卵胞が育ち消失すること=必ず排卵、ではありませんが)
 ③ タイミングが合っていること

 を考えると、次の手を打ちたいと考えるようになりました。既に妊活に疲れ果てていて、この頃には「いかに妊娠するか」ではなく、「いかに早く妊娠して妊活を終わらせるか」になっていたと思います。妊活さえすればすぐに妊娠する、と信じ切っていた自分と現実のギャップを埋めたい一心でした。

 この時点で最も強く疑っていたのは、卵管采が卵子をうまくキャッチすることのできない「ピックアップ障害」でした。とにかく精子が卵子に出会えていない、出会えさえすれば妊娠できるはず、と思っていました。
 
 次のステップとして、通常はAIH(人工授精)を検討することが多いと思いますが、私達の場合は有効でないと思いスキップすることにしました。ご近所クリニックで抗精子抗体と夫の精液検査をしていて、どちらも問題がなかったためです。ご近所クリニックでフーナー検査をしていないことが少しひっかかりましたが、先生の「抗精子抗体と精液検査で問題が無いんだから、フーナーはやっても意味がないよ」という言葉で納得しました。

 AIHはスキップするとなると、次はART(体外受精)に進むことになります。
 その頃の私が体外に抱いていたイメージは「薬をたくさん使い身体に負担をかけ、将来病気の原因になる」というものでした。ご近所クリニックの先生から「体外は身体に負担がかかるから、今の時点では絶対やらない」と言われたことも、強く印象に残っていました。

 まだ自分が不妊であることをうまく受け入れられず(結局その後も、今も受け入れられていませんが)「不妊なんかじゃない私が、不要なホルモン剤をたくさん使って将来の健康を損なうなんて耐えられない。少ないながら将来の子どものために貯めてきたお金を、それ以前の子どもを得るために使うなんて耐えられない」という思いでいっぱいでした。早くステップアップしたい気持ちと、そんなことしなくても来月には妊娠できるはず…という矛盾した気持ちに苦しみました。

 体外受精について調べ始めた当初に、たまたま新宿のKLC(加藤レディスクリニック)の成功報酬制度を知りました。年齢制限やその他の条件はありますが、薬をほぼ使わずにかなり安く体外受精ができ、うまく妊娠すれば成功報酬として約40万円を追加で支払う(2021年夏当時)というものでした。
 
 あっこれならやってもいい!と思いました。薬を使わないのであれば身体に負担はかからないし、さっさと妊娠して成功報酬を払おうと思いました。40万でこれから先数ヶ月の苦しみを解消できるなら安いものだと思いました。自力できちんと毎月排卵できているし、採卵して精子と出会わせてもらえさえすれば、1回で当然妊娠すると思っていました。

 早速その晩夫にKLCのことを話すと、少し戸惑いながらも私の「もうタイミングは充分やったよ、早く終わらせよう」という言葉で納得してくれました。
 
 もうこの頃には、夫の気持ちを大切にする余裕は私には無くなっていました。

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