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3Dのリリック 私が感じたこと

めちゃめちゃ好きで聴きまくっているSEVENに次ぐグクのソロ曲。大好きになって応援したい気持ちと、何だか少しモヤる気持ちの狭間でしばらく宙ぶらりんな期間を過ごした。

全肯定することも全否定することもない、何となくなわたしの落としどころ。

「珍しさ」と「差別」

Jack Harlowのラップについて。

「アジア人とのコラボって珍しい」という本人の感覚が、そのままリリックにのったのかなと思った。人種をテーマにしているわけでもない、シンプルな求愛の曲にも関わらず「アジア人コラボだからあえてこのワードをチョイス!」という。コラボ相手がラテン歌手なら「尻のでかいラティーナが〜」とでも言いそうだ。

アメリカの音楽界で生きる白人のJackにとって、アメリカ人でもなく、英語話者でもなく、白人でも黒人でもないアーティストは「珍しい」存在であり「普通じゃない」。だからその特別なできごとがリリックに現れるのは自然なことだったんだろう。

結果的に「人種差別的では?」と問題にされてしまったことの発端は、彼が感じたであろう「珍しさ」から来ているようにわたしは思うのだ。

「珍しい」と感じることに悪意はない。けれど「あなたって珍しいよね!」と相手に表現することは差別的と捉えられる可能性が高くなってしまう。なぜなら「珍しいですね」=「わたしの"普通"や"標準"から外れていますよ」の意思表明であり、ともすれば「あなた異質です」「あなた浮いてます」の宣言になるからだ。

それは、外国で暮らすわたしも時折感じることだ。今、わたしが住んでいる場所は、東アジア人がとても少なく、わたしは珍しい存在。だから笑顔で吊り目ジェスチャーをされたり、"Buenos días, china!(おはよう、中国人!)"と声をかけられたりする。恐らく悪意はないし、差別のつもりもないのだろう。それがわかっていても、正直いい気分はしない。(メキシコ人の名誉のために書くけど上記のようなできごとがあったのは3回だけです!優しい人ばかりです)

「あなたって珍しいよね!」

悪意のない感想であっても、その「珍しさ」の根拠が、特に本人がコントロールできないこと(人種・国籍・性別・身体的特徴・疾病など)であれば、相手を傷つけ差別的だと捉えられる可能性がある。自分の「普通」は地球全員にとっての「普通」じゃない。だから自分が「珍しい」と感じることが、他の人にとっても「珍しい」わけではない。


白人ラッパーであるJackは自身を「客人」と表現しているそうだ。

ジャック・ハーロウは白人ラッパーであることについて「人種差別の経験がどのようなものかを真に知ることはできない」と述べており、その知識を念頭に置いて作品に取り組むことが白人ラッパーとしての自身の責任だと述べている。彼は自分の音楽が白人のリスナーに影響を与えて、アメリカの人種差別に対してより大きな共感と意識を持つようになることを願っている。白人ラッパーとしての自分の立場を「自分のものではない文化の家の中にいる客人」のようなものだと表現している。

Wikipedia

Jackからすれば、ジョングクも「外からブラックミュージックの世界にやってきた存在」という感覚で、もしかしたら自分以上に「異質なお客様」として見てるのかもしれない。自分は「外側」の存在だけど「自分よりもさらに外側」の存在、それが遠い東アジアからやってきたジョングク。そんな彼の意識をその言葉選びからわたしは感じ取った。

Jack Harlowというアーティストについて、わたしは詳しく知らないけれど、自分の愛するカルチャーの中で自身を「客人」と表現するに至るには、きっとさまざまな経験があったのではないかと思う。非アフリカ系がブラックミュージックをやるにあたり、人種についてあえて言及することが、彼にとってアフリカ系の人々へのエクスキューズでありリスペクトの表現なのかもしれない。「お互いよそ者同士頑張ろう」というグクへのエールなのかもしれない。音楽やアートは解釈が無限にあるし、一面だけを捉えて簡単に否定したくない。

だけど、わたし個人は彼のリリックに「なんでわざわざ?」という違和感を抱いたのが正直なところだ。それでも、ジョングクの声やメロディが好きだから3Dを聴いてる。Jackのラップがあった方がメリハリが効いて素敵だなと思うから通常版をね。

グクが日本滞在を楽しめますように!

HYBEに期待していたこと

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推し活をきっかけとした自分との対話をまとめています。

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