腎臓の関連事項 β2マイクログロブリン
β2マイクログロブリンって、どんなタンパク?
今回もまた、馴染みの薄そうな名前がでてきましたが、この物質は腎臓とは深いかかわりがあるものなんです。それにしても、ちょっと長い名前ですね。β2マイクロブログリン、マイクロの部分をミクロと呼ぶこともありますが、ここでは簡単にBMGと略すことにします。
BMGはグロブリンという言葉がつくようにたんぱく質の一種で、人間の身体であれば、どんな細胞でも作られているとのことです。そして腎臓では糸球体でろ過されますが、そのほとんど(99.9パーセント)が再吸収されるので、尿に出る量はわずかしかありません。もし再吸収する尿細管に損傷がおきると、再吸収の効率が悪くなって、尿中に出るBMGの量が増えてきます。
BMGは分子量が11,800ほどの小さなタンパクです。アルブミンが60,000越えですから、その小ささが分かりますね。そのため、糸球体でろ過されてしまうというわけです。反対に腎尿細管障害では再吸収が悪くなり、腎不全では糸球体での体外への排泄が悪くなるということで、測定意義が見出されています。そして、特に糸球体の損傷でろ過の効率が悪くなって尿中の量が増えるということで、糸球体の障害の指標とされています。また、尿中の量は再吸収の効率が悪くなった状態で増えますから、尿細管、特に糸球体に近い部分の尿細管の障害を知るうえでも有用です。
アミロイドーシスとの関係
また新しい名前が出てきました。アミロイドというのは、水に溶けない繊維状のタンパク質です。定義などはあるのですが、まだまだよく分かっていない事もあり、この先も定義が変化していくことが予想される物質です。
アミロイドーシスとは、アミロイドが全身の臓器に沈着して、機能障害を起こす病気です。腎臓とのかかわりで言えば、透析アミロイドーシスと呼ばれる病気があり、こちらは特に骨や関節といった運動にかかわる場所に沈着して、痛みであったり、運動制限であったりというようなトラブルを引き起こすものです。
今回のテーマはBMGですが、アミロイドと何が関係があるの(?)と疑問に思うかもしれません。じつはアミロイドの元となる物質がBMGなんです。透析では腎機能が極端に低下した腎不全の状態ですから、糸球体でうまくろ過が出来ません。そのため、血液中のBMGの量がどんどん増えてしまいます。するとアミロイドもどんどん増えていってしまいますので、これを減らす必要が出てきます。しかし、人工透析で頑張ったとしても分子量が小さいために、うまく体外に出すことが出来ません。
ではどうやって減らすのかということですが、人工透析ではBMGの吸着剤を用いる方法があります。いろいろと条件があるのでBMG値が高いと言うだけでは適用にはなりませんが、この方法で改善が期待できるようです。他にも、BMGの産生自体を抑制する方法であるとか、透析での除去の効率を上げるための装置を使うなどの方法があるようです。
つまるところは、薬を使う可能性があるということのようですね。なお、アミロイドーシスの診断基準はあるそうですが、アミロイドーシスの発症機序などは分かっていないとのことで、現在では難病の指定になっています。
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