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腎臓病でよく見る症状、タンパク尿

アルブミン

腎臓に問題が発生した時に、たいてい上る話題のひとつが「タンパク尿」ですね。とくに、子供の頃にタンパク尿で苦労された人も多いかと思います。そもそも論ですが、タンパク尿ってどんなたんぱく質がでているのでしょうか。

尿に出るたんぱく質は、元はといえば血液の中を流れていたものです。血液中(実際に測定する時は血清中)に含まれるたんぱく質は100種類以上といわれていますが、その中で半分以上の割合を占めているのは「アルブミン」というたんぱく質です。全体の6割ほどが、ただ1種類のたんぱく質になっているわけです。そして、血液中のたんぱく質全体を指して「総たんぱく(質)」と呼びますが、アルブミン以外のすべてをまとめて「グロブリン」と表現することもあります。

文献にもよりますが、アルブミンは分子量が62,000~67,000くらいに表記されているものが多いようです。腎臓では糸球体のベースラインにあたる基底膜があり、ここを通して血液から老廃物がこしだされます。その時は物質の分子量が大きな意味を持つことになり、大きければ基底膜で引っかかって出て来れず、小さければ通り抜けてしまうといった具合です。

アルブミンはちょうど引っかかるギリギリくらいのサイズにあたるため、普段は糸球体から漏れ出すことはありません。ただし、体調不良が激しいとか、腎臓が弱ってきたとか、当人が気が付かないまま腎臓にトラブルが発生することがあります。そのような時には、アルブミンがこしだされてしまって、尿に混じることになってしまいます。この状態をタンパク尿(アルブミン尿)と呼びます。したがって、タンパク尿と言えば通常はアルブミン尿を指すことになります。

検出方法

タンパク尿は腎臓病ではよく見かける症状の一つであるにもかかわらず、普段はなかなか分かりません。医療機関を受診するなどで検査をして、初めて分かるということになります。つまり、医療機関で普通に行なわれる検尿で、尿にたんぱく質(アルブミン)が出ているかどうかは分かります。また、その量が多いか少ないかの目安をつけることも可能です。

実際の測定はというと、薄いプラスチックの細長い板の上に試薬を含んだ沪紙片が貼り付けられたもの(検尿用の試験紙)を、尿に浸します。アルブミンが存在すると色調が変化するので、その様子からタンパク尿かどうかを判断します。肉眼で十分判定は出来ますが、より正確を期すために、機械を使って光学的に読み取らせる方法もあります。

最近は尿中のタンパクや糖を検出するための試験紙が市販されているので、ご存じの方もいるでしょう。ちなみに、医療機関では複数の項目を一度に検査することが多いので、使用する試験紙の方も、7項目以上をまとめて一度に検査することが出来るようになっています(当然価格も高くなりますが)。

インターネットでアルブミン尿の事を検索すると、微量アルブミン尿といった言葉が出てくるかと思います。これは先に書いたアルブミン尿とは別の扱いとなる項目です。検尿用の試験紙で分かる尿中アルブミン(アルブミンによるタンパク尿)とは別モノとして考えてください。尿中微量アルブミン定量といった言葉になりますが、サイトによって多少表現が異なるかもしれません。こちらは糖尿病性腎症の早期発見を目指して行われるもので、似て非なるものとお考え下さい。

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