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腎臓の病気 急性腎不全の話

腎不全とはどのような状態か

簡単に言ってしまうと、腎不全という状態は、腎臓が機能を果たせなくなった状態といったところでしょうか。腎臓には血管が丸まった糸球体という構造があり、これを腎臓の組織(尿細管)が包み込むようにして老廃物を受け取るボーマン嚢というつくりになっているのは、過去に説明してきた通りです。この糸球体から老廃物をこし出すために、網の目のような構造をしているのですが、これが例えば詰まってしまうとどうなるでしょうか。

老廃物を出すことが難しくなりますね。そのような状態を腎不全と呼びます。数字を使って表現すると、腎臓が普通に動いている時の状態を100パーセントとすると、これが30パーセント以下になってしまった状態、これくらいまで悪くなった状態を、腎不全と呼びます。

腎臓が急激に悪くなって腎不全に至った場合は急性腎不全と呼ばれ、機能が回復することも可能です。しかし、徐々に悪くなっていくタイプの慢性腎不全であれば、そうはいきません。もはや回復の見込みが立たなくなってしまうことになります。

急性腎不全の原因

急性腎不全では、ざっと3つのパターンに分かれます

腎前性:血液の循環が悪くなり、腎臓に入る血液量が減少することで、老廃物をこし出す機能が低下する状態
腎性:腎臓自体の問題による
腎後性:腎臓の後の尿の排出経路が塞がれて尿が腎臓に溜まり、機能が障害された状態

①と③の場合は、それぞれ何らかの原因で引き起こされる二次的な発症ですが、②の場合は腎臓自体の原因によるものとなります。

症状

血液中の老廃物をこし出すことが出来なくなる結果、老廃物を含む様々な物質が体内に溜まってしまいます。臨床検査上では尿素窒素が体外に出る量が少なくなることで溜まってしまい、数値が上昇します。窒素成分が増加するために、吐き気や嘔吐、下痢、食欲不振などの消化器症状が出てきます。また、全身がだるくなったりします。そうなると気持ちも乗ってきませんので、意欲の低下なども見られます。場合によっては意識障害が出ることも。

余分なカリウムも体外に出されずに溜まってきます。カリウムは、健康上は必要なものなのでよく話題に上りますが、腎臓の話題ではリスクを伴うものとして体外に出すべきものとなります。これは、カリウムは心臓に影響を与えるからです。

そして、何よりも尿量が減少します。成人であれば、普通なら一日あたり1000~1500ミリリットルほどの尿量がありますが、腎不全を起こすと500ミリリットルかそれ以下に減ってしまいます。加えて顔、手、脚などに浮腫がみられるようになってきます。

体の中がゴミ屋敷のようになってしまうわけですから、原因を突き止めて早急に治療を開始することが重要になってきます。重篤になるという意味でもそうですが、適切な治療を早期に受けることで、腎臓の機能が回復することも可能になります。反対に放置すると、慢性腎不全に移行するかもしれません。そうなると、腎臓は回復できなくなってしまうので、注意が必要です。


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