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腎臓の関連事項 eGFRの話

クリアランス

腎臓の機能が老廃物をこし出して尿として体外に出すということだったのは、もうご存じですよね。そして、それを担う場所が糸球体と呼ばれるところで、片側の腎臓だけで100万個ほどあること、糸球体に流れ込む血液の量が減少するといろいろと違う機能が動きだして、血圧を上げようとしたり赤血球を増やそうとしたり、体の中の状態を調節してくれているということを書いてきました。

では、実際には糸球体という場所に、どのくらいの量の血液が流れ込んでいるのでしょうか。腎機能の検査として、そういった血流量を調べる(実際には推定する)ための方法があります。クリアランスという検査で、大雑把な表現になりますが、腎臓がもつ排出能力の大きさを示すというものです。このクリアランス検査を使って、糸球体のろ過機能を正確に調べようというわけです。

糸球体に流れ込む血液量と出ていく血液量は、本来同じ量ですね。そして、ある物質が血液中に含まれていて、それが糸球体でろ過されたとします。その物質が再吸収されず、また追加で排出されることもなく、そのまま尿に出たとします。すると、その物質が元々の血液に含まれていた濃度と尿に出た量が分かれば、血液が糸球体を通過している間にどのくらいの量がこし出されたのかを求めることが出来ます。そこから、どれだけの量の血液が流れ込んだかを知ることができるというわけです。

実際には一定の時間の間にどれだけの血液量が流れ込むかを調べるので、通常は24時間となっています。つまり、24時間の尿を全部溜めておいて、それから目的の物質の濃度を測定するということですね。これは、正確に求めることはできるのですが、結構手間がかかります。

24時間の尿を溜めるということが大変なので、2時間の尿を溜めるといった方法や、随時尿(普通に排尿する尿)を用いる方法など、いろいろと計算の手法が考え出されていますが、いずれにしても血液と尿の両方を測定する必要があります。また、短時間の尿を用いるとすれば変動の要因が多くなり、その分だけ正確さがあいまいになってきます。

そこで、多くの人のクリアランス検査の結果を利用して考え出されたのが、eGFRというものです。

eGFRとは

eGFRとは estimated glomerular filtration rate を略した言葉で、糸球体のろ過値を推定して計算したを指し、推算糸球体ろ過量と呼びます。何の役に立つかというと慢性腎臓病(CKD)の状態を知るためで、慢性腎臓病の重症度が5段階に分けられており、どのレベルかを知るときの指標として使われているとのことです。

実際の eGFR はというと、当人の年齢と性別、クレアチニンの結果の3つがあれば、過去に行なわれた多くの人のクリアランス検査の結果をもとに計算で求めることが出来るます。このように簡便なので、多くの医療機関で用いられています。

実際の計算式は省略します。かなり複雑なものなので、コンピューターの計算機能を使うなどする必要があり、普通の電卓では計算ができませんので。

腎臓の病気はなかなか症状が出てきませんので、自分でも気が付かないうちに進行してしまう例が多くみられます。そのため、健康診断などの時のデータを利用するなどして、普段から自分でも注意しておきたいものです。ただ、普通の健康診断でクレアチニンを測定することはありません。そのため、可能であれば追加してもらうか、医療機関を受診して調べるかといった方法を取ることになります。

特に、年齢が上がってくると腎機能は下がる傾向が出てきますので、若い人もそうですが、中高年の人は尚更、注意が必要です。


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