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腎臓の病気 水腎症の話

どんな病気か

想像しやすいか、想像しにくいか、判断がつきませんが、水腎症はひらたく書くと、腎臓が水浸しになった状態だと思えばよいでしょう。通常、機能に問題が無ければ、腎臓では尿を作り、それを尿管から流して膀胱に溜めて、最後に体外にまとめて出すという順に行われます。

ところが、何らかの理由で尿管が詰まってしまって流れが滞り、尿を体外に出すことが難しくなった場合に、水腎症といった呼が方をします。正確には、腎盂から尿管にかけての部分に尿が溜まってしまって拡張した状態を水腎症と呼び、尿管から膀胱の方が拡張してしまった場合を水尿管症と呼びます。

いずれの場合も流れが滞っているわけですから、どこかに狭窄が起きているということになります。ですから、その原因を取り除く必要がありますが、その理由というのが小児と大人とではずいぶん違います。

小児の場合は、殆どが先天性のものとされています。つまり、生まれつきということですね。これは遺伝に関係してくることかもしれませんが、まだハッキリとしたことは分かっていないようです。場所は腎盂と尿管のつなぎ目の部分や尿管と膀胱とのつなぎ目の部分などが狭くなっていることが多いようです。他にも、腎盂と尿管のつなぎ目の位置が高いために流れにくいなどの理由があるようです。

これに対して大人の場合は、別の病気が引き金になって水腎症や水尿管症になることが多いようです。その様々な別の病気とは、尿路結石であったり泌尿器系のどこかにできたがんであったり、前立腺肥大症だったりします。その他にも交通事故による損傷が理由になることもあります。

症状

結石が原因の場合は急速に進行しますが、石ですからとても激しい痛みを伴います。前回紹介した通り、結石の痛みは腰や背部、わき腹、下腹部などに現れます。また、尿が流れない状態が急激に進行するため、嘔吐や吐き気が出たり、高熱が出たりもします。

反対に進行がゆっくりの場合は、最初のうちは自覚症状が出て来ない場合も多くあります。腎臓に尿が溜まってボール状に膨らんでしまうことがありますが、この時は体の上から触ると「しこり」のように感じることになります。特に小児の場合や、痩せた大人の場合であれば、見つけやすいでしょう。また、時に血尿を伴うこともあります。

見つかるきっかけから治療まで

先ず小児の場合、胎児の時期であっても産科での超音波検査などで見つかる例が多くなってきています。胎児でなくても、新生児や乳幼児の時期であっても、超音波検査を使って見つけることが出来ます。

大人に限りませんが、お腹の痛みやしこりに触れたりすることで発見されることもあります。仮に自覚症状がないような場合でも、水腎症が発見された場合は何の原因でそうなっているのかやその程度を調べてみて、腎機能や尿の流れを知っておく必要はあるでしょう。そのための検査を受けることになります。

また、大人のように他の病気によって引き起こされた例であれば、そちらの治療が必要になってきます。尿の流れが悪くなると尿路感染を起こしやすくなりますので、早くから抗生剤の使用もありますし、場合によっては手術ということも出てきます。

ただ、軽い水腎症であれば腎機能が悪化するようなことが無いといった症例もありますので、特に何もしなくても軽減する場合があります。腎機能が悪くなければ、経過観察になることもあるでしょう。

予後ですが、もし腎機能が低下しているような場合は、厳重な腎機能の管理をすることになります。また、まれに尿路感染症や尿路結石を起こすことがあるそうです。しかし、腎機能が低下していなければ、特に問題も起きないでしょう。通常の暮らしに戻ることができるようになります。

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