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天然着色料

前回は、着色料には「合成着色料」と「天然着色料」の二つの種類があるという事を取り上げました。今回はその中の「天然着色料」について、もう少し詳しく調べてみる事にします。

ちょっと違和感のある表現かもしれませんが、現在では天然着色料という基準は無いということでした。「なんで?」と思われるかもしれませんが、天然着色料という枠組み自体がどうにも曖昧な状態になってしまっているという事なんです。

食品衛生法が初めて制定された頃、着色料として対象になったのは化学的に合成されたモノに限られていたので、天然の素材から抽出して作った着色料は対象外になっていました。そんな中で、化学的に合成して作った着色料に対する自然由来のものという意味で、「天然着色料」という言葉が自然発生的に生まれて来たのだそうです。したがって、定義も何もなかったようです。

やがて、合成着色料だけでなく天然の着色料に対しても基準が設けられるようになりましたが、それが後に「既存添加物」と「一般飲食物添加物」とに分かれることになりました。したがって、この二つの名称のグループに含まれる着色料が元々の天然着色料になるのですが、現在では「天然着色料」という名称にはなっていません。ただ、合成着色料と区別するという意味でしょうか、「いわゆる天然着色料」と表現されています。

さて、「既存添加物」と「一般飲食物添加物」って、いったいどこが違うのでしょうか。調べてみると「既存添加物」の方は「長年使用されてきた天然添加物としてのもの」であり、「一般飲食物添加物」は「通常は食品として用いられるが、食品添加物的な使い方をするもの」となっていました。

分かりやすそうな例を挙げると、既存添加物の着色料は「ブドウ果皮色素やクチナシ黄色素」などで、たしかにそのままで食べることは無さそうです。これに対して一般飲食物添加物の方は、「ブドウ果汁色素やシソ色素、アカキャベツ色素」などでした。これなら、そのままの状態で食べることもありますよね。ブドウは一粒とっても、果皮と果汁では異なる扱いになるんですね。

これらの「いわゆる天然着色料」については、それぞれの色素ごとに原料や主成分などが定められています。成分規格として定めているのは「食品添加物公定書」や「既存添加物自主企画」と呼ばれています。また、新しい名前が出て来ました。いったいいくつ出て来たんでしょうか(ヤレヤレ)。

食品添加物公定書とは「食品添加物の成分の規格や、製造の基準、品質確保の方法について定めたもの」です。幸いなことに、「いったん決めたからそれで良し」とはなっていません。技術の進歩やさまざまな研究などの結果を取り入れたり、世の中の趨勢が変わったり、あるいは国際的な整合性といったことも考慮して、およそ5年ごとに改訂がされています。

もう片方の既存添加物自主規格とは何かというと、その名前の通り「自主規格」です。制定したのは日本添加物協会で、定めているのは既存添加物の成分規格等です。


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