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大阪つれづれぐさ

ある夜、焼き鳥屋の店主さんから「大阪は大きな田舎や」と言われた。
大阪がどんなところなのかわかりかねていた私にとてもしっくりきた答えだった。
会社都合で大阪に住み始めて早2か月。
住み始めてからの数週間に比べて最近外出する機会が減ったのは外が寒くなったからだろうか、街を歩く新鮮さがなくなってしまったからか。
それはさておき、2か月大阪に住んでみて、東京と異なっていたこと、刺激を受けたことなどを思うがまま書き連ねていきたい。

つれづれなるままにその日暮らし、パソコンに向かひて、こころにうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそグランフロント(梅田にある商業施設)

①エスカレエタア
大阪のエスカレーターは右側に停るのは、大阪といえばの景色だ。私にとって、この右側ステイの法則は不都合がある。
まず、私は心配性である。
それがなにかというと、心配性の人はなにかをつかんでいないと不安になるのだ。
揺れる電車の中でつり革がつかめなかったときの不安さたらない。エスカレーターで掴むとき、通常の逆手でつかむことになる。慣れるまでエスカレーター前で毎回手荷物を逆手に持ち帰る動作が必要になった。さらに左手で改札ピッとする私からするとホーム階から改札階までの移動の際に、エスカレーター前で最初右手に持っていた荷物を左手に持ち変え、改札前でさらに右手に持ち替えて左手で改札ピッをするはめになった。
なぜ右側ステイになったのか起源はわからないにしろ、今や右側ステイは大阪が大阪たるアイデンティティだということもできる。エスカレーターで大多数が右側にいるのに通路では左側を通る。エスカレーター右側ステイは、形骸化された通例に大阪人のプライドを詰め込んで今も生きている文化だと思う。

②時は平にあらず
とにかく大阪はたいらである。
関東平野とはいえ多摩丘陵に住んでいた私からすると大阪市や京都市内の地形が平らすぎて驚く。
地元町田ではどこに行くにも坂の上り下りがあったため自転車のブレーキの消耗がとても速かったが、今こちらでブレーキパッドの心配をする必要もない。
ブレーキがうまく作動せず坂下の民家に突撃する少年を生まないというのはとてもうらやましい世界である。
あと大阪市内、道が碁盤目のように整っており、道を歩くと遠くの方までよく抜けて見えるのでとてもいい。

③個人が店多し
ここでは私の生活圏である大阪市内に限定するが、チェーン店が少なく、個人経営の店が多いと感じる。
どこでも同じサービスを提供するチェーン店が少なく、その店ごとに特徴が異なる個人経営の店が多いというのは、安定を求める性格からはマイナスポイントにあたるが、冒険を求める性格からはプラスポイントだといえる。
ただ個人経営の店は営業時間が東京の個人経営の店よりばらばらである。さらに休日に営業しているお店は多くない。
これらの長所短所併せてみても、いまだにチェーンと個人経営、どちらが多い方がいいのか答えは保留になっている。

④アーケード商店街多し
上にも関連するが、大阪はとにかくアーケード商店街が多い。
寝屋川、三国、本町駅付近の商店街などには行ったことがある。
商店街が多いというだけでも衝撃であるが、それらを歩く際、上に屋根があって天候に左右されないのがいい。
あと音楽が流れているのもいいし、通行禁止のはずの自転車がビュンビュン通るのもいいし、時間帯によって人の通りが激しいときと全く人が通らないときがあるのもよい。

⑤ラーメン少なしカレー多し
東京で普通にあると思っていたラーメン屋がない。とくに家系や二郎ラーメンは本当にない。
家系直系はたぶんないし、二郎ラーメンも京都にしかない。
ラーメンは醤油のあっさりした店が多く、こってり系のラーメンは周りにほとんどない。
「こってり」に飢えている。
がしかし、大阪の飲食店におけるカレーが出る店の割合はとても多い。
中華でもカレーが食べられることもある。
カレーはおしゃれな感じのカレーではなく、おなかいっぱい食べさせてくれて、かつ、味の深みも感じられる店が多いような気がする。
ラーメン少なしカレー多し。なんとか胃の均衡は保たれている。

⑥店の距離感近し
たこ焼き屋やパン屋のようなテイクアウトのお店では多くの確率で「おおきに」と言ってくれる。以前はもらえてなかった一言をくれるだけでうれしくなる。
と同時におおきににはなんて返したらいいのか毎度悩んでいる。
おおきにもそうだが、お店での店員との距離感がとても近い気がする。常連が「どうも~」ってな感じで入ってきて店員と話し始めるというのは東京でも見られるが、その話の途中でいきなり私に話題が飛んでくることもあるのが大阪だ。
「にいちゃんはどう思う?」にすぐ答えられるように準備が必要だ。
さみしさを感じているときに居酒屋や喫茶店に行けば楽しく会話ができる利点があるが、喫茶店で読書をするのには不向きかもしれない。

以上がなんとなく思いついた大阪のよしなしごとである。
たしかに大きな田舎感がある。
田舎っぽいところ、古く感じるところ、そこに新しさを感じてとても面白い生活だ。



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